声優界の元祖 ルパン三世とムーミン 山田康雄×岸田今日子

TheNews

2018/7/13 16:00


近年なりたい職業ランキング上位に躍り出たのは「声優」。声優養成の専門学校も活気に沸いています。アニメが我々の身近な存在になったと同時に、「声」も愛着がわくようになるものです。

先日、人気長寿アニメ「クレヨンしんちゃん」で主人公・野原しんのすけの声を務める声優の矢島晶子さんが6月29日放送回を最後に降板することが発表され、多くの人々に衝撃を与えました。アニメが続く中でのメイン声優の交代は別れを惜しむ声と共に必ず生じることは「このキャラクターの声は○○さんの声でないと認めたくない」という新キャストへの強い拒絶反応です。「ドラえもん」のように声自体も一新する方法もある中で、野原しんのすけの声の後任声優の小林由美子さんは元祖の声に忠実に合わせることを選びました。この元祖の声に忠実に合わせる先駆けが「ルパン三世」です。

1987年に公開された映画『ルパン三世 風魔一族の陰謀』では、初めての主要声優陣を総入替した作品を制作発表しています。長寿アニメで初めて声優を変えての試みでしたが、結果は言わずもがな。次回作から従来の主要声優陣へと戻しています。

「ふ~じこちゃ~ん」「ルパ~ンさ~んせ~」というルパンの代名詞とも言える名台
詞を軽快に発し、主人公・ルパン三世の声を定着させた声優は山田康雄です。

ルパン三世の代表的な声優山田康雄さんのお墓

山田康雄は1971年(昭和46年)テレビ初公開からルパン三世の声を担当し、山田康雄が亡くなる1995年(平成7年)までの24年間担当しました。ルパン三世以外のアニメキャラの他、テレビ西部劇「ローハイド」のアテレコ、クリスト・イーストウッド、ジャン=ポール・ベルモンドの日本語吹き替えも担当しました。脳出血により62歳で逝去した後は、山田の声真似を得意としていた栗田貫一さんが引き継いで現在に至っています。

昭和を代表するアニメのひとつに「ムーミン」があります。現在もそのキャラクターは大人気です。アニメは1969年(昭和44年)からはじまり、1972年の二作目、1979年と主人公のムーミン・トロールの声を岸田今日子が担当しました。

ムーミン・トロール役の岸田今日子さんのお墓

岸田今日子の父は劇作家の岸田國士、母は翻訳家の岸田秋子、姉は童話作家の岸田衿子です。女優として映画や舞台で活躍していた役者で、声の仕事もアニメよりはナレーションを多く担当しました。なぜムーミンの声優を引き受けたのか、それは娘に自分の仕事を理解してもらうためだったと語っています。

ムーミンのアニメは、1990年(平成2年)にリバイバルされますが、その際、声優陣を総入替しています。期間が空いたことと、視聴者層が変わったためスムーズに入れ替えができたのでしょう。

声で命を吹き込む仕事、声優。声優界の元祖二人も多磨霊園に眠っています。

山田康雄 埋葬場所: 21区 1種 14側
http://www6.plala.or.jp/guti/cemetery/PERSON/Y/yamada_ya.html

岸田今日子 埋葬場所: 18区 1種 10側
http://www6.plala.or.jp/guti/cemetery/PERSON/K/kishida_kyo.html

【筆者プロフィール】
小村大樹(おむら・だいじゅ)
掃苔家・多磨霊園著名人研究家
1976年生まれ。1997年、大学生の時に多磨霊園の横にある石材屋でバイトをしたことをきっかけに多磨霊園に眠る著名人の散策を始める。1998年、当時インターネットが出始めた頃より「歴史が眠る多磨霊園」のホームページを制作。2018年開設20周年を迎える。
足で一基一基お墓を調査し、毎週1,2名ずつ更新をすることを20年間休まず実施(現在も継続中)。お墓をきっかけに眠っている著名人の生き様や時代背景の歴史を学ぶことをコンセプトにしており、掲載している人物は3000名を超える。
サイトを通じて多くの著名人のご遺族とも親交。歴史学者や郷土史家、出版社らの協力も惜しまず提供。一橋大学名誉教授の加藤哲郎『飽食した悪魔の戦後 731部隊と二木秀雄「政界ジープ」』(花伝社)では論文として考察される。『有名人の墓巡礼』(扶桑社ムック)では一部執筆を担当。中学社会科・高校地理歴史の免許を取得し、通信制高校で教壇にも立つ。
『歴史を学ぶのは、過去の事実を知ることだけではない。歴史を学ぶのは、過去の事実について、過去の人がどう考えていたかを学ぶことだ』『私が著名人だと思った人物は全て著名人である』がモットー。

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