【新潟・女児殺害事件】小林遼容疑者は「優しくていい子」――医師に聞く“小児性愛者の素顔”


 5月7日、新潟市西区青山水道のJR越後線の線路上で、小学2年生の大桃珠生さんの遺体が見つかった事件で、同14日夜、同市内の電気設備工事会社に勤める会社員・小林遼容疑者が死体遺棄と損壊の疑いで逮捕された。小林容疑者は、殺害についても関与を認めており、「車の事故で(珠生さんに)ぶつかった。泣き出したのでパニックになり、車に乗せて首を絞めた」と供述している。

小林容疑者は、今年1月、山形県内のホテルで女子中学生にわいせつな行為をしていたと報じられているほか、4月にも、車で同じ女子中学生を連れ回したとして、県青少年健全育成条例違反容疑で書類送検されていたとのこと。小林容疑者自身は、今回の事件について明確な動機を自供していないものの、こうした背景から、各メディアは「彼は小児性愛者で、珠生さんを性的動機で連れ去ったのではないか」と見る向きが強い。捜査本部も、幼い女児が被害に遭っていることなどから、捜査当初より、「いたずらなどの目的の可能性を視野に入れて捜査を開始していた」と伝えられている。

そんな中、報道で盛んに取り上げられているのが、小林容疑者の“人柄”についてである。近所の住民からは「疑いをかけられるような子じゃない。優しくていい子」「高校生の時に回覧板を持って来てくれたりしたが、感じのいい子だった」、また勤務先の会社社長からは「コミュニケーション能力は高いです。指示するとちゃんと仕事はこなしてくれる」といった声が出ているとのこと。

一方で、小林容疑者と幼稚園から中学校まで一緒だった幼なじみの男性は、「小学校の時は結構周りとも仲良くしていたけど、中学校に入ってから今の言葉で言うと『陰キャラ』っていうのか」と語り、中学時代の小林容疑者が、小学校低学年の子どもと楽しそうに遊んでいたとも証言。

一般的に小児性愛者という言葉から連想される性格は、「コミュニケーション能力が低い」「社会生活を円滑に送ることができない」といった特徴で、事実ネット上にも、そういったイメージを抱いている人が散見されるが、どうやらこれら特徴と小林容疑者の人物像はかけ離れているようだ。そこで今回、性障害専門医療センター SOMECの代表理事である、精神科医・福井裕輝氏に取材を申し込み、お話を伺うことに。これまで、性犯罪加害者の治療に尽力してきた福井氏に、小児性愛者をめぐる世間の先入観と誤解について聞いた。

福井氏はまず、小児性愛者自体は人口の5%ほどいるとし、「40~50人のクラスには2~3人いる計算になります。皆さん知らないだけで、小児性愛の嗜好を持つ人と普通に接してきているんです」と語る。世間では、「小児性愛者=危険人物」と見る向きが強いものの、「性的な嗜好というのと、それを子ども相手に実行するというのは話が別。実行せずに、例えば動画などを見ることで満たしている方も大勢います」という。

「小児性愛者に対して、『社会的能力が劣っている』といったイメージを持つ人が多いようですが、それもまったくの誤解です。例えば、同性愛者の方が『社会的能力が劣っている』なんてことはあり得ませんよね。それと同じだと考えてください。性的嗜好とは別として『優しくていい子』というイメージだった人が殺害事件を起こした点において、驚く人がいるのは理解できますが」

また、福井氏は、小児性愛について詳しく解説をしてくれた。小児性愛には、2パターンあるという。

「『子どもにしか興味がない』という純粋型と、『大人に興味はあるのだが、コミュニケーション能力が低いがために親しくなれず、性的対象を子どもに向ける』という非純粋型です。小林容疑者は、職場では普通に過ごしていたと報じられているので、後者には当てはまらないのではないかと思われます。なお、純粋型は遺伝による先天的なものが大きいです。あとは、幼少期に性的虐待を受けたことにより、発達がうまくいかず、加害者になってしまうというケースもあるのですが、それが小林容疑者に当てはまるかどうかは検討に値すると感じています」

福井氏は、自身の感覚として、「性犯罪者の9割がやめたいと思っている」という。それは小児性犯罪者にも当てはまるというが、一方で小児性犯罪者は「再犯率が高い」面があるのも事実だ。

「“わいせつ行為をされても、あまり抵抗しない”という点が、小児性犯罪者の再犯率を高めているのです。大人は抵抗しますから、性犯罪者側も『事件化して逮捕されるかもしれない』と察知し自らやめることがありますし、実際に起訴されて裁判を受け、『何とかしなければ』と思うケースもあります。小林容疑者は、先月、県青少年健全育成条例違反容疑で書類送検されていますよね。相手に抵抗されなかった、しかも書類送検で済んだという点で『意外となんともないんだ』と思い、犯行がエスカレートした可能性も考えられるのではないでしょうか」

近隣の人は、小林容疑者が1カ月前に書類送検されていた事実を知らなかったという。世間では、「なぜ小児性犯罪者を野放しに?」と警察を批判する声も多い。

「警察も法にのっとって釈放したのだと思いますが、現状では、一度そういったことを起こした人物に対して“危険なのかどうなのか”を評価するシステムがないんです。警察と、性犯罪者に関する知識のある専門家が連携し、そういったリスク評価をする体制を作るべきだと感じています」

もう二度と、痛ましい事件が起こらないためにも、こうしたシステムが早急に実施されることを強く祈りたい。

性障害専門医療センター SOMEC公式サイト

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