仕事で評価されるかどうかは“たった2つ”の要素で決まる!ーーマンガ「エンゼルバンク」に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第16回目です。

『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。

 

(C)三田紀房/コルク

【本日の一言】

「転職は評価を受けたり確かめたりする機会ではない」

(『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第3巻 キャリア19より)


龍山高校の英語教師だった井野真々子(いのままこ)は、10年目にして仕事に飽きてしまい、転職を決意します。井野は、かつて一緒に働いていた弁護士の桜木建二(さくらぎけんじ)に相談。桜木は以前、経営破綻の危機にあった龍山高校で教鞭を取っていた時期があり、東大合格者を輩出することによって当校を救った救世主でした。

井野から話を聞いた桜木は、転職エージェント会社の転職代理人・海老沢康生(えびさわやすお)を紹介。井野は海老沢の下でキャリアパートナーとして働くことになりますが・・・。

転職とは「ほぼ初対面同士の間で行われる駆け引き」のこと

50代の中堅工作機械メーカーの設計エンジニア・斉藤の転職を成功させようと奮闘する井野。しかし、「自社にはほぼその年代の求人がない」という現実に突き当たります。結局、自社で斉藤の就職を実現させることは諦め、別の代理店を紹介することにします。斉藤も、その提案を受け入れました。

2人は、代理店のテクニカルエージェントを訪問。社長の室田(むろた)が、斉藤に「この転職で何を一番得たいのか?」と尋ねると、斉藤は「評価を得たい」と答えます。すると、即座に「それはムリ」だと返答する室田。「転職とは、ほぼ初対面同士の駆け引き。そこで正当な評価などできるはずもない」のだと言い切ります。

「人間の価値(年収)を決めているのは“相場”。人は、転職活動を始めた段階で相場に組み込まれ、そこで値踏みされると室田。それでも本当に転職したいのかどうかを、再考してくるように」と斉藤に告げます。数日後、井野はメールで、斉藤が「代理店に紹介された会社の面接を受けることにした」ことを知ったのでした。

相場は常に動いている

通常、知らない者同士が一緒に仕事をする場合、相手の能力を見極めるには、相場で計るしかありません。「この人は、これまで市場でどのような評価を受けてきたのか?」「自社が必要とする能力を備えているのか?」というのは、相場があるからこそ判断できるものです。

この話のもう一つのポイントとは、「相場とは対外的な価値である以上、どうしても“時価総額”にならざるを得ない」ということです。これは個人に限らず、企業でも事情は同じです。時価総額とは、「価格が絶えず動いている」という意味ですから、「いつも同じ値段で売れるとは限らない」ということになります。なぜなら、市場が常に変化しているからです。

たとえば、人材市場で自分の価値を上げる方法の一つに「資格を取る」ことが挙げられます。資格を取得するには勉強をしなければなりませんが、いつ勉強しても、労力はほぼ一定なのに対して、資格の価値は常に上下しています。仮に、資格保有者の数が多ければ、当然、資格の価値も下がる一方、業界で求められている資格であれば、市場価値は上がります。ちなみに「資格よりも、仕事の経験に勝るものはない」というのが、私の個人的な見解になりますが。

あなたの“プロ度”はどのレベルか?

だったら「資格に勝る経験」というのは、どういうもののことを言うのでしょうか?端的に言ってしまえば、それは「プロとしての経験」です。

たとえば、顧客が電池の切れた腕時計を持参してきたとします。もし、あなたが時計屋さんの店員だったとしたら、プロとしてどのように回答しますか?

以下の中から選んでください。

(1)「電池交換は◯◯円で、納期は△△頃になります」と言って時計を預かる。

(2)「今は電池不要の時計もあります。ご覧になりませんか?」と案内する。

(3)ただ単に、電池不要の時計を見せるのではなく、顧客の服装や買い物袋などから顧客の趣向を察し、ワンランク上の商品を提案する。

答えは言うまでもないでしょうが、通常は(1)から(3)に進むに連れて、プロとしての難易度が上がり、それとともに市場でのあなたの価値も上がります。

業界や企業の寿命を超越した存在になろう

残念ながら、惰性で仕事をしているだけでは、絶対にプロの域に到達することはできません。少なくとも、現場で仕入れた情報をもとに「どのような仮説を立て、それをどう建設的に活かしていくのか?」と常に考え、改善を繰り返し、ビジョンに向かって上を目指す姿勢が必要なのは、言うまでもありません。

一般に、業界や企業には流行り廃りがあり、そのままにしていれば、ビジネスはやがて“有効期限”を迎えます。「企業努力」とは、ビジネスの寿命を伸ばすための延命措置という見方もできるのです。

企業に属している限り、必ず業界自体や自社製品の寿命の影響を受けます。しかし、プロフェッショナルビジネスパーソンになることによって、その寿命を超越した存在になることは十分に可能です。これをお読みのあなたには、ぜひその高みを目指していただきたいと思っています。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は40万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト


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