夫の不倫を許そうとした妻「だけど、身体が悲鳴を上げた」

女子SPA!

2018/5/21 08:47



<不倫発覚、その後。――Vol.2>

不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんがレポートする、不倫発覚後の“夫婦の行方”。(以下、亀山さんの寄稿)

夫の不倫が発覚後、夫婦でよく話し合い、納得もしてやり直すと決めたのに、どうにも我慢ができなくなって離婚したというケースがある。人間は理屈通りにはいかないのだ。

「あんなにきちんと話し合って、お互いに努力もしたのにどうにもならなかった。そのことが私にはショックでした。自分に自分が裏切られたような気がして……」

そう言うのはヒロコさん(仮名・42歳)だ。3歳年上の夫とは、29歳のときに結婚、ひとり娘にも恵まれた。ところが結婚して10年たったとき、夫の不倫が発覚。話し合いを重ね、やり直すと決めたが2年でヒロコさんが音を上げた。

◆「ただいま」の言い方で、夫の不倫に気づいてしまった

「夫は自分の職場に来ていた派遣の既婚女性と関係をもっていました。夫の言いぶんによれば、家庭がうまくいかないと彼女から相談されたのがきっかけで、ふたりで会うようになったそうです。関係をもったのは一度きりだと言ったけど、一度きりって嘘っぽいですよね。少なくとも1年くらいは恋人のように関係を持っていたと私は思っています」

なんとなく夫の様子がおかしいと感じてカマをかけたら、夫はすぐに白状したという。

一般的に夫の浮気は携帯などからバレるケースが多いとされている。それは事実だと思うが、最初に妻が感じるのは、ヒロコさん言うところの「なんとなくおかしい」なのだ。そこから携帯にたどりついて、浮気が現実として認識されることが多い。「なんとなくおかしい」という第六感は理屈では説明のしようがないらしい。

「あるとき、帰ってきた夫の『ただいま』がいつもと微妙に違うんです。忙しい人だから、家にいても効率を考えて動くのに、ふっと見るとぼうっとしていたりして。以前はぼうっとしていることなんてなかった。そういう些細なことが積み重なって、なんだかおかしいなと思うようになりました」

夫も妻を裏切っていることが苦しかったのかもしれない。だからカマをかけたらすぐ白状したのだろう。不倫のやめどきを探っていたのではないか。

「私はショックでしたよ。そんなあっさり白状するくらいなら不倫なんてするなと思いましたし、夫にもそう言いました。夫は涙ながらに謝ったけど、だからってすぐに『いいよ、許すよ』とはならなかった」

高校時代からの親友や、仲のいい姉にも相談した。ふたりとも「いちばん大事なのは、あなたがまだ夫を愛しているかどうかだよ」と言った。自分でもそう思った。だから、夫と時間をかけて話し合ったのだという。

「夫を責めたわけではないんです。私たちが一緒になってから娘が産まれたこと、これまでの生活のこと。お互い、もっとふたりでいる時間を増やしたほうがいいということ、娘が自立したらふたりでたくさん旅行しようということなどを思い出しながら、お互いに愛情があることを確認していったんです」

数ヶ月かけて話をし、新婚のころの気持ちも想いだした。

◆我慢に我慢を重ねた妻の身体に、次々と異変が

いったんは納得し、さらに夫婦の間に新鮮さも戻ったかのように感じられた。

「日常生活はけっこう忙しいじゃないですか。私も自宅で少し仕事をしていたし、娘の習いごとの送迎などもあって、夫への信頼感を取り戻したと思い込んでいた。今、ふりかえると、家庭を円満に調えなければいけないと自分を抑制していたんでしょうね」

やり直そうと決めてからは、娘が習いごとでいない週末の昼間、ふたりでデートすることもあった。夏と冬の家族旅行も少し長めにとった。

「夫婦だから夜の営みもしましたよ。最初はイヤだったけど、応じないとまた浮気されるかもしれないという恐怖感もあって。私自身は感じなかったけど、精一杯、感じたフリはしていました」

夫も自分に気を遣ってくれているのがわかるから、ヒロコさんもがんばった。笑顔を向けているうちに、その笑顔が本物なのだと自分で思えるようになっていった。

ところが2年ほどたったころ、彼女は突然、体調を崩した。

「まず、帯状疱疹になったんです。我慢したために病院に行ったときには悪化していて即入院。それがようやくよくなったら急性胃腸炎、その後は卵巣嚢腫の悪化、さらに突然の失声症と数々の病気に襲われました。最終的には主治医が『全部、ストレスがらみですねえ』って。

そう言われて初めて、ぶわっと涙が出てきました。私、夫の浮気がわかったときも涙ひとつ流さなかったんです。ああ、私はあのときものすごくショックを受けていて、それをきちんと受け止めないままに理解したふりをして“いい妻”を演じていたんだとよくわかった。だから夫に、『がんばったけど、やっぱり無理だわ』と」

次々と体調不良に苦しむ妻を見てきた夫も、「わかった。ごめん」と言った。そのときの夫の顔がどこかほっとしたように見えたとヒロコさんは言う。

「お互いに我慢していたのかもしれません」

浮気のことは伏せたが、娘にはおとうさんとおかあさんは一緒に暮らすのがむずかしくなったと告げた。離婚はするけど、親子関係は変わらないと。

分譲マンションや家財道具などをすべて処分。夫が新たに購入した2DKのマンションでヒロコさんは娘と暮らす。離婚直後は精神的に不安定になった娘だが、今は近くのアパートに住む父のところにも自由に行っている。3人で食事に行くことも少なくない。

ヒロコさんは本格的に仕事を始めた。

「離婚したら気が楽になって、今は夫とはいい友だちという感じです。経済的には余裕がないけどあらゆるストレスから解放されました。今はこの形が、私たちにとってベストだと思っています。自分でも気づかない我慢を重ねてきたんだと実感しました」

この先、ヒロコさんと元夫がどうなるのかはわからない。ふたりとも新たに恋をすることもあるかもしれない。それでも娘がいる限り、協力しあおうと話しているそうだ。その話し合いは「我慢をともなわず、本音で話せたと思っています」とのことだった。

――不倫発覚、その後。Vol.2――

<TEXT/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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