山口達也出演1993年のドラマ『同窓会』は名作だった

wezzy

2018/5/17 15:45


 元TOKIO山口達也による強制わいせつ事件は、山口達也のTOKIO脱退、そして、ジャニーズ事務所との契約解除という形で、一応いったんの区切りはついた。また、山口達也は出演していた番組をすべて降板。山口が被害女性と知り合う場となったNHK『Rの法則』は、番組そのものが終了することとなった。これに伴い、NHKはジャニーズ事務所か山口本人に対して、損害賠償請求を検討しているという報道もある。

さらに、『Rの法則』については番組終了だけでなく、過去に同番組内で放送されたドラマ『Rの法則スペシャル 大江戸ロボコン』のDVDが販売休止となるなど、その影響は大きい。同ドラマは2017年11月に放送されたもので、ジャニーズ事務所所属の6人組アイドルグループ「King & Prince」の岸優太が主演を務め、山口達也も出演していた。NHKには、販売を求める声が多数寄せられているとのことだ。

つまり『Rの法則スペシャル 大江戸ロボコン』は、今回の事件の影響で“封印作品”となってしまいそうなわけだが、もうひとつ、日本のドラマ界において重要な作品も封印されようとしている。それは、1993年に日本テレビ系で放送された『同窓会』だ。

『同窓会』は、高校時代の同級生だった男女が27歳になって同窓会で再会し、そこから始まるめくるめく人間模様を描いた作品だ。主人公の安藤七月(斉藤由貴)は、高校の同級生・安藤風馬(西村和彦)と結婚。しかし、風馬は高校時代から、同級生である中康介(高嶋政宏)へ想いを寄せていた──。そんな3人の揺れ動く感情を、同性愛という題材を通して描いた作品だ。

この『同級生』で、バイセクシャルの高校生・丹野を演じていたのが、当時TOKIOとしてメジャーデビューする前の山口達也だった。また、嵐の友人・藤島潮を国分太一が演じ、ゲイのチーマーをのちにV6としてデビューする坂本昌行が演じている。

男性同士の大胆なベッドシーンや、ゲイによる集団レイプのシーンなど、スキャンダラスな描写が多いことでも話題になったこの作品。しかし、同性愛を好奇のまなざしで描くことは一切なかった。当時まだLGBTに対する認識が低かった日本において、社会との接点に苦悩する同性愛者の姿を描き、実際に同性愛者からも高い支持を得たという。同作の脚本家である井沢満氏は、2013年5月12日のブログにこう記している。

〈オンエア日は、二丁目の通りから人影が絶えると言われ、店の人達から
皮肉とも苦情ともつかぬことを言われました。〉
〈「同窓会以前・以降」という言葉があるそうで、ドラマが世の中に
出てきてから身を潜めていた人たちが二丁目を目指して集まるように
なり、オープンになった、と聞きました。〉【編集部註:原文ママ】

多少挑発的な形ではあったとしても、プライムタイムのドラマで真正面から同性愛を描いたことが、結果的にセクシャルマイノリティーを勇気づけることに寄与したというわけだ。

確かに、いま見返しても過激な性描写やセリフが散見され、性表現や差別につながりかねない表現に関して全般的に厳しい視線が注がれるようになっている現在の状況下で『同窓会』をプライムタイムで放送することは難しい。しかし、多くの面で示唆に富む作品であることに間違いはなく、2003年にはバップよりDVDボックスが発売されている。にもかかわらず、今回の山口達也の事件によって今後は廃盤となり“封印”されてしまう可能性は高い。もしそうなれば、日本ドラマ界においては大きな損失ではなかろうか。

ちなみに、前述の脚本家・井沢満氏は今回の事件発覚を受け、4月28日のブログでこう綴っている。

〈「復帰する場所があれば戻りたい」と会見の時言った言葉に違和感を感じ(この場で言ってはならないだろうと)、しかしみそぎ期間を過ぎて結局そうなるのだろうと思っていたので、グループのリーダーで
ある人が、戻さないと今朝自分がMCを務めているような生放送の番組で明言しているのを
聴いてその思わぬ厳しさにいささかびっくりしたのでした。〉【編集部註:原文ママ】

これは、山口達也の脱退が発表される前のエントリーだが、TOKIOメンバーが山口達也に対して厳しい態度を示したことに、驚きを隠せない様子が伝わってくる。さらに5月10日のブログでは、

〈Yくんの話題がテレビでは下火になったようで、いっときは親しく交わっていた
私としては、彼の顔と名が出るたび、心がざわめいていたので、ほっとしています。
(事の善悪は別として、です)〉【編集部註:原文ママ】

との記述も。ドラマ『同窓会』において重要な役柄を体当たりで演じてみせた山口達也の事件には、やはり複雑な思いを抱いていたようだ。

今後も多方面へ影響を及ぼすであろう、今回の山口達也の事件だが、本人に罪はあっても作品には罪はない。過去の映像作品がネット配信等で再び日の目を見、新たなファンを獲得することも多い昨今、ドラマ『同窓会』が今回の事件でそうした機会を奪われてしまうことのないよう願うばかりである。

(青野ヒロミ)

※タイトルに誤表記があったため修正しました

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