漫画とともに生きてきたふたりのIT企業取締役の話(DMM.comラボ赤坂幸雄 × LIGづやの漫画対談・前編)

LIGブログ

2018/4/19 08:00

こんにちは。デザイナーのもりたです。

皆さん漫画は好きですか? 私は大好きです。

LIG本社のオープンスペースには漫画が2300冊程あるのですが、半分は弊社取締役であるづやが「引っ越すときに大変だから」という理由で置いている蔵書です(残りは他社員の私物です)。

そんな漫画好きの多いLIGに先日、「DMM.comラボの取締役にヤバいほどの漫画好きがいる」という情報が飛び込んできました。

これは弊社取締役をぶつけるしかない! ということで「漫画対談を記事にしたい」とお願いしたら快く引き受けてくださいました。
なんていい人なんだ……。

そういうわけで今回は「漫画」から様々な影響を受け、「漫画」とともに人生を歩んできた男たちの対談を前後編にわたってお届けします。

改めまして主人公はこの2人。



株式会社DMM.comラボ デザイン本部 本部長/取締役
赤坂幸雄
2000年に株式会社DMM.com入社。入社当初から「デザイナー」という枠を超え、部署の立ち上げから事業サービスの設計、制作、運用、改善に携わる。現在は、デザイン本部のマネジメントを通してDMM全体のサービス監修やデザイン、そして会社全てのデザイナーの価値を高めることを目標にしてクリエイティブ向上を目指している。

株式会社LIG 取締役
づや
大学卒業後、JAVAプログラマとしてシステム開発に従事。2007年、株式会社アストロデオを創業。システム開発全般を統括。2012年1月、アストロデオが株式会社LIGと合併し、現職に。取締役CTOとして社内の技術全般を統括。現在は、取締役として経営に携わりながら、エンジニアとしてシステム開発も行っている。
現在は2人とも取締役という立場で会社を支えているわけですが、きょう掲載する前編では、赤坂さんとづやが漫画にハマったきっかけ、特に影響を受けたバイブル的な作品、装丁デザインから学んだことについて語ってもらいました。

『ダイの大冒険』の影響でいまだに魔法使いになりたいと思っている

――お二人はIT/Web業界でも指折りの漫画好きだと思うのですが、そもそもどういうふうに漫画にハマっていったんですか?


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僕が子どもの頃に最初に買った単行本は「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『ハイスクール! 奇面組』(作:新沢基栄/ 1982~87年にかけて連載、以下同)の前の作品、『3年奇面組』(1980~82年)です。それが原体験なのでギャグ漫画はずっと好きで、『燃える! お兄さん』(作:佐藤正/1987~91年)なんかも好きでした。

雑誌だと小学生の頃は「月刊コロコロコミック」を親に買ってもらっていて、当時大ブームを巻き起こしたミニ四駆漫画『ダッシュ四駆郎』(作:徳田ザウルス/1987~92年)がきっかけでミニ四駆にハマったり。ちなみに「コミックボンボン」は「ちょっとエッチだから」という理由で買ってもらえなかったんですけど(笑)。
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僕もやっぱり「コロコロ」から入ったんですけど、小学校のクラスで大人びたやつが「ジャンプ」を読んでて、自分も大人びた側に向かいたくなって「ジャンプ」を買い始めた。長野のコンビニもない田舎で育ったので、街の本屋さんで予約して買ってました。
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1980年代後半のジャンプ黄金期が始まったあたりですよね。90年代の黄金期真っ盛りの作品でいうと『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』(監修:堀井雄二 作:三条陸 画:稲田浩司 /1989~96年)がありますよね。その『ダイの大冒険』の後半で、魔法使いのポップが主人公ダイを喰う勢いで活躍していたじゃないですか。僕はそれにモロに影響を受けて「魔法使いになろう」と思って、いまだに社内で「魔法使いになりたい」って言ってる(笑)。あと、その時期の少年漫画誌でいうと「週刊少年サンデー」で青山剛昌が、『名探偵コナン』の連載を始める前に『YAIBA』(1988~93年)って漫画を描いていて……。
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あー、 その頃って「サンデー」も全盛期ですよね!
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そうなんですよ! 『YAIBA』に出会って「サンデー」も買うようになって。

