フジテレビ月9『絶対零度』今週も2ケタキープ! 「面白い」と「数字を獲る」の違いが……

日刊サイゾー

2018/8/7 23:00


 沢村一樹が、なんだか闇を抱えていそうな刑事を演じている今期月9『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)も第5話。始まる前は「沢村一樹主演で月9……!?」的な扱いでしたが、今回も10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2ケタ視聴率をキープ。健闘を見せています。

今回は道枝駿佑クンがゲストです。関西ジャニーズJr.のメンバーで、16歳。存じ上げませんでしたが、かわゆいお顔をしておりました。

というわけで、振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■お話は面白いです


 というわけで、今回「未然犯罪捜査システム(通称“ミハン”)」が割り出した危険人物は、その道枝くんが演じる男子高校生・岡崎直樹、17歳。有名私立高のバスケ部のエースで、父親は文科省の次期事務次官候補というお坊ちゃま。いかにも美少年な顔写真が投影されますが、これを見たミハンメンバーの一人・南(柄本時生)は「なんだろう、このリアリティのない感じ。仮面をかぶった感じ」などとつぶやきます。おそらく視聴者は誰ひとりとして道枝クンの顔面を「リアリティのない感じ」とは感じていないと思いますが、セリフでそう言われたので、そういう設定のようです。

その岡崎くん、南の説明の通り、すごく裏表のある人物でした。バスケ部のエースとしてチームを引っ張る傍ら、ネコやハトを殺したり、学校裏サイトに人の悪口を書き込んだり、なかなかのサイコパスのようです。

この岡崎くんに目を付けたのが、フリージャーナリストの川上さん(近藤公園)。数々のスクープをモノにしてきた敏腕記者の裏の顔は、動物を殺している少年少女をそそのかして、殺人者に仕立て上げることを生き甲斐にしているガチモンのサイコパスでした。

川上さんにそそのかされて、岡崎くんの殺戮本能もついに覚醒。3Dプリンター銃を手に父親の職場である文科省に侵入し、包囲したミハンチームの目の前で父親を射殺。さらに自らの頸動脈をかき切って自殺してしまったのでした。

現場に響き渡るのは、カメラを構えた川上さんのシャッター音。こうして川上さんはまたしてもスクープをモノにしたのでした。

そして、またまた法で裁けない極悪人に対して“謎の仕置き人”が登場し、無事、川上さんをブチ殺して、今回は終了。

例によって「動物虐待する少年少女」とか「学校裏サイト」とか「反社会的サイコパス」とか「3Dプリンター銃」とか、ステレオタイプがテンコ盛りの事件設計でしたが、緊張感のある演出と雰囲気たっぷりの劇伴で、楽しく見ることができました。

■いよいよプロット描写も捨てた


 今回の『絶対零度』は、物語のほとんどすべてがミハンチームのセリフで説明されました。「岡崎直樹が何か行動をする→ミハンチームが進行上必要な設定を説明する」「岡崎と接触している川上が何か行動をする→ミハンチームが説明する」という、極めてシンプルで省エネな構成です。これまで、このドラマは「プロットだけで作られている」とレビューしてきましたが、いよいよプロット上で人物に関係を持たせるシークエンスさえ最小限にして、情報はセリフで説明すればいい、という方向に舵を切ったようです。ミハンチームによる朗読劇を見ているみたいな感じでした。

このドラマは、とにかく徹底的に“省略”を目指しているように見えます。お話を語る上で必要な情報さえも圧縮して、時には飛ばしてしまって、とにかく「圧が強い画面」を矢継ぎ早につないでいく。ちょっと目を離しても大丈夫だし、逆にずっと見ていても「あれ? 目を離したかな?」と思うくらい話が飛ぶこともしばしばです。

こうした作り方は、「面白い話を作ろう」という方向じゃない部分で「数字を獲る」方法を必死で模索しているように見えて、現代的だなぁとも思うんですが、ドラマ自体に血が流れているような気がしないというか、扱っているテーマが「みんなに殺人衝動ってあるよね!」みたいな感情だけに、居心地がすごく悪いんですよねえ。仕置き人の正体を毎回毎回匂わせて引っ張るところも含めて、あざとさも居心地が悪い。好きな人は好きなんでしょうし、そこらへんは好みの問題ですけど。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

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