人間関係がうまくいく、「非言語コミュニケーション」のABCとは?


90秒で好かれる技術 改訂版』(ニコラス・ブースマン著、中西真雄美訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、2011年に刊行されて以来、長く読み継がれるベストセラーの改訂版。著者は、AT&T、コカ・コーラ、レブロンなどの広告やファッション誌のフォトグラファーとして活躍するなかで、初対面の相手と瞬時に友好関係を築く技術を習得してきたという対人関係コンサルタントです。

そんな著者がビジネスの世界に深く関わり、多くの人と交流を持つようになるなかで気づいたのは、「ビジネス上のつながりと、プライベートでのつながりは質が違う」ということ。

プライベートなら友人を選ぶこともできるけれども、ビジネスの世界では仕事を辞めないかぎり、上司や同僚、従業員、クライアントなどとの関係から逃れられないということです。そこで本書では、関係を持たなければならない相手と日常的にうまくつながりを築き、維持するために必要となることを明かしているわけです。

専門家によると、経済的な成功は、その15%が技量や知識で決まり、残りの85%は相手と心を通わせ、相手の信頼と尊敬を勝ちとる才能で決まるらしい。 仕事を求めて面接を受けるにしろ、商品を売り込むにしろ、生徒を指導するにしろ、上司に昇給の交渉をするにしろ、人との関係づくりがうまければ、それだけ成功の確率も高まるということだ。(「まえがき」より)

そのような考え方に基づく本書から、きょうは第3章「非言語コミュニケーションの『ABC』を意識しよう」に焦点を当ててみたいと思います。

非言語コミュニケーションの「ABC」


私はセントルイスへ飛んだ。空港のドアが開くまで、私は横の窓からなかをのぞき込んでいた。手荷物用のベルトコンベヤーには、前方の貨物室のところまで、すでに荷物係が持ち場に就いていた。 荷物がちょうど飛行機から出てくるところだった。ベルトコンベヤーの下流側にいた青年は、荷物を取りあげるたびに楽しそうな足取りでカートまで運んでいた。なんて素敵な態度だろう。彼はとても楽しそうで、それを見ていると、その街での滞在が楽しみになってきた。(中略) 私はその青年を知らない。以前に会ったこともなければ、今後二度と会うこともないだろう。なのに、私の存在に気づいてさえいないこの青年の何かが、私の琴線に触れた。 彼はその態度で私の心を動かした。態度は行動を決める。言葉を発しなくても、態度によってあなたを見た人は感化され、同じ行動をとるようになる。ちょうど、笑う、泣く、あくびをするといった行動が伝染するように、態度も伝染する。 ともかくその姿を見ただけで、私はその青年の態度に感化され、いつの間にかうれしくなってしまったのだ。(68ページより)

こうしたエピソードを引き合いに出したうえで、著者は「非言語コミュニケーションの『ABC』」について解説しています。この「ABC」とは、Attitude(態度)、Body Language(ボディ・ランゲージ)、Congruence(自己一致)の頭文字をとったもの。

当然ですが、対面コミュニケーションにおいて相手が真っ先に感じとるのは、こちらの「態度」。そして、こちらの態度を伝達する際のカギは、「ボディ・ランゲージ」「自己一致」だというのです。心と身体は一体であり、一方を変えれば他方もそれに従うという考え方。

試しに、子どもがよくやるように、舌を突き出し、両手を頭の横につけて、おどけた様子で指をひらひらさせながら惨めな気持ちを味わってみようとしても、大人になってからではなかなかできないもの。バーベキュー・パーティでトランポリンをしながら、深刻な気分になってみようとしても、それはそれで身体がゆるさないはず。もちろんこれらは極端な例ですが、著者の言いたいことは理解できるのではないでしょうか。(68ページより)

「好印象を与える態度」を選ぶ


自分で自分の態度を選ぶーーそれは誰にでもできること。

たとえば、職場で2人の知人のもとへ近づいていったとします。しかし、もう後戻りできない状況になったとき、この2人が激し口論の真っ最中だということに気づきます。

そんなときに「やあ」と声をかけると、彼らは何事もなかったかのように笑顔を見せ、「ひさしぶりだな」と返事をしてきたため、しばらく談笑します。しかし、こちらが立ち去って姿が見えなくなると、彼らはまた口論を始めることに。そのとき彼らは、こちらに気づいた時点でフレンドリーな態度を選ぶ、それに切り替えたというわけです。

