坂東巳之助と中村隼人が新橋演舞場で大立ち回り!歌舞伎『NARUTO-ナルト-』開幕だってばよ!

SPICE

2018/8/5 18:30



2018年8月4日(土)から、東京・新橋演舞場にて新作歌舞伎『NARUTO』が開幕した。その前日、マスコミに向け、ゲネプロ(通し稽古)が披露され、「うずまきナルト」役の坂東巳之助と「うちはサスケ」役の中村隼人が初日を目前にした心境を会見で語った。
(左から)中村隼人、坂東巳之助
(左から)中村隼人、坂東巳之助

『NARUTO-ナルト-』は岸本斉史により「週刊少年ジャンプ」で1999年から2014年まで連載された、世界的な人気を誇る漫画。落ちこぼれ忍者の「うずまきナルト」が忍術の修行や敵との戦いに挑むバトルアクションストーリー。国内ではシリーズ累計1億4000万部、海外でのコミックス累計発行部数は9500万部以上を誇る。

今回初の歌舞伎化となるが、コミックス全72巻分の内容が2度の休憩(30分、20分)を挟みつつ約4時間で綴られる。そこには身体の中に九尾の妖狐を封印されたきっかけや、ナルトと「うちはサスケ」との友情、ナルトが両親から受けたこの上なく大きな愛情、うちは一族が抱えてきた過酷な因縁、秘密結社「暁」の狙いや仮面の男の野望…すべてが盛りだくさんで描かれている。演出は数々の人気舞台を手掛けてきたG2が務めた。




ゲネプロの前に行われた囲み会見では、巳之助と隼人が姿を現す。本作のポスターが出来た段階からビジュアルの完成度の高さが話題となっていたが、実際ナマで観るとさらにその精密な再現ぶりにため息が漏れる。

巳之助は長大な原作を持つ『NARUTO』の舞台化について「大変じゃないですか?」と話を振られると「そんな……他人事みたいじゃないですか!」と笑顔で突っ込み返す。改めて「長大な原作のどこかの部分をやる、というのではなく、この舞台で完結させる事を目標として掲げてきました。最初はそれが制約のようにも感じられましたが、稽古をやっていくうちに『この場面はやらねばなるまい』という心境となりました。全場面が見どころだと思います」と振り返る。また隼人は「演出のG2さんや猿之助兄さんらと『ここは要る、ここは要らない』と何度も議論を交わしながら物語を詰めていきました」と語り、二人とも、原作を読んで育ったファンとしてのこだわりをかいま見せていた。
坂東巳之助
坂東巳之助

なかでも巳之助は「『NARUTO』はバトルマンガなのですが、闘いをすることによって、キャラクターたちが気持ちを交換しあうとか、物語が前に進んで行くのがバトルマンガだと思うので、舞台化するにあたっても立ち回りは不可欠な存在であり、大切だと思うんです」と述べる。また隼人は「普段歌舞伎でやる立ち回りもありますが、それよりもっとスピードの速い、歌舞伎ではないような立ち回りもあって、よりリアルな動きが求められました。普段は刀を振る度に脚を前を出す、という(歌舞伎ならではの)型も、ここでは後ろに脚を引いて…など、ちょっとしたところが難しかったですね」と説明していた。
中村隼人
中村隼人

隼人はこの舞台で初めてカラーコンタクトレンズを使ったとのこと。サスケが“写輪眼”という技を開眼するという設定を忠実に再現するために装着する。「これまではずっと裸眼で人生初のコンタクトが“写輪眼”だったんですよ。世の中のコンタクトレンズを付けているユーザーを尊敬しました。こんな異物を入れて歩いているのか、と。付けていて違和感がありますね」と驚きと慣れない戸惑いを口にした。一方の巳之助は「僕は視力矯正用のコンタクトレンズを入れています!」と先輩のような口ぶりをして場を沸かせていた。

冒頭でも触れた二人のいでたちを「まるでビジュアル系のよう」と指摘されると、隼人は「僕らよりもっとX JAPANみたいな人がたくさん出てきますよ」と背後に設置されていた猿之助と愛之助の格好に目をやり、「(この二人は)モロX JAPANですからね」と笑う。本来の歌舞伎でも『NARUTO』に負けないくらいド派手な役もある、という事に触れつつ「(今回の衣裳には)連獅子の獅子などで使っている毛を使ったり、結構、歌舞伎にあるものを使っているんですよ」と衣裳の点でも歌舞伎と漫画がうまく交わっている事に触れていた。


歌舞伎界では、2016年10月に大人気漫画『ワンピース』を原作とした『スーパー歌舞伎2 ワンピース』を上演し、大きな話題となった。『ワンピース』にも出演していた二人に本作との違いを聞いたところ、巳之助は「『ワンピース』が陽だとすると『NARUTO』は陰の部分がある。『ワンピース』のように『みんなで一緒に盛り上がろう!』という作品とは少し違い、『NARUTO』では物語や舞台の濃密な時間をじっくりと楽しんでいただけるように作り上げました」と言葉に力を込めていた。






会見後披露されたゲネプロでは、コミックス72巻分をよくぞこれだけ自然な一作にまとめ上げた、という感動と興奮がそこにあった。漫画やアニメ原作の舞台化となると、無理に人気エピソードを入れすぎて、全体のストーリーが破綻する危険性も多分にあるが、こと『NARUTO』に至っては最初からこういう内容の物語だ、と言い切れるくらいの説得力を持ったストレートプレイとなっていた。


会見で話題となったアクションだけでなく、キャラクターたちが見せる忍術は、役者自らが身体を張るアナログな見せ方(影分身の術など)から、映像技術でステージ全体を術の中に誘うものまで、非常に多岐にわたり、それが違和感なくなじみ、迫力をもたらしていた。また、歌舞伎で見せる「六方(六法)」や「見得」「にらみ」「宙乗り」といった表現・技法も盛り込まれ、音楽ではチョンチョンチョン…という「ツケ」の粋な音色や、死んだ人間が蘇る場では「ヒュ~ドロロロロ~」というお約束の音も聞こえてくるなど、様々な点で漫画と歌舞伎の「良いとこどり」が成立していた。






ナルトやサスケだけでなく、サクラやカカシ先生、自来也(じらいや)や綱手(つなで)、大蛇丸(おろちまる)、うちはマダラといった人気キャラクターも大活躍。なかでも片岡愛之助と市川猿之助がWキャストで演じるマダラの圧倒的な存在感と、中村梅丸演じるサクラは、まるで本物の女性が演じていると錯覚するくらいの愛らしさに目を奪われた。※ゲネプロでは愛之助がマダラを演じた。

クライマックスでは大量の本水も使われる中、激しいアクションが繰り広げられる。最後まで目が離せない仕上がりに期待いただきたい。

取材・文・撮影=こむらさき

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