県民ショー、ミュージカル、永遠の夏…高校野球が日本人を魅了するワケは?

AbemaTIMES

2018/8/6 16:56


 100回目を迎えた高校野球・夏の甲子園大会。高校時代がもう遠い記憶になってしまっても、地方予選が始まるとふと自分の出身高校が気になってしまったり、印象に残っているあのスター選手や名勝負を思い出し、改めて自分の年齢に向き合ったり。少し感傷的な気持ちにもさせてくれる、それが夏の甲子園だ。

なぜ甲子園は人々を熱狂させるのか。1つ目の仮説は「甲子園="県民ショー"説」だ。プロ野球とは違い、都道府県の代表同士の戦いには郷土愛が加わるというものだ。野球の場合、それが他のスポーツに比べても強いようで、元高校球児で地方の練習試合まで観戦するという芸人・いけだてつやは「敗れた学校が、勝った学校に自分たちの千羽鶴を渡し、想いを託していく場合もある。人と人とのつながりが薄れている時代に、ちょっと古臭い文化かもしれないが、自分たちの代表校が今から全国ネットで戦ってくると考えるとワクワクして、地元を好きになる部分もあるのでは」と話す。

 一方、北陸・東北勢の優勝はまだなく、「西高東低」と言われることもある。実際、夏の甲子園の都道府県別優勝回数は1位が大阪の(2回)、2位が愛知(8回)、3位が東京・神奈川・兵庫・和歌山・広島(7回)、続いて愛媛(6回)となっている。いけだは「そもそも前身の野球大会が西から広がっていった。また、練習時間の問題もある。東日本は西日本に比べて日没が早いが、照明設備がある学校は少ない。また、雪の時期だと練習ができない。それでも田中マー君を擁した駒大苫小牧(北海道)は2回優勝している。香田監督という方のアイディアで、雪を固めて雪上でノックしていたという。マー君も"こんなに面白いことをやっているんだったらこの高校に行こう"と進学を決めたという」と解説した。

 2つ目の説は「甲子園=ミュージカル説」だ。熱い闘いを応援するブラスバンドの奏でる音楽が、熱戦と相まって観戦している人々の気持ちをたかぶらせているのでないか、という仮説だ。「狙いうち」「紅」「ルパンのテーマ」「サウスポー」などが定番曲だが、常連校は「コンバットマーチ」(早稲田実業など)、「ワッショイ!」(天理)、"魔曲"と呼ばれる「ジョックロック」(智弁和歌山)などのレパートリーも持っており、同じ曲を繰り返すだけでなく、様々な計算の元に演奏しているという。高校野球ブラバン応援研究家の梅津有希子氏は「選手のリクエストで曲を決めるため、自分だけの曲としてドラマティックになる。チャンスにはヒッティングマーチを連続させたり、あえて前奏から流し"この回は長く攻める!"と選手を煽ったりする」と話す。

 いけだは「本当にゲームを左右する力があると思う。野球に対する思いが強い人も多く、たとえば横浜高校の吹奏楽部はとんでもない迫力を出す。以前指導されていた金子先生は、吹奏楽部になぜかノックを打っていたらしい」とうんちくを披露した。

 最後の説は「甲子園="永遠の夏"説」だ。球児たちに自分の若かりし頃の記憶を重ねてしまうせいか、自分よりも若い彼らを年上に感じてしまう瞬間がある。また、大会が開催されるお盆の時期には、終戦記念日も含まれる。試合のサイレンは空襲警報を思い出させ、ノスタルジックな気持ちにさせる効果もあるのかもしれない。いけだは「プロ野球と違い、トーナメント戦なので1回負ければ終わり。それが花火とか桜とか、儚さが好きな日本人に合っているのでは。また、多感な時期に高校野球に人生を捧げた少年たちがどんどん成長していく瞬間を見ていると、"取れなかったボールが取れたじゃないか!"と、自分の子ではないのに、親のような気持ちも出てくる。逆にティーンがあれだけ多くのお客さんに囲まれたら、普通の精神状態ではいられない。そういうところも相まって、ミスが起きたり、急にストライクが入らなくなったりすることもあるので」と、球児たちの姿が感情に訴える効果があると話した。

一方、近年気になるのが選手や観客、関係者にとって、猛暑が大きな負担になるのではないかと心配されている。京都大会では、暑さ対策として準々決勝戦が第3試合以降の時間を繰り下げ、異例の"ナイター"として話題を呼んでいる。伝統を守りつつも、安全な大会運営も望まれる。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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