元警察関係者が“裏社会”の実情を語る「優秀な警察官ほど転落しやすい」

クランクイン!

2018/6/12 11:00

 世界的ベストセラー作家ドン・ウィンズロウの最新作「ダ・フォース 上・下」の発売を記念し、元警察関係者やジャーナリストを招いた「実録アンダーグラウンド座談会」が都内で開催された。座談会には、元千葉県警で35年間勤務し、刑事部捜査第一課長も務めた田野重徳氏、元厚生労働省麻薬取締部の捜査第一課長などを歴任した高濱良次氏、ジャーナリストおよび銃器評論家である津田哲也氏が参加し、感想を交えながら、自身の経験談や警察内の汚職、麻薬捜査などの実情について語り合った。

【写真】「ダ・フォース 上・下」発売記念座談会の様子

「ダ・フォース」は、リドリー・スコット製作総指揮で映画化が決定し、スティーヴン・キングも“ゴッドファーザーのような警察小説”と絶賛した話題作。主人公はニューヨーク市警で麻薬や銃による犯罪を取り締まるエリート特捜部、通称“ダ・フォース”に所属する刑事デニー・マローン。弱い存在を守り、この街を統べる刑事の王だったマローンが、ある麻薬組織の手入れの際にとった行動をきっかけに、転落の道をたどることになる。

最初に発売元であるハーパーコリンズ・ジャパンの代表取締役社長フランク・フォーリーが本書について「本当に面白い。NYの警察官からも、リアルなところが非常に評価されている」とアピールした後、座談会はスタート。

「ダ・フォース」では、マローンが警察への情報提供者とやりとりをするシーンが印象深かったという田野氏は「マローンさんの心境が如実に描かれている。マローンさんの気持ちが手に取るようにわかりました」とうなると、高濱氏も「我々がやっているのと変わりない。こういう捜査官がなかなかいない中、彼の活躍ぶりは印象深かった」と感心する。

津田氏によると「警察への情報提供者は“S”と言われています。ひと口5000円で領収書が出るんですが、一時期、それが裏金になっていたこともありました」とのこと。高濱氏は「“S”がいないと我々の捜査は成り立たない」とうなずくが、田野氏は「今は“S”の運用も組織化され、情報の内容については事前の署長決済が必要で、情報の質や重要度により金額も変わります。それはミイラ取りがミイラにならないためにやっています」と補足した。

また、警察官から悪の道へ転落していく人の共通点について、田野氏は「検挙実績が極めて高い人」と意外な発言をすると、高濱氏も「優秀な人ほど陥りやすい」と同意する。

その理由について田野氏は「実績のない人はそういう機会に恵まれません。平々凡々としていて、本来のやるべき仕事もしないから」と、高濱氏も「情報だけがすべてじゃないけど、情報収集が一番大事」と語った。津田氏もそれを受け「確かに組織犯罪において、できる警察官は人たらしです」と納得した表情を見せた。

「ダ・フォース 上・下」は、全国の書店、オンラインショップで発売中。各1050円(税込)。

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