お腹の冷え以外のことも!日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因は

美beaute

2018/8/6 10:00


胃腸トラブルの意外な原因と解決法

胃腸の痛みや不快感……冷え性の人は要注意!



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

胃痛や胃もたれ、お腹の張りや便秘、下痢など、お腹のトラブルは日常茶飯事という人は多いものです。定期的にトラブルが起きるので慣れてしまい、防ぎようがないと諦めがち。でも、そこにはさまざまな原因があり、きちんと対策をしないと悪化してしまうこともあるそうです。代表的な胃腸のトラブルには、どんなものがあるのでしょうか?

「近年、欧米化する食生活において、慢性的な胃腸のトラブルを抱えている方は多いです。とくに夏場は、冷房の効いた部屋と暑い屋外とのギャップによって、知らないうちに体が疲れていることが多いもの。そこへ冷たい飲み物を飲みすぎたり、夏のイベントで暴飲暴食を重ねたりすると、胃腸に大きなダメージを与えてしまいます。胃痛や胃もたれなどの不快感から、嘔吐につながることもありますし、消化不良でお腹が張ってしまって、便秘や下痢が習慣化することもあります」(山浦先生)

胃腸が悪いと肌荒れにもつながるので、不調が続いているときは放置せず、きちんと原因を知って対処したいところです!

「とくに冷え性の方は要注意です。どんなに運動をして汗をかいているときでも、お尻や太もも、お腹など、脂肪が多くついている箇所を触ると冷たい人は、冷え性の可能性が高い。そうすると、体内も温まりにくく、胃腸の働きが悪くなったり、お腹を壊したりしやすくなります。夏場でも飲み物は温かいものにしたり、一時間に一度は手首や足首を回して血行をよくしたりと、生活習慣を工夫することで改善につながります」(山浦先生)

胃腸のトラブルの原因は、ウイルス感染による食中毒のことも



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

体が冷えたことによって「お腹を壊した」状態になることは想像がつきますが、ほかにも気をつけたいトラブルには、どんなものがあるのでしょうか?

「まず、感染型の胃腸炎、つまり食中毒ですね。夏場はとくに花火大会やキャンプのように、衛生状態が整っていない場所で飲食をする機会が多く、毒性の菌やウイルスをもらってしまうことが多いです。人の多い場所は、感染しやすいですね。また、バーベキューなどで、プロの料理人ではない人たちが調理をして、きちんと火が通っていないものを食べてしまい、感染することもあります」(山浦先生)

単に「食べ物に当たった」と笑ってはいられないほど、ひどい腹痛に苦しんだ経験のある人は多いはず。では、どんな菌に感染していることが多いのでしょうか?

「病院にいらっしゃる方に多いのが、ノロウイルスの感染ですね。冬場に多いと言われていますが、年間を通して感染する方は多いです。非常に激しい嘔吐や下痢を伴います。感染力がとても強いので、汚物や排泄物はすみやかに片づけて消毒をしないと、一緒に住んでいる人に感染する恐れもあります。症状は3日ほどで治まりますが、嘔吐や下痢が続くのでしっかり休むことと、脱水状態になりやすいので、こまめな水分補給が必要になります」(山浦先生)

ノロウイルス以外にも!菌による感染で起きる胃腸の不調



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

ほかにも多いのは、どんな菌ですか?

「黄色ブドウ球菌による感染の場合もあります。この菌は傷口にいることが多く、手や指に怪我をした人が調理をした結果、菌が広まってしまうことも。怪我の有無を問わず、調理前にはよく手を洗い、素手で食品に触るのはなるべく避けたいところです。3時間ほどで嘔吐や下痢といった症状が出ます。

また、肉にいる場合があるのが、サルモネラ菌やカンピロバクターです。サルモネラ菌は卵にいることもあります。バーベキューなどで生焼けの肉を食べたり、賞味期限切れの卵を生で食べたりした結果、菌に感染することがあり、夏場に患者さんが多いのも特徴です。嘔吐と下痢のほか、発熱する場合もあります。肉料理にはしっかりと火を通すことと、卵をとくに生で食べる場合は新鮮なものに限ることが必要になります。なお、いずれもペットを介して感染することもありますので、ペットと遊んだあとは必ず、手洗いを心がけましょう」(山浦先生)

心当たりがないのに胃腸の調子が悪いときは、自律神経の見直しを



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

感染によって不調に陥ったときは「もしかしたら、あのとき食べたあれが原因かな」「人の多いところに行ったから、そこでうつったかな」と、自分でも原因に心当たりがあるもの。でも、まったく心当たりがないのに、なぜか胃腸の不快感が続くこともあります。それはなぜなのでしょうか?

