石橋凌がドラマを通して伝えたい“病める日本”「悪の元凶は何か」【「スモーキング」インタビューVol.1】

ザテレビジョン

2018/5/10 07:00

石橋凌主演で、岩城宏士原作の漫画を実写化した「スモーキング」(毎週木曜夜1:00-1:30ほか、テレビ東京ほか)が放送中。

同ドラマは、石橋演じる“剥師”の佐辺重蔵(通称・佐辺ジィ)と“物足師”の八丁(金子ノブアキ)、“潰師”のゴロ(丸山智己)、“薬罪師”のヒフミン(吉村界人)の4人からなる暗殺集団「スモーキング」が、悪党を裁く物語。

深夜ドラマならではの過激な描写もある、“攻めた”内容が話題となっている。

メインキャストである石橋、金子、丸山、吉村にインタビューを敢行する短期連載企画。第1弾では、石橋に作品や役柄の印象、また自身の原点ともいえるエンターテインメントについてたっぷり語ってもらった。

■ 「スモーキング」では“正義”の痛さや恐ろしさを描く

――台本を読んだ感想を教えてください。

まずは本屋に行って原作漫画を読んだのですが、非常に面白いと思いました。

ただ、自分が仕事を受けるかどうか判断するポイントに「一筋・二抜け・三役者」というのがあります。

それは、よく練られた台本、カメラワークを含めた画づくり、キャスティングのことで、この3つがうまく機能すれば優れた作品になると考えて、仕事を受ける時の判断基準にしています。

実際、脚本も原作に沿いながら非常に面白くまとまっていましたし、カメラマンも映画でよくご一緒している三池崇史監督の仕事をされているキャリアのある方です。

そして、他の3人のメインキャストも過去に一緒に仕事をしたことがあり、このメンバーだったら良い作品になると思い、お受けしました。

――入れ墨を剥ぐなど、殺しのシーンはショッキングだと思いますが、その点はいかがですか?

僕が演じることが多い役柄は7割程度、悪党か危ない男なんです。ただ今回は善良な危ない男なんじゃないかと思います。

原作を読んで興味持ったのは、アウトローがアウトローを退治するという図式です。悪や怖さ、痛さを表現した作品は多くありますが、本作では“正義”の痛さ、恐ろしさを描いています。

今の日本社会は非常に混沌としています。でも日本人はそれに対して何か思っても、あまり口にしないで飲み込んでしまう節があると思います。

一方、海外では病めるアメリカ、病めるヨーロッパをちゃんとドラマや映画にして、この国はおかしいんじゃないのかというメッセージを作品に込めて発信しています。

僕はそういう作品が好きですし、日本でもそういう作品が必要だと思っています。今回の「スモーキング」は、そうした意味でも社会に対する不条理さや理不尽さを代弁するメッセージ性の強い作品だと思います。

――バイオレンスシーンが過激なので、女性には少し怖いかもしれません。

いたずらにバイオレンスを描くだけにならないように、僕らも気を付けるべきだと思います。ただし、作品の裏側にある、正義感を持った男たちの物語だということが伝われば、女性の方にも充分に楽しんでもらえると思います。

■ 役として生きるので、演技をしている感覚がない

――「スモーキング」のメンバーがテントで過ごすシーンは心温まる雰囲気がありますよね。

「スモーキング」は疑似家族を形成している設定なので、みんなにはお父さんみたいな雰囲気で接しています。

でも、依頼を受けたら「仕事は仕事だ」と悪を徹底的に倒すグループのリーダーになります。その点を声や表情も全く違うように演じ分けています。

――現場では、優しく見守る“佐辺ジィ”のような感じですか?

僕は役を頂いたらその期間は、役として生きるんです。カメラの前に立って演技をしているという感覚がないんです。なので、このドラマの撮影期間は日常から佐辺として生活しています。

――石橋さんがバンドをやられていた1970年代はロックが社会を歌う時代で、社会を風刺したりして、この作品で目指している“闇に対してのアンチテーゼ”のような一面があったと思いますが、通じるところはありますか?

原作を読んで共感できました。もしかしたら作家の方も以前に理不尽なことにぶつかった経験があり、漫画というエンターテイメントのカタチで世に出したのかな?と感じたんです。

僕も俳優として表現するのであれば、こうした意味のあるものに参加したいと思っています。

ミュージシャンと俳優は全く違う仕事で、プロの野球選手がプロのサッカー選手を兼ねているようなものだと考えているのですが、でも両方とも好きだし両方とも本質をつかみたいと思っているんです。

やはり自分ができることは歌を通して、または作品を通してメッセージを発信すること。そのメッセージを受け取ってもらい、未来への希望とかを感じてもらえたら、本当にうれしいです。

歌手冥利(みょうり)、役者冥利につきます。

■ 最後は「スモーキング」VS日本社会に!?

――石橋さん自身も、エンターテイメントで救われた部分はあったのでしょうか?

それは大いにありました。ジョン・レノンやボブ・ディランの歌が好きで小学生の頃から聞いていて、彼らの歌詞を読むと、男女のラブソングもあるし、友達や仕事の歌もあるし、そして社会に起きていること、政治的なことまで1つのアルバムに収められています。

高校生の時には、自分が歌手になったらそうした政治的な曲を歌っていきたいと思っていたんです。

ところが、会社から「歌詞に一言も社会的、政治的なことを入れるな」と言われて、最初、耳を疑いました。それでも、そんな曲を歌ったら会社の逆鱗(げきりん)に触れてしまった過去があります。

当時、新聞とか雑誌で、社会派バンドとかメッセージバンドと書かれていたんですけど、僕らは、あえてそれを目指しているわけじゃないので、そのことはとても不本意でした。

また、映画も同様に小さな頃から好きで夢中で見ていました。中学の頃は友達と映画研究部を作って、友達と見た映画の感想を書いて渡し合ったりしていました。

でも、中学生の頃、先生が「将来の夢は?」って聞いたときに、他の人たちがプロ野球選手やパイロットと答えている中、僕は「映画評論家です」と答えたら、先生に「ふざけるな! そんな夢みたいなこと言ってるんじゃない!」と激怒されました。

――今まさに社会的に混沌としている中で、「スモーキング」に出合えていかがですか?

うれしいです。多くの人に共感していただける作品だと思います。また、最終回の展開は原作にはありませんが、「悪の元凶は何か」「佐辺が最後に倒したい相手は、大きな悪なのでは」との考えをプロデューサーの方々にお伝えしました。

現代は、世界的に見ても、それぞれの価値観や人の思いが多様化していて、一概に何が悪で、何が善かと言えない時代だと思います。

そんな社会だからこそ「本当の悪とは」というところを描いてほしいと相談させていただきました。

最後はスケールの大きな社会というものにも立ち向かっていきますので、ぜひご期待ください。(ザテレビジョン)

https://news.walkerplus.com/article/146168/

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