東京二期会 2019/2020シーズンラインアップ記者会見 全演目新制作! 日本のオペラを世界に向けて発信

SPICE

2018/7/13 18:40


東京二期会の2019/2020シーズンラインアップが発表された。7月11日に行われた記者会見には、韮澤弘志理事長、山口 毅常務理事兼事務局長、歌手の宮本益光(バリトン)の3名が登壇した。

2019/2020シーズンラインアップは、「様々な愛の形」をテーマとした6作品で、全て新制作となる。

幕開け公演となるのは、すでに発表されていた2019年2月の宮本亜門演出『金閣寺』。フランス国立ラン歌劇場との共同制作となる本作は、今年の3~4月にストラトブール、ミュルーズにて計7回上演された。現地でも非常に高い評価を得ており、この成功を受けての日本公演となる。フランス公演と共通の演出が基調となるが、一部は日本に合わせて変更がなされた“東京バージョン”での上演となる予定だ。指揮は、ミラノ・スカラ座をはじめ欧州主要歌劇場で活躍をしているマキシム・パスカル。現代音楽に造形が深く、また三島由紀夫作品を愛好する有望若手指揮者で、今回が日本でのオペラ・デビューとなる。溝口役で主演を務める宮本益光の他、フランス公演に出演した志村文彦(道宣和尚役)と嘉目真木子(女役)も、この日本公演に出演する。
二期会記者会見  撮影:最上梨沙
二期会記者会見 撮影:最上梨沙

宮本益光は、「『金閣寺』は、西洋文化のオペラを上演するにあたって、日本人アーティストとして何を創造し、何を発信していくかという、音楽家としての存在意義を問うのにふさわしい作品。シーズンラインアップの最初にこの作品が選ばれたのは嬉しいこと。自分のすべてをかけて取り組みたい。」と意気込み語った。

4月には、マスネのグランド・オペラの代表作『エロディアード』が上演される。映像と照明を駆使した〈セミ・ステージ形式〉で好評を博した《東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ》の第2弾となる。指揮するミシェル・プラッソンは、『ファウストの業罰』(2010)、『ホフマン物語』(2014)に続いて、3度目の二期会への登場だ。フランス・オペラの外国への紹介をライフ・ワークとしている巨匠が、再びその素晴らしさを日本のオペラファンに伝えることとなる。

6月は、ハンブルク州立歌劇場との共同制作でリヒャルト・シュトラウス『サロメ』を上演。指揮は、読売日本交響楽団常任指揮者就任が発表されたばかりのセヴァスティアン・ヴァイグレで、『ばらの騎士』(2016)に続いて、読響とともに再びピットに入る。演出するヴィリー・デッカーは、『トリスタンとイゾルデ』(2016)でも高い評価を得ている。4月の『エロディアード』と『サロメ』は、同じ原作を持ったオペラであり、2作品セットで観くらべるという楽しみ方も可能だ。
二期会記者会見  撮影:最上梨沙
二期会記者会見 撮影:最上梨沙

10月は、プッチーニ『蝶々夫人』。アンドレア・バッティストーニ指揮、宮本亜門演出の顔合わせとなる。このプロダクションは、2020年春にザクセン州立歌劇場での上演も予定されており、ヨーロッパに先立ち、東京でプレミエを迎える。衣裳には、国内外で多岐に活躍するクリエーターの蜷川実花を迎える予定。新しく生み出される『蝶々夫人』を通して、日本文化の世界への発信にも期待がかかる。

11月は、毎年恒例となっている日生劇場での上演となるオペレッタ『天国と地獄』。指揮に2013年の『こうもり』でタクトを振った大植英次、演出に11年ぶりの二期会登場となる鵜山仁を迎える。客席と舞台の距離が近い日生劇場の特性を生かし、セリフと歌のどちらも楽しめるように、日本語訳詞上演となる。

2020年2月は、ヴェルディの『椿姫』。指揮に、今回が初来日となるジャコモ・サグリパンティを迎える。すでにバイエルン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、パリ・オペラ座などで活躍しているイタリアの若手指揮者のひとりで、2016年にはインターナショナル・オペラ・アワードの最優秀若手指揮者に受賞するなど、ヨーロッパを中心に目覚ましい活躍を見せている。新制作の『椿姫』となるが、今後《二期会名作オペラ祭》での再演も視野に入れており、より長いスパンで多くの日本人が親しめるプロダクションに仕上がる予定だ。演出は現在調整中。

あまり取り上げられない作品からオペラの王道作品まで、幅広いラインアップが揃った。
二期会記者会見  撮影:最上梨沙
二期会記者会見 撮影:最上梨沙

6演目全てが新制作であり、積極的に日本人の演出家やスタッフを起用することからも、「日本の新しいオペラを創造する」という東京二期会の気概が伝わってくる。『蝶々夫人』のように、日本でプレミエを迎え、それをヨーロッパに持っていくという新たな上演スタイルにも「世界に発信する日本のオペラ」という姿勢が見える。

今年の後半のラインアップにも、ニューヨークのメトロポリタン・オペラでの初演から100年というメモリアルを迎えたプッチーニ《三部作》や大和田伸也の出演が話題を呼んでいる『後宮からの逃走』など注目作品の上演が控えており、今後の東京二期会から目が離せない。

※キャスト等の詳細な公演情報は、随時、ホームページ等で発表される予定。

あなたにおすすめ

すべての人にインターネット
関連サービス