【イマドキの気になる現場】甲子園 アルプスの熱中症対策 スタンドの応援ボードが“好救援”

 記念すべき第100回全国高校野球選手権大会が開幕した。記録的猛暑の中、応援に熱が増すアルプススタンドでは手元の温度計で40度を超える場所もあった。各校応援団はどんな熱中症対策を講じているのか。敵チームだけでなく、「危険な暑さ」とも闘う現場を取材した。

 一日でもっとも気温が高くなる午後2時すぎ。一塁側アルプススタンドで測ると、手元の温度計は37・6度を示していた。

 熱風と強烈な日差し。汗が顔や背中を流れ、シャツはすぐにびしょ濡れになり、立っているだけで頭がボーッとしてくる。コンクリートの上に凍らせたペットボトルを置くと、30分もしないうちに溶けてしまった。

 腰を掛けたベンチも鉄板のように熱い。アルプススタンドは試合ごとに人が入れ替わるため、太陽にさらされる時間が長いからだろう。ベンチに温度計を置くと、何と41・1度。国内最高気温に並ぶ高温だった。

 この暑さを乗り切ろうと、各校応援団はさまざまな対策を講じていた。2試合目に登場した済美(愛媛)。2年連続6回目の出場となる常連校は、応援団全員に塩分補給用のタブレットを配布。3イニングに1回のペースで、応援団が指示を出すために使うボードに「塩分チャージタイム」や「水分補給タイム」と書き込んでスタンドを走り、塩分や水分の定期的な摂取を促した。

 さらに、大量の氷で満たしたバケツを準備。凍ったペットボトルをここに入れ、ぬるくなるのを防いだ。甲子園の暑さを知る常連校らしく、万全の対策で選手とともに1回戦を“突破”した。

 3試合目に登場した慶応の応援指導部は、学ランを着用するのが伝統。しかし、この日は試合前のエール交換を終えると半袖ポロシャツ姿に変身。格式より健康を優先した新しい応援の形を披露した。野球部員らは凍らせたペットボトルを1人3本持参して暑さを乗り切った。

 日本高等学校野球連盟が今大会からアルプススタンドに導入したミストマシンも好評だった。2~3イニングに1回のペースで学校関係者が散水。生徒らは「息苦しさが和らいだ」「風で涼しいより水で冷たい方がうれしい」と喜んで涼を取った。

 ただ、まく方は約10リットルの水が入った機械を背負って歩かなければいけない。担当するのはほとんどが教員。40代の男性教員は「私たちが先に倒れるかも」と悲鳴を上げた。

 幾分過ごしやすかったのは、内野スタンドを覆う「銀傘」の日陰で35・0度。一方、バックネット裏は39・5度。球場関係者は「入場ゲートから遠く、近くに出入り口がないため風の通り道が少ないからでは」と話した。

 球場内の通路には扇風機を設置。攻守交代のタイミングでは多くの人が通路に逃げ込んで風に当たった。

 例年より売店の数を1・5倍に増やし、飲料を確保しやすくするなど球場サイドと連携した熱中症対策も取った。

 それでも大会本部はこの日、熱中症、日射病の疑いが32人いたと発表した。

 スタンドの暑さは想像を超えている。出場校や観客による“暑さ対策の熱戦”の火ぶたも切って落とされた。

 《「かちわり」の底力、コンクリ上で55分》甲子園名物といえば「かちわり氷」200円、税込み。アルプススタンドのコンクリートに置いたところ55分で溶け切った。30分で溶けてしまったペットボトルに比べると“長持ち”した印象。スタンド取材で36.8度まで上がった記者の体温も、かちわりを首などの静脈に30分ほど当てると0.5度ほど低下。甲子園名物の底力を体感した。

 《グッズ大盛況》100回大会の記念商品が販売されたグッズ売り場も大盛況。買い求める人々の列は終日途切れることがなく、ショップ関係者は「これだけ忙しいのは記憶にない」とうれしい悲鳴。記念グッズの中でも歴代優勝校の校名が入ったタオルやタペストリーが人気で、同関係者は「在庫が追いつかない状況」と予想以上のペースで売れていることを明かした。

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