不倫の果て「局部切断事件」の真相に迫るエロチック・サスペンス映画

まいじつ

2018/6/23 10:30



映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『可愛い悪魔』


配給/アイエス・フィールド 6月23日より新宿K’s cinemaにて公開
監督/佐藤寿保
出演/七海なな、杉山裕右、鐘ヶ江佳太、萩野崇ほか

“チン切り”といえば、いく度も映画化されている“阿部定事件”が有名だが、こちらは妻の浮気相手の男のチンを剪定バサミで切断するという、男としては想像するだに激痛感が走る、おぞましい現代のエロチック・サスペンス・ドラマだ。

監督の佐藤寿保は、1980年代に『ピンク四天王』(公開中の『友罪』などすっかり著名監督となった瀬々敬久も当時はそのひとりだった)として鳴らし、日常に孕む狂気や耽美的なエロチシズムを追求してゆく鬼才で、その作風は揺るぎない。最近の『眼球の夢』(2016年)も倒錯的エロスがマニア心をくすぐる異色作で、かなり面白かった。

で、今度は“チン切り”なのだから、まあ、行き着くところはココかね。やっぱり。脚本は森山未來主演の『苦役列車』(2012年)のいまおかしんじで、かつて佐藤監督の助監督も務めたこともある“ピンク映画の戦友”なのだ。

過激な描写の不倫シーン


妻・美穂(七海なな)の目の前で、浮気相手の桑田(萩野崇)の男根を切り取り、高々と掲げる夫・一樹(鐘ヶ江佳太)。この猟奇事件の真相を探ろうと怪しいルポ・ライター、法月(杉山裕右)が美穂の前に現れる。バイト先の弁護士事務所で桑田と知り合った美穂は、お定まりの不倫に走り、性愛を貪る。果たして、美穂はハマると怖い“可愛い悪魔”なのだろうか。

ヒロインの七海は、ピンク映画『汗ばむ美乳妻 夫に背いた昼下がり』(城定秀夫監督)が良かった。この作品は2016年度のピンク大賞に選ばれたほどの傑作でボクも観たが、匂いフェチの人妻の行状を描いたゾクゾクするほどのデキであった。今回も、お得意の(?)わけアリ人妻を演じていて、実に似合っている。

とにかくねちっこい性描写では定評の佐藤演出だけあって、不倫シーンでは四つん這いになってのアナルセックスをたっぷり。七海演じる美穂は隠れたドSぶりを発揮し、黒のレザー衣装に身を固め、SMプレイに耽ったりする。虫も殺さぬ顔をして、オンナはコワイ、コワイ? いざ犯罪になると女性の方が腹が据わってくる?

ラストは哀れな“チ〇コ”を使ってのブラック・ユーモアたっぷりの幕切れで、これは一種の“チ〇コ・フェチ”映画なのかもしれない、と思うとかなり愛着が湧いてくるのだから不思議だ。

あなたにおすすめ