愚痴を聞くことで奪われるのは時間だけではない_「愚痴話」を断ち切る3つの方法|川崎貴子の「働く女性相談室」


「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん。その経験と、女性経営者ならではの視点から、のべ1万人以上の女性にアドバイスをしてきた川崎さんが、「“働く女性”に立ちはだかるさまざまなお悩み」に、厳しくも温かくお答えするこのコーナー。

今回は、「エンドレスで愚痴を言い続ける同僚にどう対処したらいいのか」というお悩みについてです。

<今回の相談内容>
私の職場に「愚痴」ばかり言う女性社員がいて、どういう対応をしたらいいのか毎回迷います。話を聞くとつい何とかしたくなり「私ならこうする」と何度か言ったこともありますが、「そうだよねー」と流されて、翌日からまた同じ内容の愚痴が続きます。せっかく話をしてくれていると思うと邪険にもできませんが、正直、本人がどうする気もない内容の愚痴を毎日聞き続けるのがとても苦痛です。どう対応したらいいのでしょうか?
(28歳 事務職)

愚痴ぐらい聞いてあげるのが人としての優しさ…。
相談者さんは心のどこかでそんな風に思って、対応できない自分を少し後ろめたく思ったりしていませんか?

もしそうだとしたら
まるっと考えを改めていただきたい。

自分を責めるよりも、「聞き続けるのがとても苦痛」というご自身の「魂の叫び」を全面的に受け止めて欲しいと思います。

たかが愚痴と思われがちですが、愚痴の殺傷能力を侮ってはなりませぬ。私の所にカウンセリングに来る女性たちは近しい人(母親や夫や友人)に愚痴を聞かされ続けてしだいにメンタルをやられ、酷い人は体調不良まで訴えます。
愚痴はネガティブな感情の垂れ流しですから、聞き続ければ感化されるのは当然。最初は大丈夫でも、聞いている方にネガティブ思考の癖が蓄積していくのです。自身の調子が悪い時はてき面に、何も無くてもいつしかボディブローのように、その呪いは効いてくるのです。ですから、毎日を共にする人や毎日読むブログやコラムなども、愚痴っぽい人やネガティブ思考の人を選ばない「自衛」が、ストレスを抱える我々現代人は必要なのです。

とはいえ、相談者さんの場合は同じ職場の同僚女性をブロックできる訳でも、逃げまわる訳にも行きません。そこで、すでに相談者さんのストレッサー(ストレスの原因)である彼女を、職場の輪を乱さない程度に回避するための術をまとめてみたいと思います。

まずは、敵を知る

ストレッサ―である彼女が幸せか幸せじゃないかと言えば、幸せではないでしょう。女性たちは社交辞令で自分の幸せを愚痴っぽく言ったりもしますが、毎日同じことを繰り返し話す事はありませんし、聞く側がそれを「親近感」ではなく「不快」と感じるなら彼女自身がストレスを抱えている事は明らかだと思います。

しかしながら私から見ると、そんなストレスフルな彼女の方が、相談者さんより頑丈に映ります。以前に読んだ「自衛隊教官が教える“訓練を乗り切る隊員”と“急に折れる隊員”の違い」という記事で、「きつい訓練に弱音を吐く隊員は訓練を乗り切る可能性が高く、愚痴一つこぼさない隊員は途中で急に折れた」と書いてあり、私は膝を打ちまくりました。男性に比べて女性の自殺率が低いのも、女性のほうがこの「愚痴力」のある人が多いからかもと思ったのです。
また、愚痴を言うだけ言ってアドバイスを聞かない人の殆どは、そもそも問題を解決するつもりがありません。依存先に愚痴を言って発散し日々をやり過ごす方が、問題解決するよりもずっとラクだからです。

ストレッサーの彼女は、相談者さんを使って上手くストレスを解消しているという訳です。とても迷惑なお話ですが。そこで、相談者さんがこれ以上搾取されないための自衛をご紹介しましょう。

