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近年、子どもを連れてアーティストのライブや大型音楽イベントに参加する親子が増えてきました。
自分が好きなアーティストのライブを、子どもにも楽しんでもらいたいという親心は理解できます。しかし、その一方で子ども連れで参加することに否定的な意見も聞こえてきます。
批判の対象になっているのは、主に2つ。
・ライブ中の大音量が、子どもの耳に悪影響を与える。
・子どもがいると、周囲の人が気を使う。
そのため、アーティストによっては、ライブ会場に臨時の託児所を併設したり、大音量から子どもの耳を保護する『イヤーマフ』を配布したりといった、対策が取られています。
毎年、8月に開催される大型音楽イベント『SUMMER SONIC』(以下、サマーソニック)でも、子ども連れで参加する親子への対策がとられており、その充実度はほかのイベントに比べると抜きん出ている印象。
2018年で19年目を迎えるサマーソニック。開催当初10~20代だった観客が、親になっている可能性もあります。
特に2018年のサマーソニックは、主催者である株式会社クリエイティブマンプロダクションの清水直樹社長が「原点回帰」と語っているように、往来のサマーソニックファンにとっては、心躍るようなアーティストがラインナップされています。
例年以上に観客の注目度も高いからこそ、子ども連れでサマーソニックに参加することに対して、清水社長自身はどう感じているのか…イベントを主催する側の視点から、語ってもらいました。

『キッズエリア』を設ける意味
『キッズエリア』という、親子連れ専用のエリアが設けられているサマーソニック。
2017年には、子どもが遊べる遊具が用意されていたほか、元EXILEのパフォーマーのUSAさんのダンスワークショップが開催されるなど、さまざまな工夫が散りばめられていました。
――『キッズエリア』を設けようと思ったきっかけは。僕は海外のフェスを観て育って、それを日本でやりたいと思って始めたイベントのプロモーターなんですよ。
僕らからすると、
子ども連れでフェスに来るっていうのは当たり前で、海外のフェスは本当に10代よりもっと若い子どもから、上は70代の人もいるんですね。
だから、
すべての世代にとってちゃんと充実した設備を用意しなきゃいけないっていうのがフェスの基本だと最初から思ってました。
どうすればみんながいい環境でフェスを楽しんでもらえるかを考えた時に、『キッズエリア』はマストだろうなっていう考えかたですね。
また、サマーソニックでは、イヤホン型の耳栓である『イヤーマフ』が販売されています。
清水社長によると、海外ではイヤーマフが20年ぐらい前から取り入れられており、サマーソニックは日本国内でいち早くイヤーマフを取り入れたフェスだといいます。

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サマーソニックでは1番最初にイヤーマフを、売り出したんです。
やはり、子どもをライブに連れてくる上で、子どものことも同時に考えなきゃいけないってなった時に、大人と一緒で大音量の空間にいさせるっていうのは違うなと。
イヤーマフをつけるっていうのは、やはり子どもに対する親の考えであり、周りもいろいろと気を使わせなくて済むってことで、いち早く取り入れましたね。
フェスに『制限』はない
――子ども連れの観客は、年々増えている印象か。サマーソニックって開催から19年経っているので、要は初めて開催した年に生まれた子は成人している可能性もあるわけです。
そうすると、当時のお客さんもそういった親になっているわけで、親子で来てくれる世代になっているとは感じますね。
――子ども連れでのフェスに否定的な人もいます。そもそもフェスに参加するのに、ライセンスはいらないわけで。
恋人を連れて来てはいけないとか、親と来てはいけないとか、もちろん、子どもを連れて来てはいけないとか、そういった制限はないですよね。
要は、
フェスは自由な空間なんですよ。そこに、「○○を連れてくるな」という考えが、根本的に自分にはないですね。

