「出川さんは、さんまさんとテレ東の間を取り持つ“奇跡のキューピッド”」【テレビ東京プロデューサー・平山大吾】

ザテレビジョン

2018/7/11 06:00

出川哲朗とゲストが電動バイクにまたがり、タイトル通り“充電させて”もらいながら、旅先で出会う人々と触れ合うドキュメント・バラエティー「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」(テレビ東京ほか)。プロデューサーを務める平山大吾氏に、番組立ち上げの経緯や、番組の主役である出川哲朗の魅力、そして、明石家さんまがゲスト出演する7月14日(土)放送のスペシャルの撮影裏話など、土曜夜8時台のバラエティーとして定着しつつある「充電」について語ってもらうとともに、自身ののキャリアからこれからの展望まで、平山氏のテレビマンとしての思いに迫った。

■ いつの間にか、ドキュメント・バラエティーの中毒になってるんです(笑)

――平山さんがテレビマンを目指すようになったきっかけは?

「学生時代、人力車のサークルに入っていて、人力車を引きながら全国各地を旅していたんですよ。そんな中、東海道を旅していたときに、日本テレビの『追跡』(1988~1994年)の取材班が向こうからやってきて、取材を受けたんです。そこで『こんなことが仕事になるんだ』と思って、自分もテレビ局を目指そうと。それが、そもそものきっかけです」

――ドキュメンタリー番組を志望していたわけですか?

「そのサークルでは、東海道を歩いているとき、ジャンケンで負けた者が先回りして、その日の宿を探すんですね。いつも、心優しい人が住んでいそうな家を訪ねて、『この辺に泊まるところありませんか?』とお願いをする。すると『おう!泊まってけよ』と家に泊めてもらえたり、『飯食ってけ』とご飯をごちそうしてもらえたり。そうしているうちに、世の中には、こんなにも親切な人、いい人がいるんだと思ったんです。だから、日本にはこんなにも“いい人”がいるんだ、捨てたもんじゃない、ということを知ってもらえるような番組を作れたらと、そんな思いはありましたね。なので、どちらかというとドキュメンタリー志望だったかもしれません」

――ドキュメント・バラエティーが得意なテレビ東京は、平山さんの志向にぴったりだったわけですね。

「そうですね。まぁ実際は、よその局に落ちて、最終的にテレ東に来たんですが(笑)」

――入社後は、どんな番組を担当されたんですか?

「最初は編成局の映画部に配属されて、2年目で制作部に配属になりました。ADとして初めて就いたのは、『愛LOVEジュニア』(1996~1998年テレビ東京)という、ジャニーズJr.の番組です。ロケディレクターのデビューは、『愛の貧乏脱出大作戦』(1998~2002年テレビ東京系)。貧乏から脱出したい方が達人の下で修業をするという番組で、1週間ほどロケをしながら、その成長過程を撮っていくんです。語弊があるかもしれませんが、これが面白いんですよ! 修業から逃げ出してしまう方もいれば、逃げ出した方が奥さんに連れられて戻ってきて、奥さんが『もう一度お願いします』と泣き崩れながら土下座したり。『今、何が起きているんだろう?』と、現実なのか夢なのか混乱するほどのことが起きる。まさにドキュメンタリーなんです。想定外のことが次々と現場で起きるので、スタッフはいつの間にか、そんなドキュメント・バラエティーの中毒になってるんですよね(笑)」

■ “路線バス”に代わるアイコンとして出てきたのが“電動バイク”だったんです

――平山さんご自身の企画で、印象的な番組は?

