地元でも「見つからんで~」の声……向島の脱獄犯逃走事件、なぜ犯人は島で逃げ切れる?

日刊サイゾー

2018/4/17 19:00


 地元でも「見つからんで~」というのが、もっぱらのウワサ。この日本で、脱獄犯が逃亡を続けられるとは……いったいどんな島なのか。

愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から受刑者が脱獄した事件は、1週間を迎えても、なお逃走が続く一大事件になっている。

その舞台となっているのが、広島県尾道市の向島である。この島には、すでに警察当局が述べ5,000人の捜査員を投入しているが、脱獄した平尾龍磨受刑者(27)の足取りは一向につかめていないという。

島内に潜伏するたった一人の脱獄犯を捕らえることができないとは……平尾受刑者がサバイバル能力に長けているのか、あるいは、警察当局の間が抜けているのか。脱獄から1週間、さまざまな臆測が飛び交っている。

だが、実のところは、そのどちらでもない。

まず、島がメチャメチャに広いのである。その面積はほぼ品川区と同じ。それも品川区みたいに整備された道路が張り巡らされた都会とは違う。田舎道のほかは、山と森なのだ。

まったく偶然だが、先日、筆者はこの島を数時間歩いたばかりである。というのは、しまなみ海道を旅していたからだ。この時、因島大橋の手前で橋から降りた筆者は、ふと橋の歩道を歩いて対岸の向島に行ってみようと思った。筆者のイメージでは、やたらと「歩道はこちら」をアピールしているから、橋を渡った先にバス停があると思っていたのだ。

……まったくそんなことはなかった。バス停があるのは、島を半周ほど歩いた先。しかも、サイクリングをしている人以外には、ほとんど人には出会わない。瀬戸内海の島と聞いて小島を思い浮かべるのはやめたほうがいい。島というのは、どれもメチャクチャ広いのだ……と、この時に思った。

この向島。尾道水道を挟んで尾道市街に面したところは、都会である。でっかいスーパーはあるし、渡し船に乗ると1分ほどで尾道市街(むしろ、尾道大橋のほうが遠回り)。

「報道では空き家が1,000軒にも上り、潜伏先の捜査が困難を極めているとされています。かつて造船業が盛んだった頃には、向島はベッドタウンだったんです。地元では“見つからんで”というのが、もっぱらのウワサです」

そう話すのは、向島出身のフリーライターのKさん。Kさんの話によれば、過疎の進む向島は、隠れるところも豊富にあるという。

「山ほど空き家があると報道されていますが、島のあちこちに、手入れされていないみかん畑があったりするんですが、小屋は残っているのに、その小屋に入る山道が閉ざされていたりするんです」

隠れるところは豊富な向島。一方で、島からの脱出は困難ではないかという。

「泳いで島の外に逃げるのは難しいでしょう。流れが速いし、昼も夜も出入りする船が多いですから。うちの父親たちの世代は尾道水道を泳いでいたらしいですが、溺れて亡くなった同級生もいるそうです。それに、本土の側はずっと市街地が広がっているし、国道2号線もあるので、濡れた体で歩いていたら、ものすごく目立ちますよ」(同)

逃げる手段があるとすれば、小舟を盗んでこぎ出すことくらい。また、地元では「フェリーの検問をすり抜けて、すでに島外に逃亡しているのではないか」という話も。いずれにしても、逃走劇はまだまだ続きそうだ。

「地元では、検問で車が渋滞することに怒っている人が多いんですけど……もっとも、イラっとさせられているのは、マスコミで連呼されている島の名前ですね。『むかいじま』じゃなくて『むかいしま』です」

こんなニュースで話題になってしまった向島だが、これからの季節、しまなみ海道は楽しい。今年のゴールデンウィークは、ここでどうかな?
(文=昼間たかし)

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