『インクレディブル・ファミリー』大ヒットの理由は“共感”!? 監督が分析


全米歴代アニメーションでNo.1の興行収入という大偉業を成し遂げた、ディズニー/ピクサー第20作『インクレディブル・ファミリー』が日本でも公開に! 14年ぶりの続編となる本作では、愛すべきヒーロー家族の新たな試練の物語が幕を開けるが、そのメガホンを握った監督が、前作の『Mr.インクレディブル』同様ブラッド・バード監督だ。

ファン待望の一家団結アドベンチャーが、これだけのメガヒット街道を爆走し続ける理由の分析をお願いするとともに、カリフォルニアのディズニーランドとの積極的なコラボレーションの事情、愛すべきエドナ・モードへの思いなどを聞いた。

――本作は記録的な大ヒットをしていますが、ある程度予想はされていたとはいえ、何が一番観客に響いたと分析しますか?

家族のひとりだけではなく、そのそれぞれに、いろいろなカタチで共感してもらえていることが大きいだろうね。つまり、それぞれの人生では、さまざまな役割を果たしていくと思うけれど――たとえば子どもがいて、兄弟がいて、親がいて、またその関係など、家族の形態はさまざまだ。いろいろなカタチがあるために共感できる、という意味で響いていると思う。

それと意外かもしれないが、時間が経っていることがプラスに作用しているとも思う。続編を作るには、意外かもしれないけれどね。

――どうしてですか?

今の時代は、すぐ満足感を得たい時代だよね。でも、逆に待ったことで“よりおいしい”ということがあったのではないかな。

――ところで、2017年夏の「D23 Expo」でジャック・ジャックが無数にパワーを持っていることが明かされて以来、そのシーンが話題でしたが、あれは赤ちゃんだから、なのですか?

そうだね。赤ちゃんって、そういうものだろう(笑)?

――つまり、大人になったらパワーが減る?

かもね(笑)。赤ん坊は実際、複数の言語を学べる能力があるそうだが、歳を重ねるにつれそれを失っていくそうだ。面白いよね。ひとつの言語を優先してしまうと、せっかく学べるほかの言語を忘れてしまうわけだ。

――また、あるキャラクターのセリフで「時代にあわせなきゃ」みたいなフレーズがありましたが、どういう思いを込めましたか?

夢を持っている者は、現状維持をしようとする人たちのせいで、それが叶わないこともある。僕たちにとって今よりもいい世界が、その角を曲がれば、ちょっとしたことをすればたどり着けるはずが、そこに行くまでが大変だと感じている。ちょっとだけ変化を起こせば世の中がよくなるのにということが見えているけれども、そこに行くまでが大変だと。そういうじれったい感情が表現されているセリフだと思う。

――話は変わりますが、最近では宣伝のノウハウも変わりましたよね。カリフォルニアのディズニーランドには本作がモチーフのジェットコースターが出来て、監督が演じるエドナ・モードが初めてパークに登場するなど、連動プロモーションも奏功している気がします。

善かれ悪しかれかな。『アイアン・ジャイアント』(99)など、ほぼ宣伝してくれなかったけれどねえ(笑)。良質なマーケティングはもちろんするべきだとは思うよ。『レミーのおいしいレストラン』(07)の時などはアイデアが尽きたのか、良質な作品ということで、僕は反対したけれど最初の12分間をオンラインで公開したことがあったね。今回はパークとの連動ということでジェットコースターに乗った人が、わくわくしてくれたら僕はうれしい。実はシナジーという言葉が好きではないけれど、最初にそのコンセプトを見出した人は、何を隠そうウォルトその人だからね。パークでの商品との連動などというものも、発明した人は彼だ。後の時代のそれは、皆彼の模倣だからね。

――その意味では、カリフォルニアのディズニーランドにおけるピクサーの世界観を再現したエリア、「ピクサー・ピア」の新登場(6月23日)は成功なのでは?

そこには自ずと限界があり、すべての世界観をマッシュアップしてはいけないとは思う。たとえばマーベルと『インクレディブル・ファミリー』のコラボが見たいという人がいるけれども、僕はそれはとんでもないアイデアだと思うし、ディズニーランドのピクサーのエリアにはピクサーのキャラクターだけがいてほしいと思う。でも、お偉方の中には「いいアイデアが浮かんだぞ! ルークとアイアンマン、ウッディとバズをダンスパーティーに一緒に出したらどうかな?」などという人もいて、僕は絶対反対だね(笑)。感謝祭には七面鳥のディナーが出て来るけれど、ああいうものを全部ひとつにして混ぜてグレーになったような状態だよ。それを食べる人もいるだろうけれど、僕はそういうものを美味しいとは思わないのでね(笑)。

――監督とエドナ・モードの2ショットくらいはいいですよね?(笑)

だって家族だからね。ピュアだ。そのアイデアはいけてると思う(笑)。

■プロフィール
ブラッド・バード監督
1957年生まれ。アメリカ、モンタナ州出身。14歳でウォルト・ディズニー・スタジオに注目され、“アニメ界の神童”と称される。入社後、『きつねと猟犬』(81)にアニメーターとして参加した後、退社。さまざまな作品を手掛けた後、1999年、『アイアン・ジャイアント』で監督デビュー。旧友ジョン・ラセターの誘いで『Mr.インクレディブル』(04)の監督と脚本を手がけ、2007年には 『レミーのおいしいレストラン』を監督。『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)、 『トゥモローランド』(15)などの実写作品の監督も。前作に続いて『インクレディブル・ファミリー』 でも、エドナ・モードの声を演じている。

■著者プロフィール
鴇田崇
映画&ディズニー・パークスを追うフリーライター。年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートをひたすら取材しまくる。ジョン・ラセター、アラン・メンケン、キャスリーン・ケネディ、バイロン・ハワード、ティム・バートンなど、ディズニー映画関連人物のインタビュー経験も豊富。世界のディズニー・パークスでは東京だけでなく、アナハイムも偏愛している。instagram→@takashi.tokita_tokyo

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