STEP1 マイクを奪い離さない

人は話したい生き物です。
相談者さんが経験しているように聞き役に徹していると、たとえどんなに聞くことが好きな人でもストレスが溜まります。ストレッサーの彼女には、いつも彼女自身が相談者さんに何をしているのか、この際たっぷりと体験していただきましょう。
「いつも愚痴を聞いているから、たまには私のも聞いてくれる?」と言葉巧みに誘い、とにかく一方的にくだらない愚痴を垂れ流しましょう。彼女が口をはさみそうになったら強烈なインタラプトをお見舞いです。

「今日は私の愚痴を聞いてくれる約束だよね!」

と、問答無用に話し続けましょう。その日は絶対にマイクを渡してはいけません。
そして次の日、また彼女に愚痴を言われたら、「では、明日は私の番ね!」と約束を取り付けましょう。相談者さんは愚痴を言うタイプじゃないのでネタ探しが大変ですが同じネタを繰り返していて構いませんし、同じ話を繰り返される方が聞く側の疲労感は倍増します。

愚痴を言うのに慣れている人が聞く側に回るのは大そう苦痛です。2,3回繰り返せば、「相談者さんに愚痴ると面倒なことになる」という刷り込みができるのでぜひお試しあれ。

STEP2 松岡修造になりきって熱く語る

ネガティブなボールはすべてポジティブに打ち返す。聞きたくもない愚痴を毎日浴びせられているすべての人は、心に修造イズムを持った方がいいと私は思っています。
そもそも、愚痴りたい人が聞き役として抜擢するのは、優しかったり共感力が高かったり、しみじみと人の話を聞いてくれる人になります。そういう人に話を聞いてもらうと単純に気持ちが良く、愚痴が次から次へと滑らかに出てくるからです。
そこで、修造の出番です。いつものように愚痴が始まったら

「そんなことない!君ならできる!」

「あなたは凄いから大丈夫!」

「それは気のせい!頑張れば乗り越えられる!」

と熱く、心から応援しましょう。愚痴を吐きたい者にとって、何を言ってもポジティブに応援されたらうざい事この上なし。両手のこぶしを握ったり、顔を正面で捉えて目で訴えたり、熱くひたむきな「修造ボディランゲージ」も取り入れたら完璧です。きっと、人種や宗教の違う人だとあきらめてくれるでしょう。

STEP3 ロジカルな上司風にいざ問題解決

まずは聞きましょう。そして、「それは愚痴?それとも相談?」と切り分けましょう。愚痴だったら再来週時間を取るのでたっぷり聞き、相談なら今ここで対応する、と。

彼女が相談だと言っていつもの愚痴を展開し始めたら、ロジカルで忙しい上司よろしく、

「その問題はこうすれば解決だよね」

「それはその人に○○って言えばいいよね?」

と、言った傍から切りつけるように問題をバッサバッサと解決しましょう。
話を聞いてもらいたいだけの妻が「夫はすぐ問題解決しようとして話をする気がなくなる」とよく愚痴っておられますが、この作戦の狙いはまさにそこ。ストレッサーの彼女もただ聞いてほしいだけなのです。

優しい相槌と同情的な表情や言葉で「受け止められている実感」を得たい、そういう相手に吐き出したいだけです。相手が1mmも望んでいない「問題解決・千本ノック」を繰り出して戦意喪失を図りましょう。

また長々と書いてしまいましたが、前述したように愚痴を言うのは悪い側面だけではありません。愚痴を言う事でサバイブしている人もたくさんいることでしょう。

ただ、今回のように、頻度や内容やお互い様感など、暗黙のルールが解らない対象者にロックオンされてしんどい時は、ためらわずに逃げましょう。そして、逃げられない時は演技の一つでもしてリリース致しましょう。
このように愚痴を聞く側がツライという相談を受ける度に、もっと日本でもカウンセリングが一般的になればいいのに、と思ってしまいます。ストレッサーの彼女がプロのカウンセリングを利用する事によって、彼女自身の悩みも、間接的に相談者さん側の悩みも改善するだけじゃではなく、「話を上手に聞いてもらう、他人の時間を自分の為に使う」ということが「有料である」と理解しやすいからです。

本当にこわい搾取者は目に見えない大切な何かを他人から奪っていくもの。ご自身の人生をハッピーなものにするためにも、ネガティブを押し付ける人は避け、場や人間関係を自分自身で、毅然と、コントロールしてゆきましょう。

回答者:川崎貴子

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リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。


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イラスト:yoko

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