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僕も小学校高学年くらいからは「サンデー」「マガジン」、あと「チャンピオン」も買い始めて。とにかく周りより先に行きたかった(笑)。だから月曜は「ジャンプ」、火曜は「サンデー」、水曜は「マガジン」、木曜は「チャンピオン」と、平日ほぼ毎日漫画誌を読んでました。

それと妹が買っていた「りぼん」も読んでたんですけど、『ママレード・ボーイ』(作:吉住渉/1992~95年)、『こどものおもちゃ』(作:小花美穂/1994~98年)、『GALS!(ギャルズ)』(作:藤井みほな/1998~2002年)とかが好きでした。

月刊誌だと「月刊少年マガジン」「月刊少年ジャンプ」も買ってましたし、『多重人格探偵サイコ MPD PSYCHO』(作:大塚英志 画:田島昭宇/「月刊少年エース」「コミックチャージ」「ヤングエース」1997年~2016年)が始まってからは「月刊少年エース」、あと「月刊少年ガンガン」も買っていて。
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「ガンガン」だと、僕は『鋼の錬金術師』(作:荒川弘/2001~10年)ぐらいから買い始めたんですけど……。
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僕は『魔法陣グルグル』(作:衛藤ヒロユキ/1992~2001年)あたりから。
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めっちゃ早い! ほぼ「ガンガン」の創刊時からってことですね。

少年漫画が麻雀の入り口になった

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中学生ぐらいになるとヤンキー的なものに憧れ始めるじゃないですか。「マガジン」で 『カメレオン』(作:加瀬あつし/1990~2000年)、『疾風伝説 特攻の拓(かぜでんせつ ぶっこみのたく)』(作:佐木飛朗斗 画:所十三/1991~97年)を読んでバイクに憧れたり。僕は基本的に、そのとき出会った漫画にいちいち影響を受けていて。たとえば中国拳法の漫画にハマったら「少林寺拳法を習いたい」、柔道漫画にハマったら「柔道を学びたい」となって……自分の人生の岐路に必ず漫画があった。
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僕は中学生くらいのとき「マガジン」で連載していた『哲也-雀聖と呼ばれた男』(作:さいふうめい 画・星野泰視/1997年~2005年)という麻雀漫画がきっかけで、ゴウ(LIG 代表取締役社長)と麻雀をやるようになったんですよ。

で、麻雀が強くなるためには勉強をしないといけないじゃないですか。でも勉強から入るタイプじゃなかったから、漫画で学ぼうと思って『アカギ ~闇に降り立った天才~』(作:福本伸行/掲載誌「近代麻雀ゴールド」1992年~2018年)を買って、そのあと「アカギがもっと昔の漫画にも出てる」って噂を聞いて『天 天和通りの快男児』(作:福本伸行/「近代麻雀ゴールド」1989年~2002年)にさかのぼって、あと『賭博黙示録カイジ』(作:福本伸行/「週刊ヤングマガジン」1996~99年)とか『銀と金』とか、福本伸行の描くギャンブル漫画にハマっていった。
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僕も麻雀は漫画から入りましたね。「サンデー」で『少年雀鬼-東-』(作:中島徹/1987~90年)っていう、「東(トン)を槓(カン)すれば必ず勝つ」という天才少年雀士の話がやってて「これ面白そう」と思って、そのあとに西原理恵子の『まあじゃんほうろうき』(「近代麻雀ゴールド」1989~94年)を読んで、それから『哲也』も読むようになりました。

アカギのおかげで、会社をやってて「逃げたい」と思ったときも踏ん張ってこれた

――お二人が特に影響を受けたバイブル的な作品ってどんなものですか?
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僕は『拳児』(作:松田隆智 画:藤原 芳秀/掲載誌「週刊少年サンデー」1988年~1992年)かな。自分の物事の考え方とか、人に対する態度は『拳児』からかなり影響を受けてると思います。王道の少年の成長物語で、「仁義や人に対しての礼が兼ね備えられていないと成長はない」という話なんですけど、拳児に自分を投影して読んでました。
――『拳児』はかなり説教臭いですよね(笑)。
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超説教臭いですね~。だから僕も説教臭い人間になってしまった(笑)。今でも、拳児みたいに相手に対して礼儀を尽くすようにしてますし、自分から腹を見せることで相手も腹を見せてくれて、そうすれば互いに信頼して仕事ができると思っている。あと、もし裏切られたとしても相手を恨まないようにしてますね。
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僕はさっきも挙げた福本の『天 天和通りの快男児』の16、17、18巻かな。東西に分かれてチームで麻雀対決をする話で、主人公を喰うくらいの天才・アカギシゲルってやつがいるんです。ちなみに16、17、18巻は「アカギがどうやって死んでいくか」っていう話で、麻雀シーンがないので読みやすい。これもわりと説教臭い漫画なんですけど、毎回アカギがいいこと言うんですよ。