「これと言った原因がなく、下痢や便秘が続いていたり、胃の痛みや胃もたれが続いていたりする場合は、自律神経失調症の疑いがあります。自律神経とは、消化や呼吸など、私たちが生きるための活動を調整する神経で、交感神経と副交感神経の2種類があります。日中に活動しているときは交感神経が強く働いて、心身は活動モードで興奮状態になりますが、夜間やリラックス時には副交感神経が優位になり、心身は休息モードで安らいだ状態になります。この2種類がバランスよく働いていればよいのですが、さまざまな原因によってバランスが崩れると、心身に不調が生じるようになるのです」(山浦先生)

そこで生じる不調のひとつに、胃腸のトラブルがあるそうです。

「自律神経のバランスが乱れ、不調が生じて病気になると『自律神経失調症』という診断になります。症状はさまざまありますが、胃腸のトラブルでは、吐き気、胃の痛み、胃もたれ、胃のむかつき、便秘、下痢、お腹の張りなどが代表的です。胃酸の分泌が過剰になって胃炎を引き起こすこともあります。ほかにも、倦怠感や頭痛、動悸や息切れ、目がうるむ、口がパサつく、めまい、多汗、のぼせ、ほてり、不眠など、自律神経失調症にはさまざまな症状があります。薬を飲んでも治らず、悩んで来院される患者さんも多いです」(山浦先生)

自律神経失調症を引き起こす原因は何でしょうか?

「一番の原因はストレス、さらに不規則な生活や過労です。不安や心配事などのストレスを抱えていると、なかなか気持ちが休まらず、心身は常に緊張した状態になってしまいます。そうすると交感神経が優位になり、心身は休まるときがありません。過労も同様です。真面目で一生懸命であればあるほど、休憩時間もリラックスすることができず、夜も寝つきにくくなり、副交感神経に切り替わる時間がどんどん減ってしまいます。また、副交感神経は就寝中にも働きますので、睡眠時間が短い人は自律神経のバランスが乱れがち。不規則な生活を送っている人も、さまざまな症状を抱えやすいです」(山浦先生)

なお、老化によって女性ホルモンの分泌が減ること、さらに内臓の働きも鈍くなることから、自律神経失調症につながる場合もあるそうです。

ストレスが続くと、胃腸の調子が悪い状態が慢性化して病気に!



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

ストレス過多だったり、緊張したりしているときに「お腹が痛い!」とトイレに駆け込んだ経験のある人は多いはず。それが習慣化すると、過敏性腸症候群になることもあるそうです。

「ストレスフルな生活が続くと、過敏性腸症候群になってしまうことがあります。ハッキリとした原因は解明されていませんが、不安や心配事などのストレスがかかると、腸の蠕動運動が活発になりすぎ、また少しの刺激でも痛みを感じやすくなることから、腹痛が生じると考えられています。下痢のイメージが強いですが、女性は便秘になる人も多いです。便秘が続き、お腹が張ってしまうだけでなく、あまりに便が溜まりすぎてひどい腹痛を引き起こすこともあります」(山浦先生)

胃腸の痛みが続くときは、ピロリ菌の検査をしてみて!



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

胃の痛みが続くときは、別の病気の可能性もあるのでしょうか?

「一度も検査をしたことのない方は、ピロリ菌の検査をしてみてもよいと思います。ピロリ菌は胃の粘膜にいる細菌で、感染すると胃炎を引き起こします。感染経路はハッキリわかっていませんが、幼少期に感染したまま、大人になった人が多いと言われています。吐き気や胃もたれが慢性的に続き、腹痛が生じることもあります。放置すると胃潰瘍や十二指腸潰瘍につながるとされ、胃がんとの関連性も指摘されています」(山浦先生)

胃腸のトラブルが続いたときは、脱水症状に要注意!



