「シグナル」怒涛の最終回の因果を解きほぐしたい。硬派な制作姿勢に拍手したいけど、スッキリもしたかった

エキレビ!

2018/6/13 11:00

坂口健太郎が初主演を務めるドラマ、フジテレビ系「シグナル 長期未解決事件捜査班」(関西テレビ制作、毎週火曜21時~)の最終話。

怒涛の展開、余りにも怒涛の展開過ぎたため、だいぶ説明不足だった感のある最終回。一体どういうラストだったのか、解説したい。


開始数分でハッピーエンドは消滅
2000年、無線により三枝(坂口健太郎)に亮太(神尾楓珠)が殺されることを知らされた大山(北村一輝)。しかし、駆けつけるも間に合わず、中本刑事部長(渡部篤郎)の手によって亮太は殺されてしまい、武蔵野集団暴行事件の証拠は握りつぶされてしまう。

亮太が必死で無実を証明したかった理由は、自分のためではなく、家族のためだった。こんなにも好青年である亮太が死んだことで、まだ開始数分の序盤だが、ハッピーエンドの線は無くなった。

スリリングなシーンにモヤモヤ
2018年、口封じのため中本から命を狙われている元暴力団の岡本(高橋努)に接触を試みる三枝と桜井(吉瀬美智子)。大山の死の真相を確かめようとすると、中本からの追手が現れる。岡本は銃撃され、三枝も桜井を身体を張って守り、救急車で運ばれる。

桜井が中本の追手と格闘しているとき、三枝が撃たれた岡本を起こそうとしていたのがモヤモヤ。大事な証拠を握っているのはわかるが、目の前で銃出してるのだから桜井の応援に行ってほしかった。それと、ピッコロさんスタイルで身体を桜井の前に投げ出したのもよくわからない。桜井を突き飛ばした方が早いあい、安全だし、咄嗟の判断っぽい。それと、中本と岡本の名前が似ているのもわかりづらい。せっかくスリリングなシーンだったのに、モヤモヤポイントが多すぎた。

過去を変えずに、自分で未来を切り開いた大山
2000年、桜井に無線で谷原記念病院には行くなと言われたのでとりあえず向かった大山。ここで死体を発見、1話で最初に三枝と無線で交信したシーンにつながる。

これがまた微妙にわかりづらい。ただ単に、1話のあのときのシーンですよーってだけの場面なのに、現代の三枝が死にかけているカットと、初めて無線を手にした三枝のカットが交互に入るから、無限ループものみたいに見えてしまう。理解さえ出来れば、物語が繋がったことがわかる視聴者にとっては、カタルシスを感じられる最終回らしい場面だ。

その後、大山は岩田(甲本雅裕)に殺されかけるも、必死の抵抗により桜井ら仲間の応援が間に合い、間一髪で生き延びる。大山は、自分の意志の強さと行動で未来を変えたのだ。これにより、全ての未来が変わった。

エピローグ的な部分
2018年、眼が覚めた三枝は自分の部屋にいた。自分の名刺を見ると、警部補ではなく、第1話当初の巡査のままだった。

「記憶が変わっている」

三枝は変わっていると発言したが、正確には「足されている」が正しい表現だろう。これまでの10話分全ての記憶に加え、大山が生き延びた世界の記憶が加わったのだ。しかし、世界が変わったので、当然、長期未解決事件捜査班のメンバーは三枝を覚えていない。これが三枝が望んでいた世界のはずなのだが、なんだか寂しい。

肝心の大山は中本を殺したとして指名手配され逃亡中だった。これは、まったくもって説明されていないが、真の黒幕である衆議院議員の野沢義男(西岡徳馬)の仕業と見ていいだろう。トカゲの尻尾切りとして、中本を殺し、大山に罪を着せたのだ。

この事件を解決する為に、三枝は無線を使って同じく2つの世界の記憶を持つ桜井と一緒に大山は探しに行く。そこですぐに大山と合流できたのか、それともまた野沢によって何かしらのひと悶着があったのかは、視聴者にゆだねるといった感じだろう。

胸糞悪い人間と展開の連続だった「シグナル」だけに、最終回はわざと臭いくらいのハッピーエンドでもちょうどよかったように感じる。それをこれだけ視聴者の受け取り方に委ねるようなラストにしたのは、制作陣の媚びない姿勢を感じる。カンテレのこの枠はそういった気概のあるドラマがあるだけに、そこはすごく納得が行く。ただ、僕は一視聴者として、ただただスッキリしたかった。

(沢野奈津夫)

「シグナル」
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