セブンイレブン、日販減少で成長神話に陰り…ファミマとローソン、根強い合併必要説


 セブン&アイ・ホールディングスは1月24日、米国の中堅コンビニエンスストア、スノコLPからコンビニエンスストアとガソリンスタンドの計1030店舗の取得を完了した。買収額は31億ドル(約3452億円)で、同社のM&A(合併・買収)では過去最大となった。

セブン&アイは2017年4月、米国法人を通じてスノコがニーヨーク州、フロリダ州、テキサス州などで運営する店舗の8割を取得すると発表。対象になる事業の16年8月期の営業収益は8400億円で、営業利益は112億円。米連邦取引委員会の認可手続きを経て取得を終えた。「Aプラス」などの店名は「セブン-イレブン」に順次切り替える。

05年に米セブンを完全子会社にしたのを機に、米国事業を強化してきた。16年に米国CSTブランズから80店舗を買収したのに続き、今回の買収で北米の店舗数は9451店(18年3月末)となった。

セブンの米国のコンビニ市場でのシェアは5%(出店ベース)。米国のコンビニは寡占化しておらず、100店舗クラスのコンビニが多数存在していることから、成長の余地はあると判断した。米国で早期に1万店体制を築く。

セブン&アイの18年2月期の連結決算は、売上高に当たる営業収益が前期比3.5%増の6兆378億円、営業利益は7.4%増の3916億円、純利益は87.2%増の1811億円だった。14年2月期以来、4期ぶり過去最高益を更新した。

北米のコンビニ事業が業績を牽引した。海外コンビニ事業の営業収益は19.5%増の1兆9815億円、セグメント営業利益は17.3%増の790億円と高い伸びを示した。

一方、国内コンビニ事業の営業収益は3.0%増の9286億円、営業利益は0.6%増の2452億円。営業収益(売り上げ)は海外が国内の2倍となった。

店舗数は国内2万286店、海外4万5757店の計6万6043店(18年3月末)。海外が全体の7割近くを占める。

国内コンビニの中核であるセブン-イレブン・ジャパンの18年2月期の決算は、チェーン全店の売り上げが3.6%増の4兆6780億円、営業総収入(加盟店からの収入など)は1.9%増の8498億円、営業利益は0.3%増の2441億円、純利益は15.7%増の1667億円だった。店舗オーナーから徴収する経営指導料を引き下げたが、淹れたてコーヒーや中食の販売などが好調で、これを補った。前期に大幅な特別損失を計上した反動で、純利益は2ケタの伸びとなった。

セブン-イレブンの成長神話に陰りが見えてきた。全店の平均日販は65.3万円で前期より4000円減少した。既存店売上高の伸び率は0.6%増にとどまり、前期より0.9ポイント落ちた。客数は0.9%減と減少に転じた。

国内コンビニは頭打ちだが、海外の好調が続く。セブン&アイの19年2月期連結決算の営業収益は前期比10.7%増の6兆6830億円、営業利益は6.0%増の4150億円、純利益は15.9%増の2100億円を見込んでいる。

国内のコンビニの店舗数は18年2月末時点で5万5395店あり、すでに飽和状態となっている。国内では出店余地が少ないため、海外戦略が今後の成長のカギを握る。セブン&アイは海外シフトを強める。

●サークルKサンクス系の日販アップが喫緊の課題

ユニー・ファミリーマートホールディングスの18年2月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる営業収益が1兆2753億円、営業利益に相当する事業利益が662.5億円、当期利益は336.5億円だった。ユニー・ファミマは16年9月にファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合して発足した。

コンビニエンス事業の営業収益が5608億円、セグメント損益は12億円の赤字(前期は112億円の黒字)に転落した。旧ユニー系のサークルKサンクスをファミリーマートに転換を進めている。看板や販売棚などの仕入れ費用が発生したほか、加盟店のオーナーに対する支援金も出した。2月末までに3549店の衣替えを済ませ、8月末までに全5000店の転換を終える。