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

胃腸に何らかのトラブルを感じたとき、慌てて薬を飲む人は多いですが、それ以上に気をつけるべきことがあるそうです!

「胃腸にトラブルが起きたとき、一番怖いのは脱水状態になることです。嘔吐や下痢、発熱によって、体内からは多くの水分が奪われています。『薬を飲んで、ただ寝ていればよい』と気をつける方は多いのですが、そのときに十分に水分を摂取しなかったせいで、脱水症になって病院に運ばれてくる患者さんもいます。脱水状態が進むと、水を飲んだだけでも吐いてしまうこともあります」(山浦先生)

脱水状態になることで、どのようなリスクがありますか?

「まず、体の中が脱水状態になると血液の濃度が上がって、食欲不振や倦怠感など、さまざまな不調を引き起こします。さらに、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高まってしまうので危険です。また、脱水状態になるとコレステロール値や尿酸値が上がるので、もともとその値が高めの方は注意が必要です。中でも、アルコールを多く飲む方は、胃腸の具合が悪いときは要注意。アルコールには利尿作用があるので、余計に脱水状態を悪化させてしまいます。胃腸にトラブルが起きたときは、経口補水液などで、水分をこまめに補うようにしましょう」(山浦先生)

ほかにも、胃腸のトラブルが続いたときに気をつけることはありますか?

「水分補給と合わせて、栄養補給も心がけたいところです。嘔吐や下痢が続くと、体に必要な栄養成分を吸収する前に、体から抜けていってしまいがち。かといって、お肉やご飯など、ヘビーなものを食べるのも辛い場合が多いですよね。食事は胃腸に負担をかけないおかゆやスープにして、サプリメントを上手に使って、必要な栄養成分を補給しましょう」(山浦先生)

胃腸の具合が悪いとき、食べるとよいもの&食生活のコツ



日本人は胃腸が弱い!?日常的に悩まされがちな胃痛・腹痛の原因とは

胃腸の調子が悪く、胃もたれが続くときは、一体どのようなものを食べればよいのでしょうか?

「胃もたれのときはつい、そうめんやサラダ、ゼリーなど、さっぱりとした冷たいものを手に取りがちですが、体を冷やすものを食べると悪化する場合があります。また、脂っこいものや辛いものなど、消化に時間のかかるようなものは避けましょう。胃に負担がかかりにくい、おかゆやうどん、やわらかく煮た野菜などをいただくとよいですよ」(山浦先生)

では、お腹の具合が悪くて、下痢気味のときはどうすればよいのでしょう?

「胃の場合と同じで、冷たいものは避けて、消化のよいものをいただくのが基本です。でも、下痢の場合は無理に食べても出ていってしまうので、あえて半日~1日、何も食べずに過ごして、胃腸を休めてあげましょう。このときも脱水状態にならないよう、水分補給はおこたらないようにしてください。何も食べずに胃腸を休めたあとは、急に普段通りの食事をせず、おかゆから始めてください。なお、下痢をしているときは、どうしてもという場合以外は、下痢止めを使って止めることはおすすめしません。とくに感染性の胃腸炎になっている場合、悪いものは出しきる必要があります」(山浦先生)

なお、山浦先生の場合は、胃腸にトラブルが生じたとき「コンソメや出汁で味つけをした具なしのスープを作り、すりおろしたショウガを入れて飲む」そう。また、当たり前のことですが、調理の前や食事の前は、必ず手洗いをすることも大切な予防だそうです。

一口に「胃腸のトラブル」と言っても、ただの冷えではなく、菌やウイルスへの感染もあれば、ストレスや不規則な生活による自律神経の乱れもあり、さらにピロリ菌が原因のことも、過敏性腸症候群にかかっていることもあります。「ちょっとお腹を壊しただけ」と軽く思わず、気になったらすぐに内科の先生に相談してみましょう!

■監修
山浦 真理子 先生
​上用賀世田谷通りクリニック 呼吸器内科 ドクタープロフィール

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