至近距離から届けられた「自分らしくいればいいんだよ!」のメッセージ~『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン~ 春の新生活応援ミュージカルソングSP 』レポート

SPICE

2018/5/28 18:00



ライブを堪能しながら食事やお酒を楽しめる、様々な企画を発信している、eplus Living Room CAFE&DINING。渋谷道玄坂にある渋谷プライム5階のエレベータを降りると、突如オシャレな邸宅のリビングのような空間が出現するこのカフェに、劇場を飛び出したミュージカルスターたちが集い、歌い踊る!という新たな企画が、この2月にミュージカルファンを驚かせた。それが『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン~』だ。日頃、大舞台と客席という非日常の中でしか接することのできないミュージカルスターが、文字通り手を伸ばせば届く距離で、誰もが知る名曲を大迫力で披露した公演は大好評を博し、企画のシリーズ化を望む声が多数届いていた。

そんな熱いメッセージに応えての第二弾『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン~ 春の新生活応援ミュージカルソングSP』が、4月16日(月)の昼夜2回公演として開催された。春爛漫の季節に、新たな環境に飛び込んだ人たちを応援するミュージカルソングによる、豪華なステージが繰り広げられた。

【動画】『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン』 第二回公演より

ただでさえ渋谷駅至近という好立地にも関わらず、リーズナブルな料金で豊富なメニューの中からフードやドリンクを選べるeplus Living Room CAFE&DININGだが、この日は特に出演スターたちオススメの限定フードメニューも用意され、その中から、日向夏のシャーベット、レアチーズケーキ、ゴマ団子、シュークリームの盛り合わせ「4種のデザートアソート」という様々なスイーツを楽しんでいると、カフェのクルーの制服に身を包んだ人たちの中に、見知った顔がいることに気づいた。目を凝らすと今日の出演者たちが、クルーとなってカフェを行き来しているではないか! すでにここから「スターのいるレストラン」の世界観がはじまっているという、まるでテーマパークのような仕掛けに興奮を覚え、期待が膨らんでいく。


■意外な組み合わせや、サプライズもたっぷりのミュージカル・ナンバー


そんな気持ちが最高潮に達した時、企画のコンセプトの説明と共に、第二回目の今回新たに加えられたナビゲーター、ゲスト司会者として、宝塚雪組で活躍した元男役スターの鳳翔大が登場。高らかに開幕が宣言され、第89回アカデミー賞で6部門受賞の栄誉に輝いた大ヒットミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』のオープニングナンバー「Another Day of Sun」がはじまる。『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン~』第一回と同じ楽曲が選ばれていることに、この企画がシリーズ化していくのだ!という期待の高まる滑り出しだ。そこに今日の出演者たちから、青野紗穂がソロで歌い、元宝塚雪組の娘役・大月さゆと鳳翔が宝塚OG同士でのデュエットダンスを見せ、マジシャンのK-SUKEが早速のマジックで鳩を出し、岡本悠紀も揃ってステージは一気に華やかに。キャスト、バンドメンバーの紹介、更に全員のダンスが1曲の中で続き、オープニングからカフェの空気は一気にヒートアップする。






「ここは渋谷!」という『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン~』ならではの粋な締めくくりでダンスがキマった後、音楽は静けさのある美しいメロディーとなり、不朽の名作ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の同名曲が、ゲスト出演者の1人RiRiKAのソロで歌われる。どこまでも伸びやかな歌声は、まるでカフェの空間を突き抜けて空に向かっていくかのよう。どんな苦難の時にも音楽と共にあり、人生を豊かに過ごしていくヒロイン・マリアが、大自然の中でこの曲を歌う映画の名シーンが目に浮かんだ。


元宝塚花組の娘役で、退団後テレビのカラオケ番組でその類まれな歌唱力が一気に全国に知られるところとなったRiRiKAを、鳳翔が「歌姫」と紹介。「人生で1番好きな曲」と「サウンド・オブ・ミュージック」愛を語るRiRiKA。


そこからまた一気に雰囲気が変わり、楽曲は『RENT』の「Today 4U」に。ドラァグクイーンのエンジェルが、クリスマスのスペシャルな扮装をしてラップ調で歌い踊るナンバーを、『RENT』の舞台にミスター・グレイ役で出演している岡本悠紀がスパンコールの輝く衣装で歌い、やはり同作品でミミ役を演じている青野紗穂が歌い継ぐ。二人は息のあったダンスも繰り広げ、意外なメンバーによるダブルエンジェルに喝采が沸いた。


すると、カフェの奥からテーブルを縫うようにして大月さゆが登場。『ミー&マイ・ガール』のヒロインサリーのナンバー「あごで受けなさい」を明るく歌う。生きていれば色々なことがあるけれど、どんな目にあってもあごで受け留めて苦虫をつぶして笑ってしまえば、何もかもたいしたことじゃない!という意味のミュージカル・ナンバーは、作品の中では愛する恋人の為に身を引こうとするヒロインが、涙を押し隠して自分に言い聞かせるように歌われるが、この日は大月が表情豊かに、曲の陽気さ、前向きさを前面に出しての歌唱で、新たな魅力を感じさせてくれていた。


