「半分、青い。」110話「まれ」以来の低視聴率14.6%を記録

エキレビ!

2018/8/8 08:30

連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月~土 朝8時~、BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~)
第19週「泣きたい!」第110回 8月7日(火)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:橋爪紳一朗


NHK連続テレビ小説「半分、青い。」オリジナル・サウンドトラック2

連続朝ドラレビュー 「半分、青い。」110話はこんな話
離婚して岐阜に戻った鈴愛(永野芽郁)。律(佐藤健)も岐阜に戻っていたため離婚したのかと思ったらそうではなかった。その理由を知って鈴愛は涙する。

視聴率急下降
母さん、事件です!
大人気「半分、青い。」の視聴率が8月6日放送109回では14.6%に下がってしまいました(ビデオリサーチ調べ 関東地区)。「まれ」で2015年7月6日放送85話が、サッカー女子W杯決勝戦(日本対アメリカ)生中継のアオリを受けて(まんたんウェブ15年7月13日の記事より)14.6%になって以来の低視聴率です。
「半分、青い。」はもうずっと20%台をキープしていたというのになぜ・・・かといえば、109話は広島平和記念式典の中継により放送時間が変更されたためでしょう。
朝ドラ高視聴率の原因は8時から見るものという視聴習慣が大きいことはしばしば語られることなのです。

新キャラ登場
実家に帰って来たものの鈴愛の部屋は事情があって使えないと言われ居間で寝ることに。
朝目が覚めると、見知らぬ男・健人(小関裕太)が眼の前でご飯を食べていた。
彼はアメリカ育ちの健人。鈴愛の部屋に居候していて、草太(上村海成)のカツ丼をアメリカで広めるため修業中。

109話のレビューで、岐阜編のスタメンは最強の初期メンバーと書いたが、新キャラも投入して新鮮味も加える念の入れよう。そのうえ、英語、日本語、エセ関西弁をちゃんぽんで話すところにこのキャラの汎用性の高さを感じる。
光江(キムラ緑子)に続いてのエセ関西弁キャラは、関西方面へのアピールかつ、よく関西弁が間違っていると指摘されることへのエクスキューズか。

健人役の小関裕太はかつて「ごめんね青春!」(16年 TBS 宮藤官九郎脚本)でLGBTの役を演じて注目された俳優。当時、いかにも男の子という身体ながら心は女性の、相反する面に悩む役を繊細に演じていた。今回は、アメリカと日本、エセ関西弁と標準語の間に立つ役どころだ。

ほんとうに好きな人には甘えたい
和子(原田知世)は拡張型心筋症という重い病を患っていて、律が名古屋に転勤になって実家暮らしをしているのは和子のためだった。
病気のことはキミカ先生(余貴美子)と晴(松雪泰子)しか知らない。
「もうすぐ死んでまう和子さんやと思われるのがいや」だし「自分も忘れていたい」という気持ちで限られた人にしか話していなかった。
「ほんとうに大事な人にはわかっておいてほしい」「ほんとうに好きな人には甘えたい」「病気の人は甘えていい」というキミカの言葉に鈴愛は思うところあって・・・。

ブッチャーとまさこさん
鈴愛がしょげて、ともしびでコーヒーを飲んでいるとブッチャー(矢本悠馬)がやって来た。
ブッチャー(矢本悠馬)も和子さんの病気を薄々感じていた。いつもおどけているが洞察力が鋭く、律がわざわざ名古屋に短期転勤してきていることから事情を察していたのだ。ブッチャー素敵な人。

それに比べて鈴愛は「律はいつも何も言わん」と。おーーーい、気にしているのは和子の病気よりもまず、それを言わない律のことなのかーーー。でもそれが鈴愛らしいとしておこう。
自分は何も知らず、いつまでも子どもだ・・・と自省する鈴愛だが、内緒だと言っているそばから「和子さん死んでまうか」と口に出してしまい、ブッチャーがはっと後ろを向くと、まさこ(ふせえり)がやはり聞いていた。
でも聞かないふりしてコーヒーを煎れるまさこ。まさこもよくできた人だ。

浄化された
こうやって秘密は広まってしまうのだという世の道理を教えられる示唆に富んだ一場面とはいえ、この場面をどう受け止めていいのかいまひとつわからないし、作り手はどう収めるのかと思ったら、素敵なピアノと歌声が流れてくる。
原田知世(和子さん)が「この広い野原いっぱい」(67年 作詞:小薗江圭子 作曲:森山良子 )をピアノで弾き語る。
するとたちまち消臭スプレーをかけたように空間がすっきりした気分に。
弥一(谷原章介)もやって来て一緒に歌う。
谷原は声も良いうえ、NHKの幅広い年齢層に向けた音楽番組「うたコン」の司会もやっているので、こういうなつかしのメロディーを口ずさむのもなんかハマる。
「半分、青い。」で唯一無二の清潔感、透明感を担う原田知世と谷原章介の力で、雑味がいっさい洗い流され、この曲はそのまま、再びともしびの場面へとせせらぎのように流れていく。

鈴愛は「律、律を支えたい」と言い出す。いやはや、ほんとうに突拍子のない主人公である。これほど長く成長することなく視聴者の眉をしかめさせる言動を繰り返し続ける鈴愛は、いわゆる「愚人譚」における“愚か者”として設定されているのだろう(世界を客観視するおばかのふりして頭のいい狂言回し・道化とは違う、ほんとうのおばかさん)。永野芽郁はこの難しい役割を賢明かつ懸命に引き受けている。

これまでの朝ドラは女の英雄譚(主人公がまじめに現状を突破して目的を叶えていく)が主だったため、愚か者主人公の描き方がやや突き抜けきれてないように感じるうえ、視聴者にも従来の朝ドラへの先入観というフィルターがかかり、愚か者の楽しみ方が伝わりにくいこともままある。それが批判(主人公の愚かさを許容できない)につながってしまうのだろうが、それでも視聴率が20%台をキープしていることは、いまの日本がまだ愚か者を笑って受け入れる寛容さを持ち得ている証にちがいないと、思いたい!(サブタイトルふう)

なんて書いてみたら、14.6%のニュースではらほらひれはれ・・・(古っ)。
気を取り直して、歌う原田知世の儚さがみごとなまでに和子の運命に活きていている、ということでまた明日!
(木俣冬)

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