マレーシアのトレンド「超豪華お誕生日会」は子どもがおもてなしの心と多様性を学ぶチャンス


「教育からも作られるマレーシアの国民性はイジメ対策にもつながる」という、前回の記事を書いてから約2カ月が経過してしまいました。というのも日本に帰国してきたため、非常にバタバタしていたのです。定期的に日本には来ていたとはいえ、本格的に住むのは17年ぶりなのでカルチャーギャップに驚く毎日を送っていました。

それはさておき。今回はマレーシアのトレンド、超豪華お誕生日会について書いていきます。最初に伝えておくと、参加するのも開くのも本当に楽しかったですよ。

豪華すぎるマレーシアの誕生日会


マレーシアにきてカルチャーギャップに驚かされっぱなしでしたが、子ども関係で1番驚いたのは超豪華なお誕生日会でした。

最初に招待されたのは、友人宅で開かれた招待客数百人規模のもの。最低で見積もっても400人はいたと思います。この数を招待できる(しかも一階の一部の部屋だけでその人数を収容できる)豪邸っぷりにも驚かされましたが、玄関ポーチには東南アジアのホテル朝食ビュッフェのようなケータリングの数々(シェフ付き)、家の中には巨大エアー滑り台、庭にはサンドアートコーナー出張バルーンアーティスト出張バブルマン(プロのシャボン玉屋さん)…と、まるで高級ホテルのキッズコーナーをそのまんま再現したようなものでした。

一緒にいったママ友曰く「マレーシアでは普通。ここまでの規模は滅多にないけど、ホテル貸切とかもやるし、これからも続くよ」とのこと。

彼女の言う通り、それから数々の誕生日会にお呼ばれしました。印象に残ったものを少し紹介します。
  • 「消防署誕生日会」消防署をパーティー会場にして隊員がもてなしてくれる。災害時の注意を聞いた後、消防車に乗せてくれたり、放水銃で水遊びさせてくれたり、ポール体験させてくれたり、フェイクスモークの中で脱出訓練させてくれたり、隊員コスプレさせてくれたりする。
  • 「プール誕生会」:自宅プールもしくはクラブのプールを借りる。
  • 「トランポリン誕生日会」:屋内トランポリン場を借りる。
  • 「アイススケート誕生日会」:アイススケートのコーチが子ども達に教えてくれる。
  • 「屋内遊技場誕生日会」:屋内アスレチックで遊び放題。
  • 「別荘誕生日会」:庭の中に流れている2本の川で水遊び。
  • 「庭誕生日会」:自宅コンドミニアムに庭がないため、広い庭付の店を貸し切り、庭を誕生日会用に解放。
  • 「化学実験誕生日会」:子どもに化学を教える先生を呼んでみんなで化学実験会。
  • 「フラワーアレンジメント誕生日会」:フラワーアレンジメントの講師を呼んでみんなでフラワーアレンジメントを学ぶ。

豪華誕生日会はここ数年のトレンド


ド派手な誕生日会がマレーシアの伝統かと思いきや、その歴史はとっても浅く、ここ数年のことなんだとか。豪華な誕生日会の背景には、マレーシア人の晩婚化と高齢出産の増加があるそうです。金銭的に余裕があるので子どもにかける金額も必然的に増え、アイデアの出し合いになり、多種多様で奇抜なお誕生日会が増えたと聞きました。

大抵の施設や習い事にお誕生日会プランがあり、個人レッスンの先生もお誕生日出張サービスを設けるほど。パーティーができる施設は1カ月以上前に予約を入れないといけないくらいに、ビジネスとして高い需要があるそうです。

せっかくなので私もパーティーを開いてみた


何度もお誕生日会に招待されるうちに、自分たちもお誕生日会をやるのが当然という気持ちになってきました。といっても、別にお誕生日会を開いてもてなさなければママ友から後ろ指さされるだとか、仲間外れにされるなんてことは決してありません。以前の記事でも触れた通り、宗教も習慣も全く違う人たちの集まりなので「うちはうち、よそはよそ」を内外的に言いやすく、理解してもらいやすい環境なので、やらなくても全く構わないのです。

ただ、息子が強く希望していたことと、マレーシア最後の誕生日会になるだろうということで、この機会にできる範囲で盛大にやろうと思ったのです。

まず、パーティーを開くにあたり招待状を作ります。会場ケータリングの兼ね合いがあるので、だいたい1カ月以上前に招待します。招待状には、誕生日のテーマ日時ケーキカットの時間といった情報を記載します。

出席の有無を確認したら、アレルギーや宗教的に食べられないものを確認してケータリングをオーダー。同時並行でイベントを盛り上げてくれるパフォーマーをおさえたり、デコレーションケーキを注文したり、来てくれた子ども達全員に「誕生日をお祝いしてくれてありがとう」の気持ちを込めた「パーティーパック」を用意します。

我が家はパーティーど素人の私が企画したため、コストパフォーマンスが悪いパーティーになりました。用意したものについて、写真とかかった費用をざっくり紹介します。
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Photo: 中川真知子

