最強の一人芝居フェスティバル『INDEPENDENT』〈東海版〉は、今年も名古屋「ナビロフト」で開催!

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2018/6/14 13:15


ますます広がりを見せる大阪発の一人芝居フェス。今年の“東海勢最強”の栄冠は誰の手に?


俳優と作・演出家によるユニットが、さまざまなスタイルの表現によるソロアクトで競演する『INDEPENDENT』。2001年に大阪で始動したこの企画は、これまでの17年の歴史の中で全国各地にも派生。その地域版のひとつとして、2012年から〈東海版〉も津(三重)と名古屋で毎年交互に継続開催されてきた。

そんな中、昨年は名古屋会場として初めて「ナビロフト」で上演が行われ(開催経緯や企画の成り立ちなどは、こちらの記事を参照)、好評を博した成果によって、2年連続となる同劇場での開催が決定。まもなく、6月16日(土)・17日(日)の2日間に渡って今年の『INDEPENDET:NGY18』が行われる。
『INDEPENDENT:NGY18』チラシ表
『INDEPENDENT:NGY18』チラシ表

上演作品は、東海四県(愛知・岐阜・三重・静岡)から公募を募り、そこから書類審査を通過した4ユニットがラインナップ。さらに昨年の大阪本戦で高評価を得た、仙台と大阪からの招聘2作品を加えた全6作が、1ステージ3作ずつ上演される。東海勢4作、招聘2作というラインナップ自体は前回と同じだが、応募件数は昨年に比べ大幅に増えたという。

「去年、公演を観てくれた多くの方に「良い企画だ」と言っていただいたので、参加する側のアーティストの方々にも魅力を感じていただけたのかなと思って」と、「ナビロフト」プロデューサーの小熊ヒデジ。「もし来年もここで開催できたら、もっといろいろなタイプの表現者が参加してくれるかなとも思うし、新たな展開みたいなことも視野に入れて、この企画を育てていけたらいいなと思いますね」と、今後の開催への期待も高い。

さて、そんな高倍率の審査を見事通過した東海勢の4チームから、参加者の一部が会場の「ナビロフト」に集結。それぞれ参加の動機や上演にかける意気込みなどを語っていただいたので、観劇のご参考に。
『INDEPENDENT:NGY18』参加者の一部。左から・脚本&演出の山形龍平、出演者の山口未知、出演者の河内愛、「ナビロフト」プロデューサーの小熊ヒデジ
『INDEPENDENT:NGY18』参加者の一部。左から・脚本&演出の山形龍平、出演者の山口未知、出演者の河内愛、「ナビロフト」プロデューサーの小熊ヒデジ

a/『クラベール』脚本・演出:山形龍平
「僕は去年、別の団体で自分自身が一人芝居を演じたのと、以前に落語もやったことがあったので、一人芝居はすごく面白いなと。それを自分で書いて演出すると、どんな風になるのかな? と単純な好奇心がどんどん大きくなっていったので応募しました。ちょうど一人芝居をやりたいという役者さんもいたので、じゃあやりましょうと。脚本の構想自体は結構前からあって、それを一人芝居として書いたら面白いんじゃないかなと思い、母親の話なんですが、勢いでガーっと書きました。俳優に専念していて戯曲を書くのをやめていた時期があるので、自分で書いて演出するというのはこれが2本目なんですよ。周りが凄すぎてプレッシャーもありますけど、役者も今回が久しぶりの出演なので、それも含め、当たって砕けろ精神で臨みたいと思います」
b/『パレード』出演:河内愛
「私はKIMYOに入団して今年で3年目です。『INDEPENDENT』は5年ぐらい前から観ていて挑戦したかったんですが、当時はフリーで活動していたので誰に頼んでいいのかわからなくて。一人芝居は一度演じたことがあるんですが、完全にセルフプロデュースだったので客観視できず、限界を感じました。やっぱりちゃんと「この人に書いてほしい」と思った人と一緒にやりたいという思いがあったので、KIMYOに入って宮谷さんに頼んだら、「いいよ、やろうか」と言ってくださったので応募して。話については、「デモをすることによって世界は変えられるのか?」という題材にしてほしいと、資料を渡しました。「揺るがない正義を持っている人の意志の強さはどこから来るんだろう?」とずっと考えているんですが自分の中で答えが出し切れないので、宮谷さんだったらどう思うのかな?と。それと、KIMYOは出演者の人数が多くて、音響や照明も派手で美術も建て込んだものが多いので、それが宮谷さんの作品だ、という印象が強いんです。それを一人芝居で、創りたいものをどこまで出来るのか、というのに挑戦してもらいたい気持ちもありました」
c/『サウンドオンリー』出演・演出:堀越千晶
「俳優として活動し始めて短くない年月が経とうとしていますが、最近やっとスタート地点に立ったような気がしています。おもしろさを体感するという意味や、表現の方法を探り始めたり、ということを含めて、今本当に演じることがおもしろいです。そんな今に、作品を作りたくなりました。誰かとやることも本当に楽しいけれど、私自身は今なにを作れるだろうというところを試してみたくなりました。かつて観た『INDEPENDENT』での俳優さん達のチャレンジの輝きを思い出しました。それで、私もやるなら今かもしれないと思い、エントリーしました。たくさんの才能の中で、ゆっくりとしか歩めなくても続けていいんだってことを示せたらいいなあと思っています。人の生き様なんてなかなか見られるものではなくて、演劇ではそれができる。私を通して、登場人物の生き方、考え方、苦悩、喜びをお見せできればと思います。当たり前のことが一番難しいです。生きている時も、演じている時も。逃げずに、当たり前のようにつまづいてまた歩き出す彼女を演じていきたいと思います。その姿が見たい方がいると思います。かつての私みたいに」
d/『東京ナガレ者~おっかさん版~』出演:山口未知
「実は20年くらい前に、この作品を一度やっているんですね。当時、劇団員が他の団体に出払っていて、私一人残っていたので何もやらないのは淋しいと思っていたところに、「このホンをおっかさん版でやったらどう?」と神谷君が言ってくれたので演出してもらって。ただ、その時は路上パフォーマンスみたいな感じだったので、道具のタンスはエアで、音も照明もない状態でお客さんも少ないし、演出も観ていなかったので、自分自身終わった感じがしなくて消化不良だったんです。そしたら去年、「すぎうらさんがこの作品をやってる! 懐かしい!」と思って、私もきちんと劇場で、照明も音響もあるところでもう1回やりたいなと思ったんですね。でも、これだけの時間を一人で持たせるというのは、やっぱりすごいことだなと思いました。間だとか、セリフの速さとか、強弱とか、そういったものをすごく試されるなと。あぁ、大変なことをやってしまっているな、と思います。でも、いつまでもやりたい、やりたいと思っているだけではダメだと思って、怖いけど崖から飛び降りてみました(笑)」
参加者それぞれの一人芝居にかける情熱の一端に触れると、ますます上演が観てみたくなるのでは? 尚、全国6都市で開催される地域版(今年は、札幌、仙台、上田、名古屋、福岡、沖縄)から選ばれた優秀作品は11月開催の大阪本選に招聘されるため、本選へ歩を進める作品を予想しながら観劇するのも。また、5年ごとに開催される全国ツアー(次回は2021年の予定)に加え、今夏にはいよいよ海外公演も実施予定と、発展し続ける『INDEPENDENT』。今後の展開も目が離せません。

