高プロでまたインチキ! 加藤勝信厚労相は架空の聞き取り調査をでっち上げ「私が企業に訪問しいろいろニーズを聞いた」と大嘘答弁

リテラ

2018/6/14 18:00


 安倍政権の驚くべきインチキが、またも露呈した。安倍首相が「労働者のニーズに応えるもの」とアピールし、一括法案で衆院を強行採決させた高度プロフェッショナル制度の創設だが、なんと法案を国会に提出する前におこなった労働者の聞き取りは1名だけだったことがわかったのだ。

そもそも高プロは年収1075万円以上の一部専門職を対象に労働時間の規制から除外し、残業や休日労働に対して割増賃金が一切支払われないというもので、これが成立すれば「残業代ゼロ・定額働かせ放題」となる。安倍首相はこれを「働き方改革」と呼ぶが、実態は「働かせ方改革」であり、働く側ではなく企業だけがトクをする法案になっている。

そのため、「高プロに必要性はあるのか」という声があがってきたのだが、加藤勝信厚労相は安倍首相と同様に、労働者から労働時間規制を外すことに肯定的な意見があると主張して「働く方からいろんなお話を聞かせていただいている」と答弁してきた。だが、その肝心のヒアリングした人数は、たったの12名でしかいないことが判明した。

過労死につながる人の命がかかった重要法案を推し進めるのに、わずか12名に話を聞いただけ──。その上、この聞き取り対象者は、厚労省が聞き取りを依頼した企業側が選んでおり、企業側の同席者がいたことが発覚。端的にいえば"ヤラセ"調査だったのだ。

これだけでも高プロにはもはや立法事実がないと言うほかないが、さらなる驚愕の展開が待っていた。12名に対する調査は、1名が2015年3月31日、2名が5月11日、そして6名が今年1月31日、3名が2月1日におこなわれたというのである。

高プロの前身である法案が国会に提出されたのは、2015年4月3日。つまり、法案提出前に聞き取った声は、なんと1名だけだったのだ。しかも、法案要綱が示されたのは同年3月2日のことなので、根本的には0名。「労働者のニーズ」とやらは完全に後付けの言い訳だったのだ。

しかも、12名のうち9名は、法案が審議されていた今年の1月31日以降に聞き取り調査がおこなわれているのである。そして、1月31日といえば、参院予算委員会で高プロのニーズについて野党が追求をした日なのだ。

実際、この日の参院予算委員会では、加藤厚労相はこんな答弁をおこなっている。

「高度で専門的な職種、これはまだ制度ございませんけれども、私もいろいろお話を聞くなかで、その方は『自分はプロフェッショナルとして自分のペースで仕事をしていきたいんだ』と、そういったぜひ働き方をつくってほしいと、こういうご要望をいただきました。たとえば研究職のなかには、1日4時間から5時間の研究を10日間やるよりは、たとえば2日間集中したほうが非常に効率的にものが取り組める、こういった声を把握していたところでありまして、そうしたまさに働く方、そうした自分の状況に応じて、あるいは自分のやり方で働きたい、こういったことに対応する意味において、これ全員にこの働き方を強制するわけではなくて、そういう希望をする方にそうした働き方ができる、まさに多様な働き方が選択できる、こういうことで、いま議論を進めているところであります」
「いま、私がそうしたところへ、企業等を訪問したなかでお聞かせいただいたそうした意見、声でございます」

加藤厚労相が自ら企業に出向き直々に大勢の労働者から話を聞き、多くの要望の声が寄せられているかのような答弁だが、実際にはこの日以前におこなわれた聞き取り調査はわずか3名。この3名も、加藤氏が厚労大臣になる前のものだ。その上、このあたかも直接話を聞いたように語っている「研究職」の意見は、労働基準局の職員が聞き取った1例だったのである。

ようするに、厚労省は野党から高プロのニーズ問題に切り込まれることがわかって慌てて聞き取り調査をおこなった一方、加藤厚労相はリアリティたっぷりに、浪々と嘘を国会で吐いたのだ。しかも、こうして嘘がバレているにもかかわらず、加藤厚労相は昨日の定例会見で「12人に私は聞いているわけではなくて、厚生労働省の事務方を通じて聞いた」などと開き直ってみせた。さすがは安倍首相と昵懇の"お友だち大臣"、類は友を呼ぶとはこのことだろう。

このように、完全に立法事実がないことが判明した高プロ。これまで加藤厚労相は話をはぐらかすばかりで、その話法は「ご飯論法」と呼ばれてきたが、ついにその答弁も崩壊したことからSNS上では「お粥論法」なる言葉まで使われはじめている。

だいたい高プロは、加藤厚労相が説明しているような「労働者が自分の状況に応じて、自分のやり方で働ける」制度ではまったくない。企業側が規制なく自由に「○時から×時まで働け」と命じることができるようになる法律だ。残業代も支払わず24時間働けという指示すら可能で、労働者は自由に働けるどころか過重労働にも従わなくてはいけなくなる。「10日間働くより、2日間集中したい」なんて自らがでっち上げた架空のニーズにすら応えていない代物だ。

だが、それでも安倍政権は高プロを、早ければ来週にも参院で強行採決させる気でいるのだ。

労働者の声はハナから無視したこの法案が成立すれば、安倍首相とそれを支える経団連のお歴々が高笑いするだけで、働く側は長時間労働と過労死の危険に晒される。このデタラメ、でっち上げ、嘘八百に塗り固められた高プロの強行採決は、けっして許されるものではない。
(編集部)

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