村上春樹がラジオ初登場!「ジョギングのときに聴いている曲」を解説

TOKYO FM+

2018/8/5 20:00

作家・村上春樹さんが初めてディスクジョッキーをつとめたラジオ番組「村上RADIO~RUN&SONGS~」が、8月5日(日)にTOKYO FMにて放送されました。この番組では村上さん自らディレクターもつとめ、「RUN&SONGS」をテーマに選曲を担当。ジョギングのときに聴いている楽曲から選りすぐりの7曲と、オープニングテーマ曲、エンディングテーマ曲を合わせた、全9曲をお届けしました。その中から前半3曲とその解説、またジョギングについてお話しされた概要を紹介します。


パーソナリティをつとめた村上春樹さん

<オープニングテーマ曲>
◆「MADISON TIME」(DONALD FAGEN WITH JEFF YOUNG & THE YOUNGSTERS)

村上:ドナルド・フェイゲンのMADISON TIME。
スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンが2003年NYでやったライブ。キーボード奏者ジェフ・ヤングのバンドがバックです。これはジャズ・ピアニストのレイ・ブライアントの作曲で、1960年ぐらいにヒットしました。レイ・ブライアントは正統的なジャズ・ピアニストで、マイルズ・デイビスとかソニー・ロリンズなどとも一緒に共演したことがあります。
10代の頃、僕はすごく真面目なジャズ・ファンだったので、あのレイ・ブライアントがどうしてこんなコマーシャルな音楽をやるんだろうと首をひねったんだけど、いまこうして聴くとすごくいいですよね。肩の力が抜けていて、グルーヴィーで。

◆「Heigh-Ho / Whistle While You Work / Yo Ho (A Pirate's Life for Me)」(Brian Wilson)

村上:この曲はブライアン・ウィルソンがつくったディズニー関連の曲を集めたアルバムの中の一曲。3つの曲が一緒になっていますが、一曲目がこのYo Ho、これはディズニーランドのカリブの海賊のテーマソング。あと2つはHeigh-HoとWhistle While You Work(口笛吹いて働こう)。この2曲は1937年に公開された白雪姫の中の音楽、つまりディズニーの古い映画のテーマと新しい映画のテーマを一緒にしちゃったわけです。組み合わせが面白いですよね。
アルバムが出たときは「なんでブライアンがディズニーの曲集を出すわけ?」と首をかしげましたが、 考えてみれば、ウィルソン三兄弟が生れ育ったのはカリフォルニア州のホーソンという街で、アナハイムに近いんです。アナハイムといえば、ディズニーランドがある。子どものころのブライアンはディズニ―ランドに行くのがすごく好きだったみたいです。

<挿入曲>
◆「SURFIN' U.S.A.」(THE BEACH BOYS)

村上:ビーチ・ボーイズはずっと同時代的に聴いてきたわけですが、出会いはもちろんSURFIN' U.S.A.。サーフィン・ミュージックというコンセプトがすごくかっこよかった。 しびれました。あれからほとんどしびれっぱなしなんだけど。
しかし、ウィルソン三兄弟のうち、いまブライアンだけが生き残ってこうして熱心に演奏活動をしているというのはちょっと信じられない。すごく不思議な気がします。ブライアンは天才肌で、超センシティブな人で、現実の世界とはうまく折り合いをつけていけないタイプの人だったから、そういう人が生き残るって、すごく不思議だと思いますね。人生ってわからない、本当に。

◆「D.B.BLUES」(king pleasure)

村上:これはキング・プレジャーのD.B.BLUES。キング・プレジャーはもちろん芸名で、本名はクラレンス・ビークス、かなり田舎くさい名前です。これでは絶対に芽が出ないと考えて、「王様の喜び」という意味のド派手な名前をつけました。 これはジャズでいうボーカリーズ、ジャズの器楽ミュージシャンの演奏やアドリブにそのまま歌詞をつけて歌うタイプの草分けの人です。
ジャズ・テナーのレジェンド、レスター・ヤングが1945年に発表した「DBブルーズ」というブルーズ曲に歌詞をつけて歌ってます。DBというのは、陸軍刑務所(Disciplinary Barracks)のこと。ヤングは実際に麻薬所持の罪で1年間陸軍刑務所にぶち込まれた。これはとても過酷な体験だったようで、それが彼の人生や人柄をずいぶん変えてしまったといいます。曲の終わりのほうでテナーサックスのヒューストン・パースンの、レスター・ヤングばりのがんばったソロが入るんだけど、シングル盤用の録音なので途中でフェード・アウトしてしまう。気の毒です。

村上さんは曲の解説の合間に、ジョギングについても語りました。

【勇気を分け与えてくれるような音楽】

村上:僕はジョギングするときにいつもiPodで音楽を聴いていますが、一台に1,000~2,000曲入っていて、それを7台ぐらい持ってます。走るときに適した音楽は何かというと「むずかしい音楽はだめ」ということですよね。リズムが途中で変わるとすごく走りにくいから一貫したリズムで、できればシンプルなリズムのほうがいい。メロディがすらっと口ずさめて、できることなら勇気を分け与えてくれるような音楽が理想的です。

【走るのは昔から好きだった】

村上:昔から走ることは割に好きだったんです。高校時代、学校で走らされたりするじゃないですか。神戸の学校だったから、六甲の山の上を走るレースが年に1回あるんだけど、僕は結構僕走るんですよね。クラスの女の子とかが道路に沿って並んでて、「何とか君頑張って~」と応援するんだけど、僕には“村上君無理しないで~”とかいうんですよね。それはないだろうと思うんだけどね(笑)。

この記事で紹介できなかった選曲や他の内容は、以下の記事よりチェックできます。
▶▷村上春樹「文章家になるつもりはなかった」ラジオで語る“音楽と小説”
▶▷村上春樹「下半身が安定しないと文章は書けない」…その意味とは?
▶▷村上春樹「自分の葬儀でかけたい音楽は?」ラジオで質問に回答

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<番組概要>
番組名:村上RADIO~RUN&SONGS~
放送局:TOKYO FMをはじめとするJFN系列全国38局ネット
放送日時:2018年8月5日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組HP:http://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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