最初こそ失敗のない選択を。ビギナーのアンティーク・ウォッチ購入術

editeur

2018/8/7 10:00

実店舗がある専門店で購入すべき理由は価格に含まれた「信用」にある


新品の現行モデルとは違い、アンティーク・ウォッチは購入方法にもさまざまな選択肢がある。専門店のほか、オンラインショップやネットオークション、または質店あたりが代表的だが、最初の1本を選ぶなら、どこで購入するのがベストなのだろうか。

「同じモデルでも、オンラインショップやオークションサイトのほうが安価に販売されているようにみえるケースが多いのですが、最初の1本を選ぶビギナーにこそ、実店舗を持つ専門店での購入をオススメしたいですね」


とアドバイスするのは、アンティーク・ウォッチ専門店『SWEETROAD(スイートロード)』店長の平野拓生さん。コンディションに個体差があるため、すべてが“1点物”となるアンティーク・ウォッチは、新品の現行モデルのようにスペックや製品写真だけで良し悪しの判断が難しい。そのため、失敗を避けるためには、実物をその目で確かめるべきという。

「さらに重要なのがメンテナンスの問題です。オークションサイトや質屋で入手した時計は、多くの場合、アフターサービスを受けることができませんし、オンラインショップでもきちんとしたアフターサービスを実施しているところは少ないのが現状。仮にアフターサービスがあったとしても、郵送でのやり取りでは、どんなメンテナンスがされたのか、特に初心者では把握することが難しいでしょう」(平野さん、以下同)

せっかく手に入れたアンティーク・ウォッチも、時計である以上、正しく動作してくれなければ魅力が失われてしまう。そのため、故障や定期メンテナンスの対応がしっかりしている専門店を選ぶのが、セオリーといえるのだ。

「オンラインショップやネットオークションに比べ、専門店のほうが高価に思えるかもしれませんが、専門店の価格には“信用”が含まれていると考えてください。アンティーク・ウォッチは旧車と一緒で、購入後のメンテナンスが切っても切り離せないもの。『ちょっと調子がおかしいかな?』と思ったときに、すぐに修理やメンテナンスをしておかないと、長く愛用することはできません。互いの顔がわかる実店舗なら、この点でも安心して任せることができると思いますよ」

さらに専門店を選ぶメリットには、保証の問題もあるとのこと。

「しっかりした専門店なら、どこでも購入後1年間程度の保証が付いているはずです。普通に使っている範囲で起こる不具合なら保証期間中は無料で修理やメンテナンスの対応をしてくれるので、特に初心者にとっては安心なはず。お店選びの際には、この点にも注目しておくと良いでしょう」

見た目=状態とは限らない。奥深いアンティーク・ウォッチの見極め


アンティーク・ウォッチを選ぶ際に、もっとも注意したいのがコンディションである。いくら見た目が気に入ったからといって、状態が悪ければ腕時計としての魅力も低くなってしまう。ビギナーでもわかる、コンディションの見分けかたにコツはあるのだろうか?

「残念ながら、よほどのマニアでもない限り、アンティーク・ウォッチのコンディションを正しく見極めるのは不可能だと思います。たとえば、ケースにキズがなく、きれいに見えるから“コンディションが良い”と、一概には言えないのが難しいところ。ケースや金属ベルトのキズは研磨することで消せるのですが、コレクターの間では、研磨された時計を“痩せている”と言って、評価ダウンのポイントにする場合も多いんです」

つまり、敢えてキズを残してでもオリジナルに近い状態を保っていることが“コンディションの良さ”と考えることもあるわけだ。となれば、内部の部品もどこまでオリジナルなのか、がコンディションの良し悪しにかかわるのは当然のこと。結局のところ、コンディションに関しても、まずは専門店のスタッフのアドバイスを聞くべきなのである。

「ビギナーがアンティーク・ウォッチを選ぶ際には、まずは購入する目的をスタッフに伝え相談するのが、いちばんだと思います。オンタイムで使う、スーツスタイルに似合う1本を探しているのなら、“痩せて”いてもキズが少ないきれいな見た目のもの、一方、コレクションとしての価値も求めたいのなら、ケースや部品などオリジナルにこだわったもの、というように、目的と予算にあったコンディションの商品をご提案できますからね」

このように、実物を見比べながら、対面で最適な提案を受けられるのも実店舗ならではのメリット。コンディションや希少度により価格が大きく変わるアンティーク・ウォッチだけに、最初の1本で“つまずく”と、その世界から遠ざかってしまう人も多いと、平野さんは言う。アンティーク・ウォッチの世界と長く、親しい付き合いを続けるためにも、焦らずじっくりと最適な1本と出会ってほしい。

「SWEETROAD」平野さんがオススメする、人気のアンティーク・ウォッチ(3)


セイコー「グランドセイコー 45GS/Ref.4520-8000」
1969年に製造された「歴代セイコー手巻式腕時計の最高傑作」とも評される、36000振動のハイビート手巻きムーブ「Cal.4520」を搭載した「45GS」。ケースデザインも前機44GSで確立したセイコースタイルを周到しており、GSの完成形と言える。ダイヤル際に些細な傷みが見られるが気になるほどではなく、ケースに使用感こそあるが、大きな傷みはない。裏蓋のメダリオンも残る。13万8000円(税込)

「国産のアンティーク・ウォッチも、コレクターの間では人気の高いジャンルですね。価格と品格のバランスでいえば、こちらのモデルはかなりオススメ。スーツにも良く似合います」

※価格は取材当時のもの。同じモデルでもコンディションにより価格が異なる場合があります。
※在庫の有無については、店舗に直接ご確認ください。

あなたにおすすめ