【インタビュー】杏沙子、日常の一瞬を切り取った夏恋ソングでメジャーデビュー!!花火の魔法とは?

UtaTen

2018/7/13 17:00

音楽のルーツはJ-POPと歌謡曲


──メジャーデビューおめでとうございます!まずUtaTen初登場だと思いますので、音楽のルーツを教えてください。

杏沙子:ありがとうございます!J-POPど真ん中で育ってきていて、小さい頃だと松田聖子さんや、槇原敬之さん、aikoさん、いきものがかりさんを沢山聴いてきました。日本の歌謡曲やJ-POPを通ってきたと思います。

──歌謡曲も聴いて育ったのですね!

杏沙子:そうなんです。母が歌謡曲が好きだったので、小さい頃に最初に触れた曲は歌謡曲でした。

──歌謡曲は歌詞が良いですし、松田聖子さんも歌が上手いですよね。

杏沙子:松田聖子さんは女優さんのように一つ一つ歌い分けて、演じられていたので物語を聴いている感覚で大好きでした。

──杏沙子さんが想うご自身の魅力を教えてください。

杏沙子:自分の事を理解できていない部分もあるので、こうして取材などをして頂いて気付く事が多いです。曲によって声を変えるじゃないですけど、曲に合わせて演じ分けるところが自分の魅力になっていけばと挑戦しています。そしてそれが今回のアルバムの聴きどころだと思います!

──メジャーミニアルバム『花火の魔法』では夏の恋をテーマにした作品ですね。杏沙子さんにとってどんな5曲が詰め込まれた1枚ですか?

杏沙子:1枚全体を通して夏っていうテーマに基づいて出来たと思うんですが、私が普段書く曲も、何処か瞬間的なものを切り取ったものが多いです。『天気雨の中の私たち』という曲がありますが、天気雨ってずっとあり続けるものではないじゃないですか?一瞬のものであり、珍しいものでもある。夏って刹那的なものでもあるし、そういったところも含めて全て共通できているのではないかと思います。


歌詞を書くときは映像が流れている


──杏沙子さんの歌詞って比喩表現が多いと思うのですが、どの歌詞にも共通して意識されている事はありますか?

杏沙子:曲を書くときに自分の頭の中で映像が流れているので、全部映像的なものを意識しているのかなって最近気付きました。その映像の空気感や色を文字に落とそう、落とそうって意識しているんだと思います。

──『マイダーリン』の歌詞は、共感する女子も多いと思いますが、杏沙子さんもこのように思われますか?

杏沙子:好きな人が夢に出てくる事は多くの人が経験あるんじゃないかなと思います。その時好きな俳優さんとかが、出てきて好きになっちゃうとか(笑)

──「まぶたの奥の国の王子様」っていう例えが良いですよね。

杏沙子:そういうまぶたの国のっていう比喩のようなワードを作るのが、めちゃくちゃ好きで。夢の中の王子様だとわかりやすいけど、表現を変えることが楽しいんです。

──本とかはよく読まれるのでしょうか?

杏沙子:そのようによく言われるんですけど、実はあんまり読んできた方ではなくて…。ただ中学校、高校のときはミステリーをよく読んでいました。どちらかというと写真や視覚的なものを見る方が好きで、そこから勝手に想像しちゃう事が小さい頃から多かったですね。

『マイダーリン』は振り回しちゃう系の女の子

──『マイダーリン』は可愛いらしい歌詞が印象的ですが、声は大人っぽいテイストですね!こういうワクワクした歌詞は、ご自身の中にある感情ですか?

杏沙子:この曲を書いたときは自分が主人公の歌詞ではなくて、自分で作り上げた女の子の話で。メルヘンな歌詞ですけど、その女の子はサバサバしたタイプなイメージなので、さっぱりした歌い方にしてしていました。「ドキドキさせて!」って言っているのもわがままっぽいというか、振り回しちゃう系の女の子を想像して書いていたんです。

──杏沙子さん自身はどういうタイプですか?

杏沙子:完全にサバサバ系ですね。(笑)


──アイドルソングではないのに、「まいまいまいまい毎晩恋して」というフレーズが出ているのが斬新でした!

杏沙子:ありがとうございます(笑)言葉遊びとかも好きなので、「まいまいまいまい」はスルッと出てきたんです。

──韻を踏むことを意識されたりは?

杏沙子:韻を踏むのは大好きで!歌詞を書くときに結構細かく仕掛けるじゃないですけど、パズルを組み立てる感じで作ることが多いです。それがミステリーを好きなのと繋がっているかもしれないですね。仕掛けをいくつか作って、後で回収するとか。そういうふうに考えるのが好きなんです。

──頭から歌詞を書いていったとしても、韻を踏みたいがために歌詞を変える事もあったり?

杏沙子:韻を踏む所から言葉を探していくとか、曲によってはありますね。

鼻歌で作曲しちゃう



──編曲には櫻井大介さんが参加されていますが、アレンジのリクエストなどもされたりしましたか?