特に好きなシーンがふたつあって、ひとつめはアカギが原田っていうヤクザの親分に「"金"も"権力"も"地位"も全部持っているけど、お前は今幸せじゃないだろ」みたいな話をして、原田が改心するシーン。「そんなことねぇ……!」と言いつつも、靴下で外に出て、足が汚れることぐらいで「こんなこともできなくなっちまったのかぁ」ってボソッと言うんですよ。得るものを得るとどんどん窮屈になっていく姿に、読んでた当時の僕はまだ何も得てなかったんだけど、なんかすごい感心してしまって。

もうひとつは、ひろゆきっていう主人公なんだけど二流のやつがいて、アカギがそいつに「責任の取り方」について語るんですよ。そこでアカギは「勝つまでやり続けることだ」という意味のことを言っていた。会社をやっていて責任の重さに「逃げたいな~」ってこともあったんですけど、「アカギもああいうふうに言ってたし……」と思いながら10年間、頑張ってこられたんですね。俺の責任の取り方って、アカギから得てるなー、って。……そんなカッコいいこと言ってて将来逃げたらすいません(笑)。
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たしかに『天』の後半では死生観みたいなものが描かれていますよね。もしかしたら宗教っぽく感じる人もいるかもしれないですけど、「人生とは」「人の本質」ってことがアカギの視点で説かれている。辛いときに読むと染みますよね。

漫画の装丁デザインから学べること

――お二人はWebデザインの分野に造詣が深いと思うのですが、漫画の装丁デザインで「これはすごい」と思ったものってありますか?
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僕は『多重人格探偵サイコ MPD PSYCHO』。連載が始まった当時は中二病真っ盛りだったので刺さるものがありました。
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『サイコ』のグロさって当時の少年漫画のなかでは珍しくて、思春期の男の子にとってはあのアンダーグラウンド感が魅力だったんでしょうね。あと、表紙まわりだけじゃなくて中身の紙質も重くて、「いい紙使ってんな~」って思いました。
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わかる! 紙にはお金かけてそうですよね。
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『サイコ』って全体的に、ついジャケ買いしてしまいそうなデザインになっていますよね。単純にキャラクターデザインが素敵だとか、構図が珍しいとかだけでなく、出版社がこれだけお金をかけているということは、中身も絶対面白いでしょ! って思いました。

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僕の方からは『暗殺教室』(作:松井優征/「ジャンプ」2012年~連載中)を挙げたいですね。毎巻ごとにジャケットの色と「殺せんせー」の表情にバリエーションをつけて各巻の内容を表しているですが、デザイナーとして「その発想はなかった!」と思いました。『櫻井大エネルギー』(作:櫻井大エネルギー/「COMIC 快楽天」2015年)のデザインも好きですね。色やフォントの使い方がポップでうまい。

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タイトルロゴってことでいうと『銭』(原作・原案:鈴木みそ/エンターブレイン「コミックチャージ」2002-09年)も面白いですね。ロゴの「銭」という文字が炎のように燃えているんですよ。内容も面白くて、その名のとおりお金にまつわる話で、「お金をどうやって稼ぐのか」「そもそもお金って何?」ってことを考えさせられる。身近にある「お金」のことをちゃんと知ろう! と思えた作品でした。社会人になってお金を稼ぐようになると、お金の持っているパワーのすごさを感じるじゃないですか。これに出会ってなかったら、お金の使い方がもっと下手になっていたかもしれない。作者の鈴木みそさんはお話のセットアップがすごく上手いなと感じます。

次回予告

さて、今回はここまでですが、後編では逆に「期待を裏切られた装丁デザイン」、そして二人の仕事観に影響を与えた漫画について語ってもらいました。あす4月20日(金)に公開予定ですのでお楽しみに!

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