話題作『グッバイ・ゴダール!』の主演女優が語る天才との恋愛とは?

ananweb

2018/7/11 17:30

夏といえば、何といっても恋の季節。ひと夏の恋から燃えるような恋まで十人十色ですが、せっかくなら刺激的な恋を体験してみたくはないですか? そこで、オススメの映画は、稀代の天才監督であるジャン=リュック・ゴダールと恋に落ちたある女優の実話をもとにした『グッバイ・ゴダール!』です。今回は、こちらの方に作品のさらなる見どころを語ってもらいました。それは……。
写真・黒川ひろみ(ステイシー・マーティン)

■ 話題の新鋭女優ステイシー・マーティン!

【映画、ときどき私】 vol. 176

フランス人の父とイギリス人の母を持つステイシーは、ファッションモデルとしてキャリアをスタートさせたのち、2013年にラース・フォン・トリアー監督『ニンフォマニアック』で衝撃のスクリーンデビュー。

その後も、数々の有名監督が手掛ける作品に出演したり、Miu Miu初のフレグランスのキャンペーンガールに起用されたりと、現在注目の若手女優です。7歳から13歳まで日本に住んでいたこともあるそうで、それだけでも親近感を覚えてしまいますが、今回はそんなステイシーに直撃してきました。

■ 現場で求められていたのは絶妙なバランス

―本作は、女優だったアンヌ・ヴィアゼムスキーがゴダールと恋に落ちた当時の出来事を描いた自伝的小説を映画化した作品ですが、この役にはどのようにアプローチしましたか?

ステイシー
 アンヌのことは女優としては知っていたけれど、作家としても活躍していたというのは、実はこの企画に関わるまでは知らなかったの。脚本を渡されたあとに、この映画のベースになっている2冊の本を読み始めたんだけど、そこにはアンヌが女性として形成される前の姿が描かれていて、映画ではその瞬間をとらえているんだと感じたのよ。

だから演技をするうえでは、若々しさを保つことがすごく重要だと考えたの。彼女にとっては、当時のことはつらい思い出でもあったと思うけど、それをポジティブな形で綴っているし、好奇心でいっぱいな資質はキープしたいなと思ったわ。

―では、演じるうえで意識したことはありましたか?

ステイシー
 “コピペの演技” みたいにはしたくなかったということかな。というのも、この作品はゴダールの伝記映画ではなくて、あくまでもコメディ映画だから。あと、私はアンヌを演じてはいたけれど、それよりも当時の60年代のアイコン的な女性たちやゴダール作品に登場する女性たちをコラージュして演じているような感じだったわ。

―別の作品でも今回の作品でもヌードのシーンを演じられることが多いですが、必要であれば脱ぐことへの抵抗はないですか?

ステイシー
 これまでヌードシーンが多かった私が言うと不思議に思うかもしれないけれど、私は映画にとって裸というのは必ずしも要るものではないと思っているの。だから、いまでも「ここは脱いでもらえないかな?」と言う監督と戦うことも多いのよ。

たまに「女性なんだから、男性よりも脱ぎやすいんじゃない?」と言われることもあって、そうすると自分がすごくもろい立場に置かれるような気がしてしまうこともあるわ。でも、いまはこういうことに対するディスカッションがされていて、何かを変えないといけないという必要性を感じているのはすごくいい流れでもあるわよね。

私は男性も女性も全員が平等であるべきだと思っているんだけど、それは映画業界に限ったことではなくて、司法や医療とかすべての業界にいえることなんじゃないかしら。

■ アンヌとステイシーの共通点とは?

―アンヌもフランスとロシアのハーフで幼少期には海外をあちこち回っていたそうですが、ご自身もパリ生まれロンドン育ちで日本にもいたことがあるので、境遇が似ていますよね。共感したところはありましたか?

ステイシー
 まずアンヌがおもしろいのは、自分が育った環境以外にも世界がまだまだあるということを常にわかっているところ。おそらく、ゴダールと恋に落ちたのも、彼がすごく鮮烈で新しいものを象徴している人物だったからじゃないかしら。それについては、私も好奇心があるから、似ているところといえるわね。

アンヌはゴダールと一緒にいながらも毎日新しいものを探し続けていて、この場所が自分にとって正しいのか、彼は自分と一緒にいるべき人なのかどうかということを問い続けているところがあるの。己というものをちゃんと持ち、“ゴダールの妻”という枠だけに収まらなくなっていくところもすごく好きなのよ。

―ちなみに、アンヌご本人とも会われましたか?

