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「半分、青い。」12話。こども編がかつてないほどすばらしかった

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連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月~土 朝8時~、BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~)
第2週「聞きたい!」第12回4月14日(土)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:田中健二

12話はこんな話
鈴愛(矢崎由紗)が左耳を失聴したことは、本人以上に、母・晴(松雪泰子)を苦しめていた。
鈴愛は律(高村佳偉人)の協力を得て、自分の左耳の状態を表現したゾートロープを使ったアニメーションを、母たちに披露する。

スタートダッシュする北川悦吏子
ドラマがはじまる前、北川悦吏子が、これまでの朝ドラの構成はたいてい、1週間ひとまとめで、土曜日にその週のクライマックスをもっていくのがセオリーになっているようだが、自分はそういうふうに決めて書いていないというようなことをインタビューで語っているのを読んだ。
付け加えると、昨今は、土曜日は視聴率が下がるので、金曜日にピークをもってきて、土曜日はちょっとおまけ的なエピソードを描くというパターンが多いような気がする。

ところが、北川は、金曜日とか土曜日とか関係なく、毎日がサプライズ。
2週などは、家族でお墓参りする火曜日、商店街を母におんぶされて歩く水曜日、失聴したが涙を流さず「ババンババンバンバン」と歌う木曜日、律にだけ涙を見せる金曜日、私の左耳は面白いとアニメを見せる土曜日とクライマックスの連続のようになっていた。
スタートから猛スピードで飛ばしている感じのする北川悦吏子。子役週からこんなに毎日入魂して書いていたら、これから先、お体、大丈夫でしょうかと心配になる。いやでもほんとすごい。かっこいいです。

先生と、先生ぽい和子
豊島先生(佐藤夕美子)は、鈴愛が失聴したことをうっかりしていて、平均台に乗せようとしたという。
この先生、「かぐや姫」が月に帰ったときの気持ちの回答に関しても(7話)、デリカシーがなかったし、
教師は子どもの見本というような期待をことごとく裏切ってくれる。
もうひとり、先生っぽいところが説教くさくて、あまり歓迎されない人物がいる。
和子(原田知世)だ。晴に、「起きてしまったことを悔やんだり憎んだりしてもなんの解決にもならんと思う。受け入れてそれと一緒に生きるんやと思う」「だってひとりやないよ」「頑張ろう?」などと言う。
律も喘息で、和子が苦労しているからこその発言とはいえ、喘息と失聴を同等で考えられない晴は、感情的になってしまう。
すぐ反省して謝罪にいくと、
「わたしたまに先生みたいな話しする」でしょう、と自覚している和子。
「できそこないの金八先生みたい」と言って「このばかちんが」とモノマネをしてみせる。ゴアに続くものまね第2弾でした。

よかれと思って、微妙なことをしてしまう人たちを、先生と先生みたいな人に託していることが興味深い。


律と鈴愛の共同作業
親は悩んでいるが、こどもは前向きに、ゾートロープによるアニメをつくって、楡野家、萩尾家の家族に披露する。
ちゃんと幕もつくって、それを開けると、飾りこんだゾートスコープが(幕含め、美術がすばらしい)。
プレーヤーが回る。その上のゾートスコープが回る。小人が回る。踊る。
「鈴愛の左側楽しいね」と晴は微笑む。

ふたりの共同作業を家族に披露するというエピを見て、チェーホフの「かもめ」を思い出してしまった。
主人公のトレープレフが描いた戯曲を、愛するニーナが湖畔で演じるのだ。でも共同作業は失敗、ふたりはどんどん距離ができていく。トレープレフがナイーブで、ニーナが自由で、というところが律と鈴愛とかぶる。でも、「半分、青い。」は共同作業も成功したし、きっと幸福の物語だと思う。

その夜の鈴愛の夢は、月が3つあるというものだった。
北川悦吏子が故郷・岐阜を舞台にした三部作「月シリーズ」のなかに「三つの月」(15年)というのがあって、これが萩尾夫婦を演じている原田知世と谷原章介のドラマ。
田舎で、ぱっとしない夫と生活している人妻役・原田が、東京からきたかっこいい作曲家役谷原に恋する話。
恋の結末の描き方が、向田邦子の文学のような感じもして、すてきなのだ。

いよいよ高校生に
鈴愛は雨の日、雨音が片側だけ聞こえてくることを楽しむ。
見上げれば、空が「半分 青い」。
こうして、第1話につながった。
時は流れて、鈴愛と律は高校3年生に。
「おれがあいつよりひとあし先に生まれたのは、あいつを守るためだったかなって」と律(佐藤健)がモノローグのナレーションしながら、鈴愛(永野芽郁)を見つめている。
のびのび育った彼女は「空飛ぶクジラ」の絵を描いている。

空飛ぶ鯨をモチーフにした作品は多い。
72年には大滝詠一が「空飛ぶくじら」という歌を発表、80年に「ムーの白鯨」という空飛ぶ白鯨のアニメが放送されている。
最近だと、「あまちゃん」のヒロインを演じたのんが、そのとき共演した渡辺えりの舞台「鯨よ! 私の手に乗れ」(17年)のイメージ画で空飛ぶ鯨の絵を描いている。

4月16日(月)からの、永野芽郁と佐藤健が、子役に負けない活躍をしてくれることに期待。
(木俣冬)

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