杏沙子:まずわたしは楽器と一緒に作曲しなくて、鼻歌で作曲してるんです。

──えええ!!じゃあ鼻歌を読み取って作ってもらうんですか?

杏沙子:そうです。そうです。歌詞もメロディーも出来たらレコーダーに吹き込んで、それを櫻井さんに聴いてもらって。歌っているときにイメージで音が鳴っているので、それを一生懸命伝えて。少しアバウトな感じにはなるんですけど、言葉で組み立てていって櫻井さんに伝えました。

──1曲できるのに時間はかかりそうですよね。

杏沙子:そうなんです。結構時間はかかっちゃいます。

──今作では3曲の編曲を山本隆二さんが担当しています。杏沙子さんの感覚を理解してくれる方ではないと、なかなか大変ですよね。

杏沙子:山本さんを困らせてしまいました(笑)ずっと同じ部屋にこもってアレンジについて制作をご一緒させて頂きましたが、大分困り顔を見ました(笑) 自分の世界に固執して作るというよりかは、二人で一緒に作る方が、自分が考えていない音を提案してもらえるので、そこで化学反応が起こるんです。曲の可能性が広がるのでこの作り方は自分に合っていると思います。ただ山本さんのようにアレンジャーさんはほんとに大変だと思います(笑)

『天気雨の中の私たち』と『クラゲになった日の話』


──『天気雨の中の私たち』は曲をもらった感じなんですね。曲をもらった印象はどうでしたか?

杏沙子:(曲を提供して頂いた)幕須さんの作る曲が元々好きで、もらったときは「はい!間違いなく好き!」って思えました。自分と絶対同じ作り方の人っていないと思うんですけど、幕須さんの言葉とか広げていく世界は全然違くて、見ようと思えば色んな景色が見えるんです。メロディーも頂いて良かったなって思える、前へ前へいけるエネルギーがある曲でした。

──「記憶違いの恋」ってどういう事なんだろう?って気になりました。

杏沙子:私の解釈なんですがこの曲は、女の子が主人公で、その人と恋をしていくって思ってもみなかった男の子と、予想もしなかった方に進んでいってしまうんだけど、そう想いながらもワクワクしちゃう自分がいるっていう…『マイダーリン』とはまた違うツンデレさがありますね。天気雨みたいに、その先どうなるかわからない不安定とワクワク感を楽しんでいる女の子だと思っていますね。

──続いて『クラゲになった日の話』について伺います。

杏沙子:クラゲになった日の話は恋をしているという日常がある女の子が、静かな図書館でふわふわ寝ているのか起きているのかわからない感覚の中で、まるで自分がクラゲになったかのように感じた瞬間を日記のように歌った歌です。「食わず嫌いは直す気もない」っていうフレーズがその子の進行中の恋愛模様が垣間見えてキュンとする部分なんじゃないかなと思います。


──どちらの曲もテーマも提示しないで頂いたのですか?

杏沙子:そうなんです。 初めて頂いたのは、『クラゲになった日の話』なんですが、私の事をイメージして書いてくださった曲で。実は私、クラゲがすごく好きなんですよ!

──それはたまたまですか?

杏沙子:たまたまなんです。それにこういう眠っているか眠ってないかわからないような瞬間を切り取るというところもわたしが描きたい世界観と共通していたせいか、自分の中で違和感がなくて。歌っていても気持ちが良いですね。

『流れ星』は一番実体験に近い曲


──『流れ星』は杏沙子さんが作詞、作曲をされている曲ですが、等身大な感じがしました。

杏沙子:ありがとうございます。実はこの曲はアルバムの中でも一番実体験に近い曲なんです。これは主人公というよりは自分を重ねて書いている曲です。

──男の子目線の曲?

杏沙子:一番が女の子で、二番が男の子、それ以降はどちらの視線からでも成立するように書きました。

──学生の恋愛観が出ていますね!

杏沙子:まさに学生のときの恋です(笑)

──この曲を書こうと思ったきっかけはあったんですか?

杏沙子:これは私が大学生のときに恋をしていた人と、夏の夜に公園に集合してアイスを食べながら話していた時期がありまして。アイスを食べるっていう言い訳を作って会うという(笑)。この経験を曲にしたいなって思って書いた曲ですね。

──こういう曲をどういう人に聴いてもらいたいですか?