幅広い世代が楽しめるサマーソニックの魅力
先にもいった通り、サマーソニックは子ども連れに対するホスピタリティが厚いフェス。キッズエリアを充実させる『ヒント』は、どこに隠されているのでしょうか。
――今後、キッズエリアをさらに充実させる予定は。親としては、できるだけライブを観たいはず(笑)。子どもを預けてでも観たいっていう欲求もあるとは思います。
そうした気持ちはよく分かりますが、だからといって、
子どもを置き去りにして親だけで何時間もライブに集中していいかといわれたら、それはそれでよくないとは思うんです。
「楽しんでもらいたい」でも「自分の子どもの管理はしっかりしてね」という、そこのバランスが大事になってくるんじゃないかと思います。
――充実した設備の『着想』はどこから得ているのか。主催者である僕ら自身、子どもを持つ世代になってきたから、そうなるとスタッフ全員がいろんなことを考えるんですよ。
いろんなフェスに行く中で、「今度このアイディアを取り入れたらいいんじゃないかな」っていうのを、絶えずみんな頭の中に持っていますね。
それで、今年の計画を立てる中で、いろんなアイディアを出していくんですよ。毎年、新しいことを考えながら、それを実行するっていう流れになっていますね。

19年目の『原点回帰』
観客の目線に立ち、より楽しめるように、より過ごしやすくなるように進化し続けるサマーソニック。
一方で、2018年のサマーソニックは『原点回帰』といわれるように、2000年の開催当初を彷彿とさせるコアなアーティストのラインナップがファンの間で話題を呼んでいます。
――2018年のサマーソニックの『テーマ』は。『原点回帰』もそうだし、今年は『総力戦』っていってるんですね。どの時間帯、どのアーティストを観ても充実した内容だし楽しめるっていうラインナップとステージになっています。
――その中で、特に注目すべきアーティストは。この質問はよく聞かれるんですが、実は出る媒体によって『おすすめアーティスト』は変えているんです(笑)
grapeさんにおすすめするとしたら、アメリカ出身のミュージシャン『BECK』ですかね。
BECKはアーティストとしても、脂がのった時期だと思うんですよ。
1990年の初頭にデビューしてから、あまるほどいろんな曲がありますし、去年リリースしたアルバムは『ポップの金字塔』といわれるぐらい楽しい内容でした。
さらにその前に出したアルバム『メロウ・ゴールド』は逆にフォーキーなもので、グラミー賞をいくつも独占しているし、さまざまな顔を持っているアーティストです。
2017年の武道館ライブでは、そのすべての集大成みたいな完璧なライブだったんですね。
そんなBECKが、今年のマリンスタジアムのメインとして出演してくれるっていうのは、見応えがあるものになると思います。
BECKは、マリンスタジアムの大トリとして、7月19日の19時35分から出演予定。主催者おすすめのアーティストであるBECKのライブを、見逃さないようにしてください!
まだサマーソニックに行くか迷っている人へ
サマーソニックは、2018年8月18~19日に、東京と大阪で同時開催されます。開催も目前ですが、まだ行くか迷っている人も中にはいることでしょう。
そんな人たちに向けて、「サマーソニックは、必ず自分なりの『楽しみ』を見つけられる場所」だと語る清水社長。
サマーソニックって、最初のとっかかりになりやすいフェスだと思うんですね。
まずは交通の便がいい、音楽のジャンルも洋楽邦楽含めて充実している。
そして、フェスだと夏のこの時期は野外で過酷な環境かなって中で、ちゃんと幕張メッセというインドアの中で、クーラーが効いた過ごしやすい場所もあります。
ですので、軽い気持ちで参加してもらえたらなって思います。
それで、
サマーソニックに来たら必ず自分の楽しみを見つけられるので、そこでさらに2年3年と連続して来てくれるようなヘビーユーザーになってもらいたい(笑)。
まずは、一度来てもらいたいです!
「どんな人でも、楽しめる」という清水社長の言葉が印象的だった今回のインタビュー。
毎年、サマーソニックを楽しみにしている人の中には、キッズエリアがあって助かったという人も多いことでしょう。
こうしたサマーソニックでの取り組みがより一般化し、親も子どもも心から楽しめる場が増えていけばいいですね。
SUMMER SONIC 20182018年8月18日(土)・19日(日)の2日間開催
サマーソニック東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
サマーソニック大阪会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
[文・構成/grape編集部]