イケメンの顔を超える“没入感”が魅力!未来を選ぶFPSムービー『リディバイダー』#野水映画“俺たちスーパーウォッチメン ”第五十三回

SPICE

2018/6/11 22:00



TVアニメ『デート・ア・ライブ DATE A LIVE』シリーズや、『艦隊これくしょん -艦これ-』への出演で知られる声優・野水伊織。女優・歌手としても活躍中の才人だが、彼女の映画フリークとしての顔をご存じだろうか?『ロンドンゾンビ紀行』から『ムカデ人間』シリーズ、スマッシュヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』まで……野水は寝る間を惜しんで映画を鑑賞し、その本数は劇場・DVDあわせて年間200本にのぼるという。この企画は、映画に対する尋常ならざる情熱を持つ野水が、独自の観点で今オススメの作品を語るコーナーである。
時間があれば映画を観ていたい私だが、やりたいゲームが山積みになってきたこの頃。最近のゲームは本当にスゴイ。私が今プレイしているものも、ドラマティックなストーリーと、実在する役者からキャプチャーしたキャラクターのリアルさが際立つ、まるで遊べる映画のようなゲームだ。ゲーマーとしてはうれしい進化だが、「映画離れに繋がるのでは?」などと不安になったりもした。だがそんなのは要らぬ心配だったようだ。“遊べる映画”なゲームが増える一方、ゲーマーたちをも虜にする“体感するゲーム”とも言える映画が生まれ始めている。今回紹介する『リディバイダー』も、そんな作品の一つだ。

舞台は近未来、エネルギーの枯渇問題に直面した地球。人類は、自らの手でもう一つの地球“エコーワールド”を創り出し、そこからエネルギーを得ることで問題を解決しようとしていた。しかし、二つの地球を繋ぐタワーが暴走を始め、各地で異常気象が発生。崩壊の危機に瀕した地球を救うため、元NASAのパイロットであるウィルが調査のためエコーワールドへと送り込まれる。タワーの暴走を止めるためには、どちらかの地球を破壊しなくてはならない。しかし、もう一つの地球にも、その世界の人類が存在していた。はたして、ウィルと人類の運命は。

視点の変更によって高まる没入感

(C)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.

映画は第三者視点で撮影されているものが一般的だが、POV……ポイント・オブ・ビューと呼ばれる、主観で撮られたものも多くある。取材カメラマンの視点で物語が進行する『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)が有名だろう。そんなPOVの中でも、FPS(ファースト・パーソン・シューター)と呼ばれる、一人称シューティングゲームのような作品が増えてきた。昨年日本でも公開された、『ハードコア』(15)がまさにそれ。主人公の視点で、ただひたすらに景気良く銃で敵をぶっ殺してゆく、ゲームの中に入り込んだような感覚になる作品だった。本作『リディバイダー』も、FPS的要素の強いアクション映画だ。
ダン・スティーヴンスは、『X-MEN』プロフェッサーXの息子が主人公の海外ドラマ『レギオン』にも主演中 (C)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.
ダン・スティーヴンスは、『X-MEN』プロフェッサーXの息子が主人公の海外ドラマ『レギオン』にも主演中 (C)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.

主人公・ウィルを演じるのは、『美女と野獣』(17)の野獣役が記憶に新しいダン・スティーヴンス。『美女と野獣』では最後の最後にようやく毛まみれ姿から元に戻り、その整った素顔を見せていた。そして、残念ながら本作『リディバイダー』でも、顔をあまり見せてはくれない。なぜなら、ほとんどがFPS視点で展開するからだ! と言っても、本作の視点は全編通して一人称なわけではない。本物の地球では三人称視点で物語が進み、コピーされた地球・エコーワールドでは一人称視点に切り替わる、という変化球な見せ方が特徴なのだ。「素敵な役者さんを使っておいて、あまり見せないなんてもったいない!」と思う方もいるだろうが、私はイケメンの顔が出ていてもいなくても気にしないタイプ(笑)。むしろエコーワールドに入った瞬間に視点が一人称になるので、まるで自分がその世界に放り込まれたように感じ、ミッションに臨む“没入感”がグッと高まるはずだ。次々襲い来るドローンをバンバン撃ち落とすシーンでは、「ゲームにしたらなかなかの難易度だ……!」と、手に汗握る。観ていて手元にコントローラーが無いのが少しもどかしく感じてしまうほどだった(笑)。

二つの地球、どちらを救うのか?

(C)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.

エコーワールドへと足を踏み入れたウィルは、そこでたくさんの人間の死体を見つけ、さらには同僚と出会う。上司からは「エコーワールドに生物は存在しない」と聞かされていたため、あたふたするウィル。だがタワーの暴走を止めるためには、どちらかの地球を破壊しなくてはいけない。

Twitterなどでもたびたび話題にあがる倫理学の有名な例題に、トロッコ問題というものがある。トロッコが暴走し、このままだと前方の5人の作業員を轢いてしまうが、進路を切り替えれば、反対側の1人の作業員が轢かれてしまう。さぁどうするか?
イラスト=いらすとや
イラスト=いらすとや

まるでこのトロッコ問題のように、元の地球を壊せば守りたい家族やたくさんの人々が死んでしまうし、かと言ってエコーワールドには同僚らが存在する。これはどっちを選んでも後悔が残る選択になるのではないか!なんて嫌な二択を突きつけてくるんだ~!とモヤモヤすること間違いなしだが、自分がウィルになった気持ちで、彼の命を賭けた選択を見届けよう。

派手さはないが、硬派なSFの世界観とFPSの没入感を楽しめる本作。「あんまり映画は観ないな~、ゲームの方が好きだし……」なんていうゲーム好きの方にも、激オススメしたい一作なので、劇場へGOだ!

『リディバイダー』は公開中。

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