翻る旭日旗ジャケ! 響く軍歌メタル!「愛国心」ならRADWIMPSに負けないジャパメタ・アーティストたち

日刊SPA!

2018/6/23 15:51



(山野車輪/文 連載第34回)

◆「愛国心」ならJポップに負けていない! 日本の軍歌メタル

今回のRADWIMPSの「HINOMARU」騒動にて、「愛国=悪」みたいな風潮、そして“一部の人”による言論弾圧を見せつけられたことで、日本社会がおかしくなっていることを、多くの人が感じ取った。また、「日本を好き」と言いづらい日本社会の「反愛国」の空気・風潮に、息苦しさをも感じたのではないか。「愛国ソング」は、日本社会に横たわっている病巣をあぶり出す効果があったと言えよう。

さて、本連載のテーマはジャパメタである。ヘヴィメタルとは英国発祥の音楽で、キリスト教文化圏にあることから、反宗教的、反キリスト教的なスタンスに立つ。パンクと違って、社会問題よりも宗教的、観念的な内容や神話の世界が歌われるジャンルだ。

しかし、宗教的な締め付けがない日本においては、欧米のような反宗教的なメッセージは込められず、神話的世界観のみが描かれた楽曲が多くなり、必然的にファンタジーなイメージになる。

また、日本のヘヴィメタル・シーンは、本場である海外メタル・シーンに即した音楽が尊ばれるため、日本らしい楽曲は“歌謡メタル”などと揶揄され、低く見られてきた。X JAPANが評価されているのはごく最近の話で、それまで土着的なアーティストは嫌わてきたのである。

だから、日本のヘヴィメタル・シーンにおいては、国内の政治的左右対立のひとつである「愛国」を歌うなぞ、Jポップ以上に「もってのほか」であろう。

だが、そんな「愛国」への風当たりが強い日本のヘヴィメタル・シーンでも、その空気に抗うかのように、母国を愛する楽曲を歌うアーティストが存在する。そこで今回は、“日本愛が強すぎる”ジャパメタ・アーティストを紹介したい。

RADWIMPSの「HINOMARU」への批判に、「軍歌っぽい」というものが見られた。つーか、軍歌はダメなのだろうか? 中国やアメリカやフランスの国歌は「軍歌っぽい」どころか軍歌そのものだが、それもダメなのか? 軍歌はれっきとした音楽ジャンルのひとつである。

そしてジャパメタにも、軍歌を題材にしたアーティストが存在する。それが凱旋MARCHというバンドだ(現在活動休止中)。彼らの存在は、“一部の人”にとって、虫酸が走るどころか、徹底的に弾圧を加えたくなること間違いなしと言えよう。MANOWARやACCEPTのような正統派ヘヴィメタル以上に気合の入ったマッチョな漢メタルである。

2003年に発表された1stフルアルバム『大行進』は、男泣きする暑苦しくクドく濃いパワーメタルで、「闘魂行進曲」「闘人」「再戦」「日没」など、楽曲名も漢臭さでむせてしまう。バンド名が凱旋MARCHということもあり、10曲のうち4曲の楽曲名に「行進」というキーワードが含まれている。軍歌メタルの傑作アルバムであり、日本男児にオススメである(笑)。敬礼!

ヴォーカルの齋藤は、ソロアルバム『日章』(2008年)も発表している。2曲目「日本男児の心意気」は、男の生き様と暑苦しさ、そして哀愁が漂う名曲だ(笑)。凱旋MARCHは、「日本を好き」と言いづらく、息苦しい今の時代に必要とされているアーティストと言えるが、悲しいかな、世に出るのが15年早過ぎた。

軍歌メタルと言えば、ZENITHRASHというバンドが、2015年に、終戦70年を記念して大日本帝国の軍歌をカヴァーした企画アルバム『Genuine Prestige ~誠たる誉れ~』を発表している。全11曲収録されており、1曲目「日本民族永生歌」は同バンドのオリジナルで、他の「元寇」「青年日本の歌」「出征兵士を送る歌」「君が代」など10曲は、日本の伝統的な軍隊楽や国歌のカヴァーである。“一部の人”は、曲名だけで発狂しそうだ(笑)。

彼らはここまで愛国心を歌にしても謝罪していないのだから、RADWIMPSは謝罪する意味がなかった。軍歌も、ほかの音楽ジャンルと同様に尊重されるべき文化だと筆者は考えるが、文化に対する弾圧行為を悪と考えない“一部の人”には、通じないだろう。やれやれである。

