年金、受給が月6万円台…自営業の人、2階建ての「手厚い終身年金」をもらう方法


 つみたてNISAが始まり、早5カ月が経過しました。このコラム執筆時では、金融庁から公式な統計データは公表されていませんが、一般NISAの開始時(2014年)と比較すると、かなり静かなスタートといえそうです。購入時手数料無料(ノーロード)、運用管理費用(信託報酬)もかなり低く押さえられたインデックスファンドが対象商品の中心であることから、金融庁の肝いりの制度とはいえ、費用対効果を考慮すれば金融機関がその取り組みに力が入らないのは致し方ないのかもしれません。

つみたてNISAが導入され、一般NISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)とさまざまな非課税制度がありますが、どの制度を利用すればよいのか迷ってしまうケースが多いとか。掛け金全額が所得控除となるiDeCoが最優先されると考えられがちですが、筆者はそのように感じません。フリーランスを含む自営業者の人は、iDeCoよりつみたてNISAのほうがフィットすると考えています。

自営業者の人の公的年金は、何もしなければ「国民年金」だけです。国民年金の満額受給は月額6万4941円(平成30年度の年金額)。この金額では老後生活もままならない状況なので自助努力を促すわけですが、国民年金に上乗せするには、付加年金、国民年金基金、iDeCoが考えられます。あるいは税理士などに勧められて「小規模企業共済」の加入を考える人もいることでしょう。いずれの制度も一長一短がありますが、老齢給付金額を考慮すれば、付加年金が外れてその他の制度の利用となるはずです。

●「国民年金基金」を最優先

結論からいえば、残り3つの制度であれば筆者は「国民年金基金」を最優先させます。その理由は、小規模企業共済の老齢給付は「終身年金」の制度がない、iDeCoは制度上は「終身年金」で受け取ることは可能ですが、終身年金を取り扱っている金融機関が非常に少ないからです。百歩譲って終身年金がある金融機関でiDeCoに加入したとしても、口座手数料が必要になるため、元本確保型商品で安全確実に運用したとしても、その利回りが国民年金基金の利回りを上回るのが難しいと推測されるからです。

国民年金基金の掛け金はiDeCoと合算して月6万8000円。上限まで利用せずにiDeCoと併用すればいいと思われるかもしれませんが、会社員の厚生年金保険料は労使折半。自営業者が国民年金基金の掛け金を上限までかけたとしても、会社員と比較すればそんなに掛け金が多額とはいえないのです。

国民年金基金に加入することで、自営業者も会社員と同じく「終身年金」を2階建てとするのです(国民年金基金には有期年金もありますが利用は終身年金が基本)。終身年金を厚くすることで長生きのリスク(人生100年時代)にも対応しやすくなるはずです。

ただし、国民年金、国民年金基金は物価の上昇に対応できない、つまりインフレリスクに弱い制度です。将来的な物価上昇には懐疑的な見方もありますが、政府と日本銀行はデフレ経済に再び戻さない政策を行っています。また、消費者物価指数は日本銀行が目標とする2%こそ達成されていませんが、2018年4月で対前年比16カ月連続プラスです。上昇率は1%に満たないとはいえ、預貯金や国債などの収益では残念ながら対応できないのです。

そこでインフレリスクをヘッジさせるために「つみたてNISA」を利用するわけです。つみたてNISAの対象商品はすべて、インフレに強いといわれる株式が含まれる株式投資信託またはETFだからです。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)

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