そこからステージはブルーライトに包まれ、一世を風靡したディズニー・ミュージカル映画『アナと雪の女王』から、大ヒット曲「Let It Go」を青野紗穂が歌う。自分の運命をただ嘆くのではなく、ありのままの姿を見せよう!と、雪の女王エルサが歌うこのナンバーは、ヒロインが自らを鼓舞するまさに新しい自分への応援ソング。青野の英語歌詞による歌唱はなめらかで力強く、曲の持つパワーを余すところなく届けてくれる。


その空気を破るかのように軽妙に登場したのはウィーンミュージカル『エリザベート』の狂言回しルキーニに扮した鳳翔大。作品世界そのままに場面をつなげて、「皇后の務め」のナンバーがはじまり、大月さゆエリザベートの前に立ちはだかったのは、なんともう1人のゲスト出演者川口竜也扮する皇太后ゾフィーと、岡本悠紀のリヒテンシュタイン。ゾフィーに仕える女官たちの独特な振付も再現し、川口も岡本も大真面目の、大迫力の熱演、熱唱であるが故に可笑しみが倍化するという爆笑と拍手の中、皇帝フランツに早変わりした鳳翔が登場して場の空気は一変。夫も自分の味方ではないと悟ったエリザベートが歌うビッグナンバー「私だけに」を大月が歌い上げる。私が命を委ねるのは私だけ、と自我に目覚めたエリザベートが高らかに宣言するこの曲もまた、人生の応援歌。宝塚歌劇の公演中に初舞台から7年目までの新人たちだけで上演される、一夜限りの「新人公演」の場でエリザベート役を演じている大月にとっても、タカラジェンヌとして懸命に突き進んでいた頃を思い出させる大切なナンバーでもあるのだろう。迫真の熱唱に大きな拍手が沸き起こった。




そこからのトークは如何に川口竜也のゾフィーが怖かったか!過去最強のゾフィーだ!という話題で持ち切りとなり、改めて登場した川口が「皆なんと言っていいかわからないから、ただ『スゴイ!』と言ってるだけ」と笑わせたあと、『ニューヨーク・ニューヨーク』の同名テーマ曲を軽やかに歌う。ライザ・ミネリの熱唱で一気にミュージカルナンバーという枠を超えてスタンダード・ナンバーとなり「ニューヨーク市の非公式の市歌」とまで呼ばれている有名曲を、『レ・ミゼラブル』のジャベール警部を代表作とする川口が、リズム感たっぷりに歌うのが新鮮な聴きものだった。


そして第一部の最後は、ディズニー・ミュージカル『アラジン』からランプの魔人ジーニーが歌う「Friend Like Me」このランプを手にしたあなたは、最強のラッキーガイ、望むものはなんでも手に入る!とジーニーが新たな主人となったアラジンに歌い踊る、とびっきり賑やかなナンバーを岡本悠紀が歌い、K-SUKEが1枚が2枚、2枚が4枚と次々に手にしたお札が増えて行くマジックで盛り上げ、青野、大月に鳳翔も加わった女性陣が鮮やかなスパンコールのミニドレスで脚線美も披露。煌びやかに賑やかにステージが華やぎ、20分間の休憩となった。


あまりにも至近距離で、大迫力で続いたステージだけに、休憩になってもずっと熱い余韻が続いているのが、こうした場所での特別なライブならではだ。


■ それぞれに訴えかけるオンリーワンの素晴らしさ


あっという間に過ぎていった休憩時間が終わると、『エリザベート』の第二幕オープニングナンバー「キッチュ」のバンド演奏の中、出演者全員が登場。ゲストも加わって改めての紹介のあと、出演者も客席側に回り、『ヘアスプレー』のバンド演奏にのせて、K-SUKEがマジックを披露する。プルトップを空け、ぐちゃぐちゃにつぶした缶コーラを新品に戻すと宣言。K-SUKEの手元が行き来する間に、缶は見事に修復されて行き、気づけばプルトップも元通りに!そんな馬鹿なと思う間もなく、プルトップが空けられると、完全につぶれていたはずの缶からコーラがグラスに注がれて、まるで魔法を見る思いがした。


そのまま客席の女性が手伝って、長さの違う3本のロープがいつの間にか均一の長さに、やがて1本の長いロープへと変化するマジックが鮮やかに決まると、目を凝らしていた出演者も含めて「こんなに近くで見ているのに何が起きてるのかわからない!」という、感嘆の言葉と拍手がK-SUKEに贈られた。


そこからは、各自がそれぞれのソロ曲を選んだ理由を話して、ステージはノンストップで進む。まずバンドメンバーによるインストゥルメンタルで、同じ渋谷のシアターオーブで絶賛上演中だったミュージカル『メリー・ポピンズ』からの賑やかなメドレーが。