このように、態度は2つの部類にはっきり分かれると著者は言います。ひとつは、人を惹きつける「好印象を与える態度」。もうひとつは、誰の役にも立たない「反感を買う態度」

たとえば“臨機応変な”“好奇心の強い”“歓迎する”などは、「好印象を与える態度」の例。そして“退屈した”“敵対的な”“せっかちな”などは、「反感を買う態度」の例。

著者はここで、以下のような「さまざまな態度」のリストを示しています。ビジネスの相手と90秒でよい関係をつくりたいと思うのなら、好印象を与える態度のなかから、自分にぴったり合うものを選べばいいというのです。
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Image: ライフハッカー[日本版]編集部

自分にぴったりくるものが見つかるまで、いろいろ試してみるべき。そして、ぴったりくるものが見つかったら、目を閉じて、そのとき目に浮かんだ情景、聞こえてきた音、感じた気分などをできるだけ詳細に再現してみようと提案しています。頭のなかにその“映像”を描き、音を聞き、身体で感じた感覚を味わってみるということ。(70ページより)

エクササイズ:さまざまな態度を試してみよう


そして次に、「笑顔のエクササイズ」を実行してみることを勧めています。「好印象を与える態度」でいると、なにもかもが違ってくるもの。それを実感できる3つのゲームだそうです。

①ミラー・トーク…子どもの頃よくやった「○○ごっこ」。社会性や認識力を養ううえでとても有意義なこのゲームは、大人になってからもやってみる価値はあるし、結構うまくやれるものだ。 では、まず鏡の前に立って、「君のせいで気が変になりそうだ」と言ってみよう。続いて、精いっぱいのボディ・ランゲージと、以下のそれぞれの態度にぴったり合った声の調子で、同じフレーズを言ってみよう。

1…怒りながら

2…勇ましく

3…うれしそうに

4…謙虚に

5…穏やかに

(74ページより)

その結果、同じ言葉なのに、まったく違った意味になるのがわかるはず。そして次は同じように、「もう帰るよ」と言ってみて、再度、自分が感じたことを確認してみる。すると、それぞれの態度に合わせ、身体の動きが変わってくることに気づくだろうというのです。

②ボディ・トーク…さきの5つの態度、“怒りながら”“勇ましく”“うれしそうに”“謙虚に”“穏やかに”を書き留めておくか、できれば覚えておくと便利だ。オフィスの廊下やショッピングセンター、あるいは通りを歩いているときに、ボディ・ランゲージや気分をそれぞれの態度をとることで変えてみる。まずは“怒りながら”。歩くのも、ものを考えるのも、息をするのも、ひとりごとを言うのも、この態度でやってみる。次にしばらくしたら、態度を“怒りながら”から“勇ましく”にすばやく変える。そして“勇ましく”から“うれしそうに”、“うれしそうに”から“謙虚に”、“謙虚に”から“穏やかに”と、次々に変えていく。(76ページより)

態度を切り替える際には、自分の姿勢や息づかい、考える内容、顔の表情、心拍数、動く速さ、歩幅などがどう違ってくるかに注目すべき。また、通り過ぎる人たちの反応のも注目してみるといいそうです。

③勝者と敗者…25分間だけ時間を見つけてほしい。最初の5分は、勝者のように振る舞う。胸を張り、誇らしげに、自信に満ちた様子でお腹から呼吸をするーーイメージのなかでは、群衆が両側から歓声をあげ、あなたはそれに笑顔で応えている。次の5分は、敗者のように振る舞う。肩を落とし、惨めな気分で視線を下に向け、自信なげに渋面をつくる。次の5分はもう一度勝者のように、さらに次の5分は敗者、そして最後は勝者で終わる。(77ページより)

著者によれば、このゲームは勝者と敗者、どちらの気分も味わえる点で有効。ただしビジネス上のつながりをつくろうと思うなら、当然ながら常に勝者として振る舞うべきだとも記しています。(74ページより)


著者の実体験に基づくさまざまな事例を交えつつ、コミュニケーションにおける心理テクニックを解説した1冊。わかりやすい構成になっているため、ベスト&ロングセラー実績を生み出してきたことにも納得できます。ビジネスにおける「相手との関係性」に悩んでいる方は、読んでみてはいかがでしょうか。

Photo: 印南敦史

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