「レギュラー番組でいうと、『世界を変える100人の日本人! JAPAN☆ALLSTARS』(2008~2010年テレビ東京系)です。最初、『クイズ!スゴイ日本人』という企画を出したんですが、これが箸にも棒にもかからなくて(笑)、次に『クイズ!ビック・ロマーノ』という企画を出しました。というのも、アメリカで有名な日本人を聞くと、“ビック・ロマーノ”と答える人が一番多いんですが、実はコレって、ビートたけしさんのことなんですよ。世界中で放送されている『風雲!たけし城』(1986~1989年TBS系)で、城主のたけしさんが、アメリカでは“ビック・ロマーノ”と呼ばれているんです。そんなふうに、“日本人が知らない世界で有名な日本人”をクイズ形式で紹介するという番組を企画して、そこから発展して生まれたのが『世界を変える100人の日本人!』。スタート当初は、世界各国で有名な日本人が100人もいるのかと心配されたんですが、後継番組の『この日本人がスゴイらしい。Brand New Japan』(2010~2011年テレビ東京系)も合わせて、最終的に300人くらい紹介できました」

――最近では、マツコ・デラックスさんをメインに据えた特番シリーズ「無理矢理、マツコ。」の一つ「レンタルマツコ!」(2018年テレビ東京ほか)のプロデューサーも担当されています。

「『無理矢理、マツコ。』は、テレ東のスタッフが作った企画に、マツコさんには何も言わずに乗っかっていただく、というのがコンセプトだったんですが、マツコさんはセンスの塊みたいな方なので、僕らとしてはドキドキでしたね。ただ、『充電』でもおなじみの土方(教裕)ディレクターをマツコさんが知っていて、『あら、土方さん!』と言ってもらえたので、そこは正直助かりました(笑)。『レンタルマツコ!』は、(東京都江戸川区)小岩でのロケがメインだったんですけど、マツコさんから『小岩に行くんだったら、覚悟と礼節を持って行きなさい』と言われて、その奥深い言葉に『なるほど』と。今後もどういった形か分かりませんが、マツコさんとテレビ東京で何かしらの展開ができたらと思っています」

――そして現在、プロデューサーを務める「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」は、今やテレビ東京を代表するドキュメント・バラエティーの一つとなりました。この番組も平山さんが企画されたんでしょうか。

「そうです。制作会社のプロデューサーと麻布十番の喫茶店で話していたときに、『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(2007~2017年テレビ東京ほか、現在『ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z』として継続中)の“路線バス”に代わるアイコンはないかな、という話になって、そこで出てきたのが“電動バイク”だったんです。途中でバッテリーが切れて充電しなきゃならないので、行く先々で人々との触れ合いが生まれる。これは番組になるはずだ!…と。そこから、長時間のロケでも文句を言わずにやってくれて(笑)、地元の方々と絡むのが好きな人は…と考えたときに、ならば出川さんしかいない!とお願いすることになりました。2014年の夏に、深夜で4回のシリーズを放送したんですが、それが数字(視聴率)的にもそこそこよかったので、その後、特番を重ねて、2017年の4月からレギュラー放送がスタートしました」

■ 驚いたのは、出川さんって、こんなにも好感度タレントだったのかと

――「充電」は、初回から手応えはあったのでしょうか?

「ありましたね。驚いたのは、出川さんとロケしているとこんなにもミラクルが起きるのかということと、出川さんってこんなにも好感度タレントだったのかということ。出川さんはよく『こっちが壁を作らなければ、向こうも壁を作らない』と言うんです。『おう、出川~』と呼び捨てにされて、強引に肩を組まれても、可哀想に映らないタレントはなかなかいない(笑)。そんな生来の人柄の良さがあるからこそ、思いがけない面白い展開も起こるんだと思います」

――出川さんの発言を一言一句文字に起こすテロップなど、編集へのこだわりも感じます。

「テロップは、出川さんの噛んでるリアルな感じを面白く出すにはどうしたらいいんだろうと考えた末、あの形になりました。つまり、言い間違えたり、つっかえたりしているところも全て文字にしてしまおうと。また、雰囲気を出すために細かくカットを割っているのもポイントで。うちの局だと、『土曜スペシャル』(1986年~テレビ東京系)が1番組でテロップは1200枚くらいなんですが、『充電』は4000枚ほど。コメントテロップの編集だけで丸3日。これはもう、かなりなレベルなんですが、うちには優秀なテロップの編集マンがいるので、本当に助かってます(笑)」

――そして昨年春から、ゴールデンの土曜夜8時台に進出。「めちゃ×2イケてるッ!」(1996~2018年フジテレビ系)に視聴率で上回ったこともニュースとなりましたね。