◆特攻を歌ったジャパメタ・アーティストの想い

アジア人女性として初めて世界最大級のメタル・フェス=ヴァッケン・オープン・エアのステージに立った(2005年)経歴を持つ、SAEKOという女性メタル・シンガーがいる。彼女の2ndアルバム『LIFE』収録の「Sa-Ku-Ra」は、太平洋戦争(当時の名称は大東亜戦争)時に、特攻で散華された英霊への想いを寄せた楽曲である。「Sa-Ku-Ra」は、日本人として世界に向けて伝えるメッセージは何かと考え、生まれた楽曲の一つとのことだ。

多くの日本人同様、「軍隊は悪」という教育を受けてきた彼女は、一時、スイスに滞在していたことがあった。スイスは国民皆兵の国だが、ある時、現地の人たちと話していて、話題が軍の話になった。

「ところで、日本軍はどれくらいの大きさなの? 制度は徴兵制?」

などと尋ねられたSAEKOは、

「Off Course(もちろん)、日本に軍はいません」

と答えた。するとそこにいた人々は皆、

「えっ!?」

と目を丸くし、絶句。

「じゃあ、誰が国を守るの?」

と問い返された。

「……」

今度はSAEKOの方が絶句してしまった。

このような経験を経たことで、彼女は自身のそれまでの価値観が揺らぎ、自分は何も知らなかったと思ったという。その後、欧米至上主義だった日本のロック界の空気を破りたい、そのために海外で活躍しなければいけないと考え、活動してきたアーティストである。

◆ジャパメタのジャケットに翻る旭日旗

早くから海外との交流が盛んだったジャパメタには、80年代前半の黎明期に、日本産であること、日本のヘヴィメタルであることを強調するジャケットが見られた。その代表例がLOUDNESSの旭日旗ジャケットの5thアルバム『THUNDER IN THE EAST』(1985年)である。LOUDNESSの旭日旗ジャケットのアルバムは、ほかに『BREAKING THE TABOO』(2006年)や『THE SUN WILL RISE AGAIN ~撃魂霊刀』(2014年)などがある。

ところで、連載第32回で韓国メタル黎明期のアーティストらがLOUDNESSを目標としていたことを取り上げたが、韓国にLOUDNESSのファンは多い。2010年に行なわれたLOUDNESSの韓国ライヴも、大盛り上がりだった。

ところが韓国では、2011年からマスコミ主導による旭日旗バッシングが行なわれ、日本を貶めたい韓国人が乗せられて大盛り上がりし、日韓関係の悪化が進んだ。これにはLOUDNESSも困惑したことだろう。

旭日旗は、「愛国ソング」とされた先述の「NIPPON」が収録された椎名林檎のアルバム『日出処』(2014年)のジャケットにも用いられており、バッシングされている。これも、韓国マスコミ主導による旭日旗バッシングの延長線上によるものだろう。2011年まで、日韓双方で、旭日旗を批判する論調なんて存在していなかったのだから。マスコミ主導の反日バッシングに、軽々しく乗せられないように気をつけたいところだ。

◆LOUDNESSより先に旭日旗を用いたジャパメタ・アルバム

ヘヴィメタル界隈で旭日旗といえば、LOUDNESSのイメージが定着しているが、実はLOUDNESSより先に旭日旗を用いたジャパメタのアルバムがある。

それは、メタル・クィーンの浜田麻里である。この2ndアルバム『ROMANTIC NIGHT~炎の誓い』(1983年)はLOUDNESSの樋口宗孝がプロデュースを手掛けている。筆者のジャパメタ入り口のアルバムでもある。

また、BLIZARDの2ndアルバム『暗黒の警鐘~KAMIKAZE KILLS MY TEARS EVAPORATE~』(1984年)も旭日旗をあしらったデザインである。BLIZARDリーダーの松川“ラン”敏也は、ソロアルバムで現B’zの稲葉浩志を起用したり、X-JAPANのHIDE(hide)のツアー参加など、Jポップ界隈でも知られた存在だ。

へヴィメタルが英国発祥であることから、ジャパメタは洋楽が近い場所で活動せざるを得ず、また海外で活躍するアーティストも少なくない。そのような環境から、アーティストとリスナーには、「日本」および「日本人」というアイデンティティが付きまとう。ジャパメタはその意味でも、今、日本の音楽シーンにおいて、注目しておきたい音楽ジャンルと言えよう。

息苦しく閉塞した日本社会を打破するのは、国内においては「愛国ソング」であり、そして海外市場を切り開き、少しずつ足場を構築しているジャパメタなのかもしれない。

【山野車輪】

(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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