桜井玲香×藤間爽子、名作『半神』に注ぐ舞台への熱い思い

クランクイン!

2018/7/10 18:30

 萩尾望都の同名短編漫画を原作に、野田秀樹と萩尾が脚本を担当した舞台『半神』。幾度となく再演されたこの名作が、演出に中屋敷法仁を迎え、桜井玲香(乃木坂46)×藤間爽子のダブル主演舞台として上演される。結合双生児の姉妹を演じる2人に、稽古の真っ只中にインタビュー。そこには、真摯にこの作品と向き合う若手女優2人の姿があった。

【写真】舞台『半身』桜井玲香&藤間爽子、インタビューフォトギャラリー

初演は1986年、最後に野田秀樹の演出によって上演されたのは1999年。1994年生まれの2人には、リアルタイムでの記憶は当然ない。

「最初に台本をいただいて、そして過去の映像を観て、漫画を読んで…最初はちんぷんかんぷんでした、なんだこれは!と。映像を観たら別れや孤独、誰しもが共感しやすいことが題材なんだなとわかったんですけど」。

そう語るのは今回が初舞台となる藤間爽子。女優であり日本舞踊の紫派藤間流家元だった故・藤間紫を祖母に持ち、本人も日本舞踊家として活躍するが、さすがに最初は戸惑った様子。そしてこの作品に感じたハードルは、桜井玲香も同じだったようで…。

「私は最初に漫画を読んで、なんとなく理解した気になってたんですね。そこから舞台の映像を観て完全においていかれまして。脚本を読んでもなかなか理解できなくて…。でも中屋敷さんには『これは理解するとかじゃないんだ、いかに遊ぶかだ』って聞いて、ちょっと気が楽になりました」と語る。

主人公は、結合双生児の姉妹。痩せこけて醜い容姿ながら高い知能を持つ姉のシュラ(桜井)と、誰からも愛される美しい容姿だが知能が低く話すこともできない妹のマリア(藤間)。体の一部が繋がったまま生きている2人は、10歳を目前にしてその負担に体が耐え切れず、2人を切り離す手術を受けることになる…という物語。

インタビュー時には2人はもうすっかり姉妹のようで「なんかもう、最初からこのまんまだよね」と桜井が言えば「くっついて動いてるから、最初は『足ふんじゃった、ごめんね!』って感じだったんだけど。どんどん『ちょっとー、痛かったんだけど』みたいになってきてる」と藤間。それに対して「なんでー!? いっつも謝ってるじゃんー!(笑)」と桜井が言い返し、とてもいい雰囲気だ。

というのも今回の作品、とても壁など作っていられない理由があるようで…それは2人にとって、かなり“過酷”な現場となっているからだ。

「野田さんが以前上演したものは衣装で2人がくっついていることを表現してたんですけど、今回は身体的な動きで“くっついてる”ってことを表現しなくちゃいけなくて。シュラは好奇心もあるから、私が動くのに対してマリアはついてきてくれないとダメなんですね。爽ちゃんは常に私の動きを感じてなきゃいけないから、大変だと思います」と桜井が語れば、藤間も「いつもニコニコ笑いながらも、常に『シュラはどこにいるのか』を意識しながらお芝居をしてる感じ。マリアは前半ほとんどセリフがないけど、シュラは動きもセリフもすごく多くて大変。だからせめて私はシュラの動きを必死に感じ取ることでカバーしなくちゃと思って」とのこと。しかも今作は舞台に斜めの傾斜がつけられたいわゆる“ヤオヤ舞台”での上演となるため、2人とも「ほとんどスポーツ。こんなにきついと思わなかった!」とぼやく瞬間も。

それでも、この作品にかける思いは2人とも強い。演劇好きだった母親の影響で幼少時からさまざまな舞台を観ており、いつしか演劇への憧れを持つようになったという藤間。

「日本舞踊の家に生まれたこともあり、演劇への想いをずっと押し殺してたんです。でも大学を卒業する時『後悔したくないな』と思って」演劇の世界に飛び込むことを決めたという。こういった経験が日本舞踊の表現にもいい影響を与えれば、という期待もある。

一方、もともとアイドルの世界に入ったきっかけも「演技をしたかったから」という桜井。初舞台を機に、今ではすっかり演劇の魅力の虜になってしまったようで…。

「演劇、すごく好きなんです。舞台が一番自分自身を“解放”しやすい。でも今回は感情にまかせて演技するのではなく『“演劇”をやってほしい』と中屋敷さんに言われてて。感情を出す部分と冷静になる部分、それらのバランスが難しいな、と今思ってる最中ですね」と、また新たな課題に直面している様子。

過酷なものの「稽古場はとにかく楽しい」と笑い、「この公演が終わったら私たち、どうなっちゃってるんだろうね」と顔を見合わせる2人。その表情から見えるのは“この作品をいいものにしたい”という思いと、「半身=半神」を演じるお互いへの信頼感。若い2人の、強い想いが溢れた舞台となりそうだ。(取材・文・写真:川口有紀)

舞台『半神』は、7月11日~16日まで東京・天王洲 銀河劇場にて、7月19日~22日まで大阪・松下IMPホールにて上演。

当記事はクランクイン!の提供記事です。

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