【東海版 上演ラインナップ】 ※上演スケジュールは下記公演情報を参照
a/『クラベール』
出演◆岩田千鶴(gateau au fromage) 脚本・演出◆山形龍平(タツノオトシドコロ)

子どものころ、あなたと一緒に住んでいた家も、買い物帰りに一緒に立ち寄った駄菓子屋も、今は駐車場に変わりました。でも、私の中にいるあなたは変わっていません。あなたは優しくて、とても甘くて、暖かかったのに、ずっとわからないことがあります。私もあなたと同じように子どもをうみ、私はあなたと同じ歳になりました。あの頃と比べると、今ならあなたの気持ちがわかるのでしょうか。

b/『パレード』
出演◆河内愛(演劇組織KIMYO) 脚本・演出◆宮谷達也(演劇組織KIMYO)

私は、間違っていない。日本政権は今、悪化の一途を辿っている。立憲主義は否定され、人民の生活保障は失われ続けている。私たちの声を聴け。少しだけでもいい。その為ならば私は、暴力さえも肯定する。先日のデモの際も男を一人殴り倒した。その男は、死んだ父親に似ていた。母親に、このことは言ってない。それでも私は、間違っていない。絶対にだ。
c/『サウンドオンリー』
出演・演出◆堀越千晶(劇団『劇団ごっこ』) 脚本◆竹内康介(劇団『劇団ごっこ』)

身の回りのいろいろなものがうるさく感じた。それは音という物理的な波でもあるし、いろいろなものがまとわりつく感覚的な鬱陶しさでもあったと思う。オフィスがやかましく、街が騒がしく、自室すらどこか浮ついている。騒音をかき消そうと流すヘッドホンの音楽すらどこか耳障りだ。それから逃れようと思った。逃れたかった。さて、風のない満月の夜。見上げた先は夜空。そして宇宙だ。
d/『東京ナガレ者~おっかさん版~』
出演◆山口未知(劇団B級遊撃隊) 脚本◆佃典彦(劇団B級遊撃隊) 演出◆神谷尚吾(劇団B級遊撃隊)
7年前、不良息子の浩二郎は、シンナー、たばこ、娘をまわしたり、香港に売り飛ばしたり。母は、そのあと処理に大奔走、挙句に店は倒産。残ったのはタンスだけ。失意のどん底の中、浩二郎が調理師になりたいという。せめて大阪までの新幹線代だけでも出してやりたいとタンスをもって質屋へ…今日、7年間の修行を終えて浩二郎が帰ってくる!
e/『イーハトーヴの雪』 ※招聘作品 from 仙台
出演・脚本◆井伏銀太郎(Gin’s Bar) 演出◆西澤由美子

東日本大震災直後の岩手県釜石市の廃校になった小学校の体育館。番号を付けられ物のように床に並べられたご遺体の人間の尊厳を回復する為に一人話しかける男がいた。「イーハトーヴはドリームランドで夢の国で、どんな苦しみも、どんな悲しみも、やがて清く輝き出して、田園の風と光に満ち溢れるんだって」。全国で上演を重ねてきた作品が遂に名古屋へ上陸。 『イーハトーヴの雪』舞台写真
『イーハトーヴの雪』舞台写真

f/『さようならば、ばら』 ※招聘作品 from 大阪
出演◆佐々木ヤス子 脚本・演出:早川康介(劇団ガバメンツ) 音楽◆福島大

アメリカのストリッパー、ジプシーローズ・リー。昭和初期、彼女に憧れジプシーローズと名乗ったストリッパー、志水敏子。そして、どちらに憧れることもなかった名もなきストリッパー、バーバラ・一九美(いくみ)。1月9日に生まれた女が、男に語り、男に歌い、男に踊る。哀しくも可笑しいストリップショー。 『さようならば、ばら』舞台写真
『さようならば、ばら』舞台写真

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