19年2月期は統合効果が大きくなる。統合時に1万8125店あった店舗数は、不採算店を閉鎖したため、19年2月期末には1万6854店に減る。営業収益は不採算店の閉鎖で前期比0.4%減の1兆2702億円となるが、事業利益は16.7%増の773億円、当期利益は18.8%増の400億円の見込み。

18年2月期の旧ファミリーマート全店の日販は52.0万円で、前期より2000円減った。一方、旧サークルKサンクスは38.5万円で同4万円減と大きく落ち込んだ。

伊藤忠商事は、持分法適用会社のユニー・ファミマを子会社にする。今年8月ごろに、株式公開買い付け(TOB)を実施、出資比率を41.5%から50.1%に引き上げる。買い付け総額は1203億円となる見込み。

伊藤忠は「ファミマを子会社にしない」と言っていたが、方針を大転換した。ファミマの先行きに不安を感じている証拠だ。経営のバインドを強め、伊藤忠主導でファミマの経営陣を強化する。

●海外で出遅れたローソン

ローソンの18年2月期連結決算は、売上高に当たる営業総収入が前期比4.1%増の6573億円、営業利益は10.8%減の658億円、純利益は26.3%減の268億円だった。釣り銭を自動計算して払い出す新型レジへの切り替え費用が利益を圧迫した。設立を進めているローソン銀行の準備や、加盟店の廃棄損失を肩代わりしたことによる費用負担もある。

全店の平均日販は53.6万円で、前期より4000円減った。既存店の客数も1.3%減と落ち込みが続く。

19年2月期は営業総収入が前期比11.4%増の7320億円、営業利益は次世代システムの構築に伴う出費増で8.8%減の600億円、純利益は4.4%増の280億円を予定している。

店舗数は国内が1万3992店、海外が1596店(18年2月末)。海外での出店はセブン、ファミマに大きく遅れを取っている。親会社、三菱商事のネットワークを活用し、20年までに3000店の出店を目指す。

●中長期的に見て3社体制は崩壊へ

ローソンと三菱商事は、国内の店舗数でファミマに追いつくことを念頭に置いている。そのため、資本・業務提携しているポプラ(業界9位)やスリーエフ(同8位)との合併・吸収が視野に入ってくる。

神奈川県が地盤のスリーエフは、291店のうち199店を「ローソン・スリーエフ」に転換。広島県を中心とするポプラは、455店を「ローソン・ポプラ」の看板に掛け替えた。北関東のセーブオンは、ほぼ全店にあたる500店を18年中にローソンに切り替える。ローソンは各地の中堅コンビニと連携を深めている。

流通最大手のイオンが47.4%出資しているミニストップ(同4位)をグループ化できれば、ファミマに店舗数で肩を並べる。三菱商事はイオンの筆頭株主(4.6%を出資)だ。最終的にはトップ同士の話し合いになるだろう。ミニストップは韓国、フィリピンなどで海外展開しており、海外の店舗はローソンより1588店(18年2月末)も多い。ミニストップを傘下に収めれば、海外への出遅れも少しは解消できる。

三菱商事が、ローソンがファミマ(ひいては伊藤忠商事)の風下に立つことに我慢ならない場合、18年中には動くのではないかとの見方もある。

セブンは24時間営業を堅持する方針だが、ローソンもファミマも全店24時間営業を続けるのが無理な状況になっている。特に地方がそうだ。コンビニは成長の踊り場にあるが、トップ3のなかでもセブンの強さは際立っている。

中長期的な展望になるが、セブン一強を打破するためには、ローソンとファミマの戦略的な合併(経営統合)が必要になるとの見解も根強くある。

三菱商事と伊藤忠のトップがコンビニ事業の将来をどう展望しているかにもよるが、人手不足も深刻になっている。トップ3が並走する状態は、そう長くは続かない可能性が高い。

その過程で、デイリーヤマザキ(山崎製パンが2013年に吸収合併)、北海道で強いセコマ(セイコーマート)、JR東日本リテールネット(ニューデイズ)はどうなるかも興味深い。JR東日本の完全子会社であるニューデイズは、JR駅構内のコンビニとして独自色を出している。
(文=編集部)

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