香取慎吾、『新しい別の窓』に見る“攻めの瞬発力”と“俯瞰の視点”

クランクイン!

2018/6/17 11:00

 稲垣吾郎草なぎ剛香取慎吾によるAbemaTVのレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』、通称“ななにー”第3回が6月4日に放送された。今回、向かい風を受けながら自由に羽ばたく“新しい地図”らしさを最も象徴していたのが、冒頭の約1時間。番組初のゲストなし、ほぼ3人だけでの長時間コーナー、そこには香取慎吾の“攻めの瞬発力”と“俯瞰の視点”が如実に表れていた。

【写真】「香取慎吾」フォトギャラリー

お台場の空の下から始まったオープニングは、稲垣と草なぎ2人のドライブでスタート。香取は昨年話題を呼んだ『72時間ホンネテレビ』(AbemaTV)で生まれたコントキャラクター“カトルド・トランプ”として車に乗り込んだ。放送開始わずか4分後には「牧、おまえのことが好きだー!」と、前日放送のドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)最終回の名セリフを、ドラマと似たような橋の上の通りがかりに絶叫。SNSを中心に大いに盛り上がった作品を最速でネタにするのは、SNSバラエティーを謳うこの番組らしいと同時に、とても香取慎吾らしいとも言える。

稲垣、草なぎといるときの香取は、通常ほぼ進行役を担う。自由奔放なフラットさが奇跡を呼ぶ草なぎ、独自のリズムを持ち聞き役に徹することの多い稲垣に対し、番組の打ち合わせから綿密にスタッフと連携をとり“作り手脳”を持つ香取がMCを担うことはごく自然な光景だ。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)で20年間、『SmaSTATION!!』(テレビ朝日系)で16年間、毎週生放送に出演してきた香取の生のMC力は言うまでもない。

だが、香取の本質は“瞬発力”の人だ。『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で自由に暴走する香取が、中居正広木村拓哉にペシッとはたかれていた場面を多くの人が思い浮かべられるだろう。国民的末っ子とも呼ぶべき“慎吾ちゃん”は、番組の枠の中で自由に遊び、それでいながら俯瞰で予想外の笑いを導く。攻守逆転した草なぎに「初めて分かったけど、カトルドって絡みにくいね!」と言われるハイテンションのキャラクターが好例だ。

また、かつて『SMAP×SMAP』でマツケンサンバ(松平健)、IKKO、私立恵比寿中学、生協の白石さんをコントにしたように、流行を取り入れさらに流行らせるのも彼の得意とするところ。今回もカトルドとして一発芸を求められると「ひょっこりはん」のアレンジを披露。視聴者感覚を持ち、世の中の動きを敏感に読み取る香取ならではの返しが随所に見られた。

フジテレビの前を通れば「おっきい球体のビル、お久しぶり!」と、無邪気に『おじゃMAP!!』終了以来の挨拶を送り、“インスタ師匠”と慕う山田孝之の最新映画『50回目のプロポーズ』をタイトルを微妙に間違えつつ勝手にPR。香取の口から次々と飛び出すトピックスは、視聴者に“今”を感じさせる。

そんな香取の横にいるのが、マイペースな稲垣と草なぎというのがまた面白い。香取が出す最新のキーワードにもほとんど反応することなくスルー。好きなアーティストを聞かれ、「寿坂43」とボケたであろう香取の答えも、ニコニコと「日本のアイドルは人気ですからねえ~」と受け入れてしまうのである。

そして、扮装を解いた後のコーナーでは、ゲストや視聴者を温かく誘導するいつも通りの進行ぶりを見せる。“BMW縦列駐車選手権”では予想外にスマートな運転技術を見せて優勝し、BMWブランドフレンドとしての面目躍如を果たす。“人狼ゲーム”では、並み居る強豪の中で、初心者ながらサラッと勝利。生放送の中で“慎吾ちゃん”の意外な一面を垣間見せてくるのは策士ゆえか、はたまた天性のスター性か。

最近は独創的な芸術センスが注目される香取だが、彼はそのセンスを押し付けることはなく、常に目線は“みんな”の中にある。他人の発想や才能に感動するピュアさと、それを取り入れる判断力、独りよがりにならないバランス力で、周囲を巻き込んでいくのだ。

新たな才能と出会い、自分たちを媒介させてより多くの人に届ける――彼らはSMAP時代に育んできたスピリットを、世界中につながるSNSというより広いフィールドで発信し続けている。

香取が10代の頃からその才能を評価していた萩本欽一は、「困った時に良いセリフが出てくる」とその魅力を語っている。時と共に“新しい地図”の真新しさや話題性は薄れ、日常化していくだろう。その中で、彼らの真の強さがどう次の展開を作っていくのか。“ななにー”の今後を注視したい。(文/甲斐絹果)

この日の『7.2新しい別の窓』は、Abemaビデオにて見逃し配信中。

当記事はクランクイン!の提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