男性目線で"生理"を描いたワケを、漫画家・小山健に聞く


 月に1回やってくる、女性にとって煩わしくも身近な存在「生理」。そんな、デリケートな現象を擬人化し、コミカルに描きあげたマンガが『生理ちゃん』(KADOKAWA)だ。

 女性のもとを突然に訪れては、生理パンチをドカッと食らわす生理ちゃん。腹痛・眠気・むくみなどあらゆる不調を引起こす一方で、女性の悩みや本音を聞いて相談に乗ってくれる優しい一面も……。生理ちゃんとさまざまなタイプの女性を巡る人間模様が展開される同作。生理のリアルな描写や女性に寄り添った内容が共感を呼び、掲載されたWebメディア「オモコロ」では累計800万PV(6月末時点)を記録。書籍化となった。

 コミックス発売後、反響はさらに大きく広がり「この本は、異性に関心が出始めた人々全てが読むべき本だと思う」「思慮深く、人の心の機微を見ている」「"症状"だけでなく"気持ち"がわかるようになる本」「男の勝手な思い込みを物の見事にぶっ壊してくれる」と男女問わず称賛の声が上がった。

 一方で、公に語ることがタブーとされるテーマだけに「とても『巧い』と思うけど不快さが拭えない部分がある」などと、一部女性から戸惑いの声が上がっている。

 世間にセンセーションを巻き起こす『生理ちゃん』。タブーに一石を投じた、その執筆のいきさつから周りの反響まで、著者の小山健さんに作品についてうかがった。

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――まず、生理ちゃんを執筆する前の生理のイメージを教えてください。

小山健(以下、小山) 血がでて痛みやしんどさがあることは知ってたのでなんとなく大変なんだろうなと思っていました。

――そんな、大変かつ女性の現象である生理を題材にされたのはどのような経緯でしょうか? また、執筆されるにあたり抵抗や反応の怖さはなかったですか?

小山 面白がってはいけないんですが、正直に言うと面白くなりそうだなと思ったからです。玄関を開けて生理ちゃんが入ってくるシーンが最初に浮かんで、描きたいなと思いました。男のお前になにがわかるんだと言われて当然な題材なので抵抗のある方が出てきてしまうことは仕方がないかな、と思ってました。

――好奇心から突き動かされたワケですね。「面白がってはいけない」というのは、どのような部分でそう思われたのでしょうか?

小山 話題にするときに誰もが慎重を要するテーマで、なおかつ自分が当事者ではないからです。「お笑い」と「笑いものにされる」ということは人それぞれでごっちゃになってしまうことがあるので、笑い者にされてると感じる人も中にはいるかもしれないと思います。

――生理や女性の繊細な描写について、その“当事者”である女性から共感の声が上がっています。このアイディアはどのように得たのでしょうか?

小山 自分には分からないので女性の友達や仕事相手に聞きました。奥さんには聞けませんでした。

――なるほど。一番身近な女性である、奥様に聞けなかった理由とは?

小山 生理のことだけではなく、漫画や仕事のことに関してあまり奥さんとは話しません。普段とはチャンネルを変えて仕事をしてるところがあるのでいつもとちがってそんなこと考えてるんだ、と思われるのが恥ずかしいからです。

――ちなみに、男性が生理を描くにあたって小山さんが気をつけていたことはありますか?

小山 メッセージ性や主張が強いとだれにも読んでもらえないものになりそうな気がして、単純に面白いマンガを描くことを目指して社会問題としてどうとかという話はナシにしました。ただ、せめて間違わないことが礼儀だと思いネットでわかることはネットで調べて、それでもわからない場合は描きたい内容が事実と合っているのか女性に聞いて答え合わせをするということをしていました。

――生理に対する知識をだいぶ蓄えたんですね。生理を描いていて、女性に対する新たな気付きがありましたか?

小山 万全な体調であることが1カ月のうちに1週間くらいしかないことが衝撃的でした。

――男性には想像しづらいですよね……。生理で一番つらそうだと思ったことは?

小山 生理がつらいと言って仕事をはやく上がったり締め切りをのばしてもらったりできないのが大変そうだと思いました。

――作中にも、締め切り前のライターさんが生理になるというエピソードがありましたね! その回に「性欲くん」が登場したり、男性が“性欲”と葛藤している場面が何度かありましたが、なぜ男性の性欲を描いたのでしょうか?

小山 生理と同列になるものはないけど、そこは諦めて強いて言えば男性にとってわずらわしいものという感じで出しました。けして良いことばかりじゃなく、物悲しさも虚しさもつきまとうので実際のところかなりやっかいな存在だと思います。それでもそんなものと同列に扱うなという意見は多かったのでそう思うんだな~と思いました。

――今回、単行本化にあたり、「PMSちゃん」という読み切りがマンガを描き下ろしされていましたね。PMSって、生理自体よりも女性にとってナイーブな現象ではあるんですが、なぜ扱おうと思ったんですか?

小山 描いてほしいという意見が多かったからです。

――要望が多かったんですね! 女性読者が多いと思うんですが、ご自身と同性である、男性からはどのような反響や感想がありましたか?

小山 彼女や奥さんに無理矢理読まされたけど面白かったと言ってもらえることが多いです。あんまり男性をワルモノに描いてないので読みやすいのかもしれません。

小山健プロフィール
イラストレーター・マンガ家。会社員時代に趣味でブログに描いていたマンガ「手足をのばしてパタパタする」をきっかけにマンガやイラストを様々なところで執筆。
2017年、お父さん目線の育児コミック『お父さんクエスト』(ポプラ社)が大きな話題となる。 本作『生理ちゃん』(KADOKAWA)を6月に発売。

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