「土曜の夜8時といえば、『めちゃイケ』はもちろん、これまでも、『8時だョ!全員集合』(1969~1985年TBS系)、『オレたちひょうきん族』(1981~1989年フジテレビ系)といった大人気番組が放送されていた時間帯ですから。『めちゃイケ』に勝ったというよりも、“バラエティーの表通り”の時間帯で結果を残せたことがうれしかったです。正直、最初は1クールで終わるんだろうなと思っていたので…(笑)。それが何とか1年間続き、たくさんの方々に支持していただけているという現状は、本当にありがたいと思っています」

――ゲストは、出川さんと仲の良い芸人さんが多いですよね。出川さんとゲストの仲睦まじい姿にも心癒やされます(笑)。

「よゐこの有野晋哉さんに来ていただいたとき(7月7日放送)は、奇しくも相方の濱口優さんが結婚を発表した翌日だったんです。それで出川さんが、ロケ中に濱口さんに何度か連絡を取っていたら、まさかの、濱口さんがロケ地まで来ていただいたっていう(笑)。そういうことができるのも、出川さんと仲のいい方々がゲストに来てくれているからこそ、なんでしょうね。ただ一方では、緊張する出川さんもすごく面白いので、今後はゲストの人選にももっと幅を持たせたい、という意識もあります」

■ 僕ら作り手がいろんなチャンネルを持っておくことが大事なんじゃないかと

――そういえば、7月のスペシャルでは、とんでもない大物ゲストが登場するとお聞きしましたが…。

「そうなんですよ。7月14日(土)放送のスペシャルには、あの明石家さんまさんが登場します。今年の正月に放送されたTBSの特番(「さんま・玉緒のお年玉!あんたの夢をかなえたろかSP」)のエンディングトークで、出川さんがさんまさんに『電動バイクで旅をする番組をやってまして、ぜひさんまさんに出てほしいんです』とお願いしたのが始まりで、その後、『(踊る!)さんま御殿!!』(日本テレビ系)でもお願いして…という風に、出川さんの熱意がさんまさんに通じて、ついに実現することとなりました。実はさんまさんがテレビ東京の番組に出演されるのは、何と34年ぶりなんです! 出川さんは、さんまさんとテレ東の間を取り持ってくれた、まさに“奇跡のキューピッド”ですね」

――撮影はいかがでしたか?

「山形でロケをしてきたんですが、さんまさんは本当にすごかったです。番組では、バイクで走行中、声をかけられて挨拶を返すのがお決まりなんですけど、さんまさんの場合、返事が食い気味なんですよ(笑)。相手が気付くか気付かないかのタイミングで、『あいよ~!』とか『おつかれさん!』って。5時間半のロケ中、ずーっと。エネルギーといい、反応の速さといい、まさにモンスターです。トップに君臨する方は、やはりバイタリティーが違うんだなと。大変勉強になりました」

――では、平山さんが番組の企画を考えるときに、こだわっていることは?

「日ごろは気付かずに見過ごしてしまうような、人の好さとか人間味があふれる番組を作れたらと。ただ、それを前面に出すのはイヤらしいなという思いもあって(笑)。ですから、この『充電』も、あくまでも“電動バイク旅”を主軸に置きつつ、『世の中、いい人がいっぱいいるんだなぁ』と気付いてもらえることが、われわれにとっては大切な裏テーマだったりするんです」

――最後に、今後のテレビ界について、どんな展望をお持ちですか?

「テレビは、あくまでもツールの一つだと思うんです。ですから放送だけでなく、SNSとも連動しながら、いろんなベクトルで人とつながったり、何かしら影響を与え、訴求することができたら、テレビはもっと面白くなるんじゃないかと。例えば、『充電』のTwitterアカウントで、走行中の場所をツイートすると、ファンの方が親子ではるばる駆けつけてくれたり。そんな風にTwitterとかYouTubeを利用して、メディアミックスで広がっていけたら、どんどん面白いことが生まれていくはず。そのためには、僕ら作り手がいろんなチャンネルを持っておくことが大事なんじゃないかと思いますね」(ザテレビジョン)

https://news.walkerplus.com/article/153959/

あなたにおすすめ

すべての人にインターネット
関連サービス