杏沙子:恋をしていても恋をしていない人でもいいですし、そういう恋をしていたなってそれぞれの恋の記憶を重ねて聴いてもらってもうれしいです。この曲に登場する男女2人はお互いが会いにいこうっていう約束をしていないのに、会いたいという衝動に身を任せて会いにいくというストーリーの曲なので、恋をしている人が一歩踏み出すきっかけの曲になったら嬉しいですね。


──「会話の記憶は巻き戻し聞いた」という歌詞がありますが、ここはどういった感じなのでしょうか。

杏沙子:好きな人がいるときって色々と巻き戻しません?LINEとかメッセージとかを遡って見たり、好きな人の言葉や声を自分の頭の中でもう一回巻き戻して再生して浸ったり。実際に自分が経験したことを男の子の方に重ねて書きましたね。

──歌詞の中にタイトルの『流れ星』が出てくる訳ではないんですね。

杏沙子:そうなんです。この曲を書いていたときに、2人とも会う約束をしていないのに気持ちが溢れてきて衝動に駆られて駆け出すのが、まるで行き先がわからない流れ星みたいだと感じて。この2人が結局会えるか、会えないかわからないという終わり方も流れ星と重なったので、流れ星というタイトルにしました。

夏が終わる音ってなんだろう?


──表題曲の『花火の魔法』はノリノリの曲ですね。

杏沙子:明るいんだけど切ないっていう。夏の夜ってマジックタイムというか、切なさとわくわくが共存する不安定な時間だと思っていて。いつもの自分じゃない自分になってしまいそうな空間というか。そういう不思議なパワーを曲から感じてもらえるように作りました。切なさとわくわくのバランス感を音に落とし込むことにこだわったので、(アレンジャーの)山本さんを困らせる事が多かったです(笑)

──特にサウンド面でこだわった事はありますか?

杏沙子:切なさとわくわくのバランスもこだわりましたが、特にこだわったのは、「もう夏が終わるまだ終われないよ」の部分のコード感です。夏が終わる音ってなんだろう?ってすごく考えましたね。あの胸が苦しくなる夏が終わる感じを音で表すために時間をかけました。夏終わるわ~って思ってもらいたくて(笑)

──夏が終わるとき切ないのってみんな共通なんですかね。

杏沙子:森山直太朗さんの「夏の終わり」が無償に聴きたくなるあれってなんなんでしょうね。

──個人的にですが、「はっきりしてるはずの気持ちもあなたの前ではオレンジみどりあたしの火はあなたにあげるときに少し弱くなる」という歌詞が好きです。花火と恋心をミックスして書き始めたきっかけを教えてください。

杏沙子:実はこれも実体験がきっかけとなって生まれた曲なんです。2年前に仲良しの男女6人で旅行に行って。みんなで花火をしたんですよ。手持ち花火が魔法の杖、火花が魔法みたいだねっていう話になったんです。みんなで魔法ごっことか言ってふざけて写真を撮ったりもしてて。一緒に花火をしているグループの中にもしも好きな人がいたら、恋の魔法にかかってしまえばいいのに…っていうフレーズがふっと浮かびあがってきて!そのとき残念ながら好きな人はいなかったんですけど(笑)インディーズとして活動していたのでいつか曲にしたいなとすぐにメモしました。あとこのときのシチュエーションや空気感も取り入れましたね。

お気に入りのフレーズ!


──ご自身が特に気に入っているフレーズはありますか?

杏沙子:サビの「かかってしまえ」や、「燃やしてしまえ」など、「しまえ」という語尾が、乱暴な言葉を普段使わないような女の子が、夏の夜の不思議なパワーに影響されてしまっていることが表現できたんじゃないかなと思っています。

──この女の子は弱気な子ですよね。

杏沙子:そうですね。彼に好きという気持ちを伝えるか伝えないか葛藤しています。

──最後の「あなたのことがずっと好きでした。」というフレーズは、好きな相手に向けて言った形なのでしょうか?

杏沙子:それは想像にお任せします!(笑)聴く人それぞれが想像する結末で聴いてもらえればと思います。

──今作がどんな一枚になったかとライブの告知をお願いします。

杏沙子:この『花火の魔法』は収録曲5曲とも違った色や味わいがあるミニアルバムで、5曲の曲間の秒数にもこだわって制作しました。曲から曲の移り変わりを楽しんでもらえる作品になったと思いますし、もちろん1曲ずつ味わってもらえる作品にもなっていると思いますが、5曲まるっと1枚で聴いてもらって夏を感じとって頂けたら嬉しいです。どんなふうに聴いてもらうかは、聴いてくださる人にゆだねる気持ちでいつも曲を書いているので、自由に聴いてもらいたいですね。夏になったらこのアルバムを聴きたいと思ってもらえたら幸いです。そしてワンマンライブが9月2日に大阪、15日に東京で決まっています。ライブも一つの作品として作りたいと思っているので、ライブが作り出す世界観を共有しにきて頂けたらと思っています!!

──ライブでのお客さんは、どんな感じのテンションでのられるんですか?

杏沙子:結構みんな曲に対してまっすぐに聴いてくださいますね。でも盛り上がる曲のときはタオルを振り回したりも。ライブでは楽曲のアレンジを変えたりもしているので、そこも楽しんでいただけるポイントなんじゃないかと思います。ミニアルバムを聴いてから来ていただけると、そういった楽しみも増えると思うので、ぜひミニアルバムを聴いていただいて、ライブに遊びにきてください!

TEXT&PHOTO愛香

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