ジャニーズは不祥事&退所続き……企業コンサルタントが「ジュリー氏の問題点」を斬る!!


 「ジャニーズ終わった」――そんなため息混じりの嘆きが、至るところから聞こえてくる。今年、ジャニーズ事務所は大揺れに揺れている。TOKIO山口達也が、未成年への強制わいせつ事件で書類送検(不起訴)され退所、関ジャニ∞・渋谷すばるがグループ脱退と退所を発表、NEWS・小山慶一郎と加藤シゲアキが未成年との飲酒同席騒動でそれぞれ活動自粛と厳重注意処分を受け、Hey!Say!JUMP・岡本圭人は2年間の留学とそれに伴う活動休止を公表と、タレントの不祥事や人材流出が立て続けに起こったのだ。

こうした現状を受け、世間には“ジャニーズ終焉”の空気が漂いだした。熱心なファンたちも、「ジャニーズ、大丈夫なのかな?」「応援しているのが不安」と口々に訴え、中には、SMAP解散騒動を機に、ジャニー喜多川社長とメリー喜多川副社長から、事務所の実権を引き継いだとされる藤島ジュリー景子副社長の手腕に、疑問を投げかける声もある。果たして、ジャニーズ事務所は本当に、終わりの始まりを迎えているのか。企業コンサルタント・大関暁夫氏に話を聞いた。

――今年に入ってからトラブルが頻発したことにより、世間では「ジャニーズ終わった」という声が高まっているのですが、大関さんの目にはどのように映るでしょうか?

大関暁夫氏(以下、大関) 今年起こった一連の騒動を見ていると、組織の求心力が落ちていると感じますね。やはり、2016年に起こったSMAP解散騒動、また有能といわれていたSMAPのチーフマネジャーが退職したことに、端を発しているのではないでしょうか。我々には見えない部分ですが、これまでは、経営者とマネジャーの信頼関係があり、だからこそタレントがしっかり働けていたものの、SMAP解散騒動以降は、それがややおかしくなっているのではないか、と。確固たる証拠はないですが、そういった雰囲気は伝わってきます。

――SMAP解散は、ジャニーズファンの間でもかなり尾を引いている騒動です。

大関 一般企業に置き換えて考えてみましょう。経営者が、その会社の主軸となる、スピリットを示すような“主力商品(=SMAP)”を粗雑に扱い、商品価値を下げる問題に発展させ、最終的に失ってしまったわけです。組織とは生き物なので、その影響は中にも外にも伝わります。SMAP解散は、経営責任を問われるべき騒動だったと思います。

――今年立て続けに起こっている不祥事や人材流出は、タレント個人の問題に感じるのですが、トップに問題があるといえるのでしょうか?

大関 はい。組織はトップの意思を反映して、風土が作られていきますから、当然、そのときに実権を握っているトップの求心力が弱ってくると、タレントの気持ちが離れ、問題を起こすようにもなると考えられます。例えばベンチャー企業でも同様で、社員が経営者の心意気や事業にかける思いに共感を覚えれば、単に「給料が安い」「仕事に恵まれていない」だけでは辞めていかない、「一緒に頑張って、いずれみんなでハッピーになればいいじゃないか」と思うものです。社員にそう思わせるのが、トップにとっては重要な部分だけに、やはり、SMAP解散騒動がベースにあって、ジャニーズのトップの求心力が弱まっていると感じますね。

――現在、ジャニーズ事務所の実権は、ジャニー喜多川社長とメリー喜多川福社長から、藤島ジュリー景子副社長に移ったとされています。

大関 代替わりって、ものすごく重要なポイントなんです。ただ、民間企業でも国営企業でも、世襲制をベースにしている組織は、大企業であればあるほどシステムが出来上がっているので、誰が継いでも大きな影響は出ないといわれています。北朝鮮を例に挙げるとわかりやすいかもしれません。北朝鮮は、現在、世襲で三代目という流れですが、社会主義国家としてのベースがしっかり出来上がっているため、世襲によって急激な変化が起こることはない。もちろん、継いだ人間の能力によって、徐々に変化がもたらされることはありますが、実権が移った段階ですぐに……というのは、そもそも組織としての統制がとれていないということになるでしょう。