一転して『アラジン』で、アラジンとジャスミン姫が魔法のじゅうたんで空を飛ぶ甘いラブデュエット「ホール・ニュー・ワールド」が大月さゆとK-SUKEによって歌われる。愛の歌であると同時に、二人の出会いの歌でもあるこの曲は、ミュージカル『アラジン』本編でもまさしくマジックで、全く仕掛けがわからないまま、美しい星空を二人が魔法のじゅうたんで飛ぶロマンチックな場面。この春『恋するヴァンパイア』にも出演したK-SUKEは、歌も披露。甘い二枚目のマスクの持ち主だけに、今後新たな展開も見据えているのかな?と期待を抱かせ、大月の歌はもちろん美しいダンスでもロマンの香りが広がった。


続いて岡本悠紀がディズニーミュージカル『ノートルダムの鐘』で、主人公カジモドのソロ「僕の願い」を熱唱。劇団四季が上演中の舞台版では「陽ざしの中へ」というタイトルに変更され、訳詞も変わっているが、ノートルダム大聖堂からひとりぼっちで下界を見下ろしているカジモドが、たった1日で良いから下へ降りて太陽の下で暮らしたい、という切なる思いを歌ったナンバーであることは揺るぎない。新しい世界に夢を描くその深い想いを、岡本があますところなく届けてくれる。


そこから「明るく、楽しく!」というRiRiKA本人の言葉通りに『マイ・フェア・レディ』の「踊り明かそう」が英語で晴れやかに歌われる。テーブルを回り、観客とダンスしながら歌うRiRiKAの歌声はキラキラと輝くばかり。指名された観客が恥ずかしがらずにダンスを共にできるのは、カフェの温かな空気あってこそのことだろう。2番からは馴染み深い岩谷時子訳詞による歌詞で歌われ、ヒロインのイライザが難関を克服し、踊り出さずにはいられないほど湧き上がる希望が伝わってくるようだった。


その浮き立った空気が余韻を残す中、川口竜也が『ジキル&ハイド』の、名曲中の名曲「時が来た」を歌う。ミュージカル界のヒットメイカー、フランク・ワイルドホーンが作曲家としての揺るぎない地位を獲得した代表曲でもあり、悲劇的な作品の中にあって、主人公のハイドが人類の未来につながる研究がいま結実する時が来たのだ!という希望に満ちて歌う力強いナンバーは、今日のテーマにピッタリ。川口はこの作品にサベージ伯爵役で出演しているが、豊かな声量を必須とするビッグナンバーを見事に歌い上げ、実力の確かさを見せつけた。


そして、青野紗穂のソロに、大月さゆ、岡本悠紀、K-SUKE、鳳翔大がコーラスで加わり、2017年の新しいミュージカル映画『グレイテストショーマン』より「This is me」。批評家の評価ではなく、観客の後押しでロングランとなったミュージカル映画の中で、欠点と思いがちなことも個性として認めて、何ものにも妨げられず自分らしく生きてゆく、と歌われるこのナンバーが、いつかカフェの本当のクルーたちもコーラスに加わる大合唱となり、クライマックスに相応しい熱気をカフェ全体に立ち上らせた。


フィナーレはまた幕開きと同じ『ラ・ラ・ランド』の「Another Day of Sun」が小粋に歌われ、ゲストも加わり、出演者全員に惜しみない拍手が贈られる。と「今日はアンコール曲は用意されていないのですが……」という鳳翔の意外な言葉に、ほんの一瞬観客がとまどったのも束の間「ハッピーバースデー・トゥ・ユー」の音楽が流れ、ロウソクのたてられたスイーツが登場! なんとこの日の前日はゲストの川口竜也の誕生日。サプライズに驚きながら感謝を述べる川口と共に「会場の4月生まれの皆さん全員も一緒にお祝いしましょう!」との鳳翔の音頭で「ハッピーバースデー・ディア・4月生まれ~」と祝福の輪が広がり、和やかな空気の中、『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン~ 春の新生活応援ミュージカルソングSP 』は幕を閉じた。なんとも贅沢でハッピーな1時間半だった。




全体を通して、「自分らしくいればいいんだよ!」という、オンリーワンの尊さを歌ったミュージカル・ナンバーが満載で、1曲1曲から届けられたパワーは絶大。しかも目の前でミュージカルスターたちが熱唱、熱演を披露してくれる臨場感にはやはり格別なものがあった。ナビゲーターの鳳翔大が入ることによって、進行もよりスムーズにわかりやすくなり、更に楽しさを増した『Living Room MUSICAL~スターのいるレストラン』。ミュージカルファンの1人として、是非進化を続けながら息の長いシリーズになって欲しいと願っている。なお、次回は6月26日(月)に開催が決まった。




取材・文=橘涼香  撮影=上溝恭香

当記事はSPICEの提供記事です。

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