尾上右近が“憧れ”坂田藤十郎が演じた上方歌舞伎の名作に挑む! 第4回自主公演『研の會』取材会

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2018/6/14 17:10


2018年6月26日(火)・27日(水)に国立小劇場にて、尾上右近が主宰する4回目の自主公演『研の會』が開催される。この会では未経験の名作にあえて挑戦するのが見どころとなっている。13日(水)、都内にて右近が会見に臨み、今回の演目について紹介した。

今回上演するのは上方歌舞伎の名作「恋飛脚大和往来」から「封印切」、そして舞踊「二人椀久」。「恋飛脚~」は人形浄瑠璃『けいせい恋飛脚』を歌舞伎に脚色した作品。さらにさかのぼると近松門左衛門の『冥途の飛脚』を改作した作品でもある。先日上演された『近松心中物語』で、主人公の忠兵衛が遊女梅川を身請けするために手を付けてはいけない公金を使ってしまう場面、と言えばピンとくる人もいるのではないだろうか。

そして「二人椀久」は大坂の豪商椀屋久兵衛(=椀久)が、傾城(けいせい)・松山との恋路を裂かれ、狂ってしまった挙句放浪するうちに松山の幻と出会い、楽しかった昔の思い出話をするという目にも美しい舞踊だ。
尾上右近
尾上右近

右近はこの2作について「どちらも男性の悲恋を描いたものですので、数少ない自分の恋愛経験も活かしていきたい」と笑いながら抱負を述べる。「『恋飛脚』は坂田藤十郎さんに憧れて25日間通っていたぐらい。舞台袖で泣きながら拝見していました。僕が毎日観ていた事を知った藤十郎のおじさまは『今度私が忠兵衛を演じるときはあなたに教わらないとね(笑)』と声をかけてくださいました。その言葉は一生の宝物です」と、思い入れの深さを吐露。「封印切」は、悲劇ではあるが多面性があるところが魅力、と述べる右近は「藤十郎のおじ様が演じる忠兵衛には、それが色濃く表現されていると感じました」とさらに尊敬の念を重ねていた。だが、上方歌舞伎だからこその大変さも感じており「これまで関西弁で話す芝居をやったことがなかったので、関西弁で捨てゼリフを言う場面が特に難しいです」と初めての経験での苦労を垣間見せていた。
尾上右近
尾上右近

4回目の『研の會』には右近が憧れた坂田藤十郎を祖父に持つ中村壱太郎を迎えて行われる。「壱太郎さんは、仲の良い先輩であり、『いつか一緒に踊りたいね』と話してきた相手。思い切りぶつかってきてくださる方です。壱太郎さんは型があるところにいかに心を込めるかという点に力を入れているので、何が起こるのかがとても楽しみです。また舞踊においても壱太郎の吾妻流と僕の尾上流、それぞれの伝統の型と、自分らしさを出した演技との間に起こる摩擦も楽しみです」。その一方で「壱太郎さんはすでに(振付を担当する)尾上菊之丞さんのところに通っていて、振り写しを始めているんですよ!」と右近は焦る素振りを見せ、笑わせていた。そして、そんな二人で描く「二人椀久」は「油絵のような濃さのある世界を表現したいです」と改めて期待を持たせていた。
大笑い!の右近さん
大笑い!の右近さん

取材・文・撮影=こむらさき

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