しかし、芸能事務所のような小さな組織では十分起こりうることなので、断言はできませんが、ジュリー氏に経営者としての器に問題があるといえるのかもしれませんね。ジャニー氏とメリー氏が厳しく統制を取っていたとしても、SMAP解散、そしてジュリー氏の経営方針や彼女自身のリーダーシップに、タレントがなんとなく嫌な印象を覚え、気持ちが緩んだということもあるのではないでしょうか。

――その気持ちの緩みが、山口や小山のような不祥事につながったのかもしれません。

大関 ああいった不祥事が立て続けに起こるのは、組織の緩みが出ている証拠です。下の者は、上の者の行動を見て、「上がダラけているんだから、俺もダラけていい」などと、自分の行動を決めるところがありますから。逆に上が厳しすぎて、下の者の気持ちが離れていくケースも考えられますが。もちろん、これは組織の中に入って検証しなければわからないことですが、「組織統制」という観点から考えると、やはりトップに何か問題や原因があると疑うべきだと考えます。

――これまでジャニーズは、ジャニー氏のイメージが強かっただけに、それを引き継ぐジュリー氏は大変かもしれないとは思います。

大関 ジャニー氏は、いわばカリスマトップ。カリスマトップの代替わりはリスクが高いものだと思います。ファーストリテイリングの柳井正氏やソフトバンクの孫正義氏などもそうなんですが、カリスマになりすぎればなりすぎるほど、誰にバトンタッチするか、どのタイミングでするかなどが、難しい問題になってきます。

ただ、ジャニー氏のようなカリスマトップ自体が悪いわけではなく、組織の人間がトップに信頼感を持ち、崇めていることが前提となり、コミュニケーションが円滑に進んで、組織の統制が取れるということがあります。しかし、次の代に移ったときに、同じコミュニケーションの取り方が有効かというとそうではないんです。

――ジャニー氏に対してタレントが信頼を寄せているのは、ファンの目にも明らかだったと思います。実際にタレントがジャニー氏に関する話をテレビなどで披露する機会は多いです。

大関 組織にとってコミュニケーションは重要なんです。先のサッカーワールドカップの日本代表を例に出すとわかりやすいと思います。大会2カ月前になって、バヒド・ハリルホジッチ監督が更迭されましたが、選手とのコミュニケーションがうまく取れなかったことが原因だったそうです。連戦連勝していれば、選手も「この人についていけば間違いない」と思うでしょうが、実際には連戦連敗だっただけに、恐らく選手の間に「この人の言うことを聞いていていいのか?」といった気持ちが芽生えたのではないでしょうか。そこで、「我々の意見も入れてください」と訴えても、つっぱねられてしまっては、組織として崩壊に向かうのは当然。「俺はもう辞める」なんて人が出てきたら、その組織はもう崩壊寸前です。

これをジャニーズに置き換えて考えてみましょう。ここ数十年、ずっと連戦戦勝を続けていたジャニーズにとって、“SMAP解散騒動”は、ある意味初めての大きな負けだったのでは。そんな敗北の雰囲気が漂う中、トップは、タレントとのコミュニケーションの取り方、心のつなぎ止め方、さらに大きく言うと組織の運営に関して、もっともっと気を使うべきなのです。それをカリスマトップの二代目を引き継いだジュリー氏が、もし「今まで通りやればいいや」と考えているならば、タレントから「だからSMAPは解散してしまったんだ」と見られてしまい、結果的に組織に対する気持ちが離れることも致し方ないのではないでしょうか。

――タレントの不祥事や人材流出が今後も続くのではないかと不安がっているファンは多いのですが……。

大関 SMAP解散騒動後、ジャニーズ事務所は連戦連敗状態と言えるかもしれませんね。日本代表は、監督が西野朗氏に替わった後、監督と選手間のコミュニケーションが円滑になり、それでチームがまとまって、予選突破を果たすことができたとされていますが、つまり“コミュニケーションの流れを変える”組織運営が重要なのです。ジャニーズ事務所においても、それができなければ、まだまだトラブルが続くと思います。

(後編につづく)

取材協力:大関暁夫(おおぜき・あけお)
All About「組織マネジメント」ガイド。東北大学卒。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントの傍ら上場企業役員として企業運営に携わる。

あなたにおすすめ