長澤まさみ&古沢良太「コンフィデンスマンJP」豪快でユルユルな大仕掛けを楽しもう、発進! 

エキレビ!

2018/4/16 09:45

今年の春ドラマはコメディーが多い。その中でも期待の1作、月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』がスタートした。古沢良太脚本、長澤まさみ、東出昌大、小日向文世主演の信用詐欺(コンゲーム)をテーマにしたコメディーだ。


先週放送された第1話の視聴率は9.4%。ちょっと寂しい数字だったが、尻上がりにどこまで上っていけるかが見もの。

ちなみにタイトルについている「JP」とは「日本」という意味。古沢良太が書き上げた脚本をもとに、日中韓で同時に製作が始まっているのだ。中国なら『コンフィデンスマンCN』、韓国なら『コンフィデンスマンKR』ということになる。脚本の段階で異なる国での製作がスタートするのは極めて異例のことらしいが、それだけ古沢の脚本が国際的に認められている証拠でもある(オリコンニュース 3月30日)。

誰が誰を騙してる? 二転三転するストーリー
主要登場人物は、天才的な頭脳と集中力を持つ奔放なコンフィデンスウーマン(信用詐欺師)のダー子(長澤まさみ)、ダー子に騙されてこきつかわれる小心者でお人好しのボクちゃん(東出昌大)、変装の達人で百戦錬磨のコンフィデンスマン・リチャード(小日向文世)の3人。彼らが毎週登場する大物ゲストを相手に、あの手この手で信用詐欺を繰り返す。

「ゴッドファーザー編」と銘打たれた第1話のターゲットは、表の顔は名士だが、その実、裏では悪事を繰り返す“日本のゴッドファーザー”こと赤星栄介(江口洋介)。非常に猜疑心が強い性格なため、ダー子たちも苦戦を強いられる……というお話。

ホストクラブの女社長(未唯mie)と中古車販売チェーンの社長(山西惇)をダブルターゲットにしたコンゲームを見せる冒頭から、誰が誰をだましているのかわからない展開で引っ張っていく脚本の腕前はさすが。本筋に入っても、ストーリーは二転三転、どんな仕掛けが炸裂するのかがわからないまま、ぐいぐいお話が進んでいく。ダー子たちの浮世離れした人物設定も物語のスピード感を加速させていた。

リアルさよりユルさ、緻密さより豪快さ
コンゲームがテーマということで、神経を尖らせるような騙し合いを想像した視聴者も多かったかもしれないが、第1話のトリックはユルユル。架空の「いわき空港」を作ってしまうのはともかく、ダー子が数ヶ月でキャビンアテンダントになってしまったり、飛んでいる飛行機のハッチを無理やり開けてしまったりと、「そんなのアリかよ?」と思わせるような仕掛けが相次いだ。緻密というより、むしろ豪快。木俣冬さんも他の記事で例えに出していたが、『ルパン三世』(特に第1シリーズ)の破天荒な盗みの仕掛けがイメージに近い。

オフィシャルサイトには「代表的な“コンゲーム映画”に、『スティング』、『ミッション:インポッシブル』シリーズ、『オーシャンズ11』シリーズなどがあります」と書かれていたが、これらの映画のようにダー子たちが詐欺の特徴はとにかく派手な大仕掛け。これは第1話だけのことなのか、シリーズ全体の特徴なのかはまだ不明。あと、『ミッション:インポッシブル』はコンゲーム映画じゃなくてスパイ映画だと思うぞ。

根底には神経戦よりも爽快なコメディーを作ろうという制作側の意図があると思う。長澤はダー子のことを「“天才的”という冠はありつつも、それがインテリジェンスな方向ではなく、ユーモアがある仕掛け人」と表現しているが(モデルプレス 4月9日)、息を詰めて見なければいけない作りというより、ゲラゲラ笑っているうちに何カットか見落としてもいいぐらいのユルさが意図されているんじゃないだろうか。なお、ダー子たちのターゲットはいずれも裏で悪事を働いており、彼女たちが一種の義賊として振る舞うのも爽快感のベースになっている。

また、冒頭で述べた日中韓での同時製作されるということもかかわっているのかもしれない。古沢は「どの国でも話の本筋としては問題なく展開でき、どの国でも面白いと思えるものを目指しました」と語っているが(オリコンニュース 3月30日)、裏を返せばそれぞれの舞台のディテールを反映させることは難しく、豪快な力技で「面白い」と思わせるスタイルに着地したんじゃないだろうか。

『コンフィデンスマンJP』はリアルさより、豪快さ、爽快感、ユルさを優先させているんじゃないだろうか、というのが第1話を見た後の感想だ。しかし、第2話以降で、ものすごく緻密な神経戦を展開するかもしれないから、まだまだ油断は禁物である。

第2話のターゲットは冷徹なリゾート会社社長の吉瀬美智子。第1話では最近、どんな作品でも落ち着き払ってばかりの江口洋介がやりこめられて醜態をさらしていたが、吉瀬がどんな姿を見せるのかも楽しみだ。今夜9時から。
(大山くまお)

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