ステイシー
 去年のカンヌ国際映画祭で公式上映をする前に、お会いすることができたんだけど、出会い方がおもしろかったわ。普段、私はカジュアルな恰好をするほうなんだけど、そのときはレッドカーペットのために長めのドレスを着ていたの。

それで、移動する車に乗り込もうとした瞬間に誰かが私のドレスのすそを踏んでいると思ったら、それがアンヌだったの(笑)。お互いに謝り合って笑ったんだけど、そんなふうにシリアスじゃない形で出会えて、「このあとの上映会では、一緒にがんばりましょうね」と言い合えたのもステキだったわ。

■ 天才との恋愛はアリ? ナシ?

―ゴダールといえば神格化されている監督でもありますが、天才と呼ばれている人との恋愛はどう思いますか?

ステイシー
 ゴダールとアンヌの関係性というのは、あの時代特有のものなんじゃないかなとは思っているわ。特にゴダールは、女性と恋に落ちて、彼女たちをカメラに収めていくという映画作りをしていたけど、それはあの時代の特徴的なやり方よね。

個人的には、恋愛関係よりも俳優と監督としてのコラボのほうがいいわね。つまり、違ったものの見方をする2人のアーティストがどうやって同じ方向を目指してモノづくりをしていくのかということのほうが興味があるのよ。

―ご自身の目にゴダールはどのような印象で映っていますか?

ステイシー
 私にとっては、監督やアーティストとしてのイメージしかなかったわ。ただ、彼は神格化されているから、人間だということを私たちは忘れてしまいがちなんだけど、ゴダールだって歯は磨くのよね(笑)。それに朝起きたときのゴダールというのも誰もわからないわけで、だからこそ今回はみんなで話し合いながら、私たちなりのゴダールを作っていったという感じよ。

―では、ゴダール映画の魅力についてはどう感じているのか教えてください。

ステイシー
 まずは今でも当時と変わらず現代的であるというところ。『勝手にしやがれ』なんて、60年近くのときを経ているのに、いま観てもすごくモダンに感じられるでしょ? そして、映画を作り始めたときはまだ若かったにも関わらず、それ以降も革新的な映画をずっと作り続けているのもすごいことよね。

ゴダールというのは、美しさであれユーモアであれ暴力であれ、そもそも映画が持つべきものすべてをひっくるめて作品にすることができる監督。そして、容赦ないまでに自分自身と向き合い続けているアーティストであることも興味深いと思うわ。

■ 夢は日本の映画に出ること!

―本作のミシェル・アザナヴィシウス監督をはじめリドリー・スコット監督など、そうそうたる監督とお仕事をされていますが、作品選びでこだわっていることは?

ステイシー
 それは監督よ! だって、同じ脚本でもクエンティン・タランティーノとラース・フォン・トリアーが監督するのでは、作品が全然違うものになってしまうわよね? だから、私にとってワクワクするのは、誰が監督なのかということと、その監督がいかにこの題材をリアルなものしてくれるんだろうかと考えるときね。あとはどんなふうに一緒にコラボできるのか、ということも大切なことと言えるわ。

―最近は、日本人監督の作品に海外の俳優が出演することも増えていますが、日本人監督とのお仕事にも興味はありますか?

ステイシー
 もちろん! だって、日本の監督と仕事をするのは、私の夢でもあるのよ! でも、そのときは日本語で演じたいから、勉強し直さないといけないわね。一緒に仕事してみたいのは、黒沢清監督や是枝裕和監督、あとはこれからの新しい才能にも興味があるから、何かはわからないけど、自分に合うものがあればぜひ挑戦したいと思っているわ。

■ インタビューを終えてみて……。

映像で見ていた以上のかわいらしさに、すっかりステイシーの虜になってしまいましたが、美貌だけでなく、知性も感じさせるのが彼女の魅力。今後ますますの活躍が期待されていますが、日本で暮らしていたこともあるという経験を活かして、いつか日本の作品に日本語で演じるステイシーを見られることを楽しみにしたいと思います。

■ 人生に刺激を与えてくれるのは、やっぱり恋!

激動の時代に、天才との恋を通じて喜びや痛みを経験しながら成長していくひとりの女性の姿に、心をつかまれる本作。60年代のファッションをはじめ、インテリアや音楽なども含めて、誰もがこの映画に恋してしまうはず!

■ ストーリー

時代は、革命に揺れる1968年。19歳のアンヌは、世界中から注目を集めている映画監督のジャン=リュック・ゴダールと出会い、恋に落ちていた。そして、彼の新作である『中国女』の主演女優にも抜擢され、予想もしなかった刺激的な日々を送ることに。

初体験ばかりの毎日を夢中に駆け抜けるアンヌだったが、五月革命によって、2人の運命は少しずつ変わり始めてしまうのだった……。

■ 恋したくなる予告編はこちら!



■ 作品情報

『グッバイ・ゴダール!』7月13日(金)、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開配給:ギャガⓒ LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.

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