日陰用テント:想定外に高かったのがコレ。ケータリングコーナーの場所も確保する必要があり、大きめのものをふたつレンタルしました。プールが地上階でなく、搬入にエレベーターを使えないかもしれない可能性もあったため、搬入代を追加で請求されました。1フロアにつき100リンギ(約2700円)。4階だったので搬入だけで400リンギ追加合計約1500リンギ(約4万2000円)なり。
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Photo: 中川真知子

ケータリング:手作りという手もありますが、ムスリムヒンドゥーシークベジタリアンなどの宗教、そしてアレルギー対応というのはハードルが高すぎます。また日中の暑さを考えると食中毒も心配。なのでケータリングを頼むのが一般的。それに、もともとゲストも誰一人として手作りを期待していません。我が家の招待客は大人子ども合わせて60人近く。45人分の料理をオーダーして1000リンギ(約2万8000円)なり。
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Photo: 中川真知子
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Photo: 中川真知子

ピニャータ:プールパーティーなのでイベントらしいイベントはせず。ただ、棒で叩いてお菓子や小さなオモチャを取り出すピニャータをリクエストされたので、それに150リンギ(約4000円)。中に入れるおもちゃお菓子300リンギ(約8000円)なり。
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Photo: 中川真知子

パーティーパック:『レゴニンジャゴー』テーマにちなんだものということで、レゴのミニフィグとお菓子で500リンギ(約1万4000円)なり。

ちなみに手前にある風船ですが、これは自作です。デコレーションのために業者に連絡を入れましたが、ニンジャっぽいデコレーションのヘリウム風船3つで150リンギといった足下をみる値段設定だったため、写真を参考に自分で作りました。

ケーキ:4キロのケーキを注文して250リンギ(約7000円)なり。ちなみに写真は撮り忘れてしまいました。

ここに書いただけで合計3700リンギ(約10万2000円)。会場費用やデコレーションや細々したものを含めると最終的に4400リンギ(約12万円)ほどになったでしょうか。パーティープランがある会場を抑えた方が断然安上がりだったと思います。

正直、膨れ上がっていく予算に目眩がしそうになりましたし、クレジットカードを切ったあとは軽く後悔もしました。でも、ありきたりではありますが、息子の嬉しそうな顔を見たら「やってよかった」と心底思いました。まぁ、次にやるとしたら今回の経験をいかしてもっと安くおさえますが。

子どもにとって、生きた学びの機会になる


今回は息子の5歳の誕生日パーティーでしたが、我が子に限らず、4歳にもなると子どもたちは「自分の誕生日はこんな風に祝って欲しい」という明確なビジョンを持っていました。しかし子どもの考えることなので、全部を叶えるわけにはいきません(よっぽどのお金持ちなら別でしょうけど)。

我が家の場合は予算に限りがあったので、息子に理想の誕生日会のプランを話してもらった後で懐事情を正直に話し、その上で削れるもの削れないものを選んでもらいました。また、ケータリングやピニャータの中身、パーティーパックは宗教や思想に配慮したものである必要があったので、それらについて一緒に勉強しました。パーティーの企画・開催を通して予算の使い方宗教といった比較的難しいテーマについて「ごっこ遊び」でなくリアルに学ばせることができたのは、思わぬ収穫だったと思います。


こんなわけで、いろんな経験をして3月末にマレーシアから日本に戻ってきました。日本の生活は慌ただしく、意識していないと自分を見失ってしまいそうになります。マレーシアはゆったりしていて自分らしく時間を使うことができてよかった、とつくづく思います。

連載最終回となる次回は、外から改めて見て感じるマレーシアのプラスとマイナス点を書いていきたいと思います。

それでは、また来月お会いしましょう。
  • 移住当時は大嫌いだったマレーシア。でも今は「こんなに面白い国はない!」と思う理由とは
  • 「あなたはいつこの幼稚園を辞めるの?」マレーシアのローカル幼稚園は驚きの連続
  • 「違うって当たり前で楽しいこと」イジメ対策にもつながるマレーシアの国民性は、教育の現場からも作られていた

中川真知子 | Twitter

1981年、神奈川県生まれ。サンタモニカカレッジ映画学部卒業。評論家を目指していたが、とある映画関係者から「作る苦労を知らずに映画の良し悪しを語るな」とアドバイスされ、帰国後はアニメ会社GONZOで制作進行を務める。結婚を機にカナダに引っ越し、オーストラリアではVFXスタジオのAnimal Logicでプロダクションアシスタントを経験。その後、オーストラリアでソーシャルワーカーと日本語チューター、Kotaku Japan翻訳ライターの三足のわらじを履き、夫の仕事に合わせてフロリダに引っ越す。現在はマレーシアでゆったり子育てを楽しみつつ、GIZMODO JAPANとライフハッカー[日本版]、金融サイトのZuu Onlineで執筆中。好きな動物はヒグマ、爬虫類(ワニ、コモドドラゴン)、両生類。好きな映画ジャンルはホラー。

Photo: 中川真知子

当記事はライフハッカー[日本版]の提供記事です。

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