営業コンサルタントが教える、営業職に必要な「コミュニケーション能力」


営業1年目の教科書』(菊原智明著、大和書房)は、次のような方のために書かれているのだそうです。

⬜︎営業初心者(1~3年未満)

⬜︎営業職にこれから配属される

⬜︎営業職を志望している

(「はじめに 基本の理解が『売れる営業』になる近道」より)

著者は、新人からリーダー職まで1万5000人以上の営業スタッフを指導してきたという営業コンサルタント。同時に営業の講師として、大学生に向けて“営業の授業”を行い、「即戦力で活躍できる営業術」を教えているのだといいます。

注目すべきは、そんな立場から「結果を出せる人と出せない人の違いは、基本を知っているか知っていないかの差でしかない」と断言していること。

スポーツと同じように、正しいフォームを身につけずに練習を続ければ、悪い癖がついてしまうだけ。それは営業活動でも同じで、デメリットしかないというのです。だとすれば、正しいフォームを身につけたほうがいいのは当然の話。そこで本書ではさまざまな角度から、その「正しいフォーム」を解説しているのです。

きょうはそのなかから、多くの人にとっての悩みであろう「トーク」に焦点を絞ったChapter 3「お客様が『つい話したくなるコツ』」をご紹介したいと思います。

営業に必要なコミュニケーション能力とは?


トップ営業は“コミュニケーション能力が高い”というイメージを持っている人は少なくないはず。たしかに営業成績は、コミュニケーション能力によって左右されるものです。では、そのコミュニケーション能力とはどのようなものなのでしょうか?

著者によれば、それは人との交流。簡単にいえば、話をしたり聴いたりして「意思疎通をはかる」ことだということです。

営業に必要なコミュニケーション能力としては“聞く力”が大きな意味を持つわけですが、そもそも相手が話してくれないのでは話になりません。とはいえ特に初対面の相手とは、なかなか話が盛り上がらないものでもあります。

しかし、円滑なコミュニケーションをとるうえで最も大切なものは“自己開示”。そう語る著者も、研修先で担当者と二人きりになることが多いのだそうです。そして当然ながら、「この人は話しやすい」と感じる人もいれば、「話すことに困るな」と感じる人もいるのだとか。

その違いが、自己開示をしてくれるかどうかだというのです。

話しやすい人は、「年齢、出身地、趣味」など自分のことを話してくれるもの。そうしたきっかけがあるからこそ、こちらも話ができるというわけです。とはいえほとんどの人は、なかなか自分のことを話さないものでもあります。そのため、話のきっかけがつかめないわけです。

うわべだけの雑談のみでは、話が盛り上がらなくて当然。そして、コミュニケーションの成功のポイントは自己開示なのだと著者は主張しています。(54ページより)

難しい話をわかりやすく話すのが一流の営業


売れる営業は素人風に話し、売れない営業は専門家風に話すもの。後者の成績が伸びない理由は、「自分の知識に酔い、お客様が初めて聞くような難しい用語を使いながら説明していたから」というケースが少なくないというのです。でも、それではいい結果に結びつかなくて当然。

「素人風」に話す「売れる営業」は、お客様に対して難しい用語を使わず、わかりやすく話すもの。相手の知識レベルに合わせて話すことが大切だというわけです。事実、いままで多くのトップ営業に会ってきたという著者は、そういう人たちは総じてわかりやすく話をするものだといいます。

商品知識が豊富なのはもちろんですが、難しい話をわかりやすくつたえるスキルに長けているというのです。つまりそれも、営業の大切な役割だということ。(58ページより)

これだけは避けたいこと、してほしくないことを聞いておく


営業活動において最も重要なのは、「お客様の要望」をしっかりとヒアリングすること。たとえば予算、購入時期、好みなどをひとつひとつヒアリングしていくことが大切だという考え方です。

とはいっても、お客様のタイプもさまざま。すんなり答えてくれるお客様ならいいものの、どんな質問をしてもはっきり答えてくれないお客様もいるわけです。だとすれば、そんなときはどうしたらいいのでしょうか?

オススメは答えてくれないお客様に対して“これだけは避けたいことは何でしょうか?”と聞くことです。この質問ならば、なかなか話してくれないお客様も何かしら答えてくれます。 要望がまとまっていないお客様でも“これだけは避けたい”ということはハッキリしていることが多いのです。(64ページより)

そのため、避けたいことを聞くことによって外堀が埋まり、要望が見えてくることもあるということ。さらにヒアリング時に「私たち営業にこれだけはしてほしくないということはありますか?」と聞いておくのもいいそうです。その結果、

・ 平日は電話で連絡してほしくない

・ 訪問は絶対にやめてほしい

・ 郵便物に会社名を入れてほしくない

(64ページより)

などの答えが返ってきたりするため、そういった情報がその後のお客様に対するアプローチに役立つというわけです。そこで、「相手がやってほしくないこと」をヒアリングし、パソコンにデータで保管しておくか、お客様カードに記入しておくことを著者は勧めています。(64ページより)

話ベタのための簡単セールストーク


著者はアドリブが苦手だったため、接客する際にはある程度話す順番を決めておく「トーク設計図」を作成して使っていたのだそうです。基本的な流れは、「挨拶→警戒心を解く→売り込まない→悩みを聞く」という感じ。ちなみに著者がお会いした生命保険のトップ営業の人も、似たようなパターンで話を組み立てていたのだとか。

話す内容はそれぞれ違いますが、結果を出している人は“トークの組み立て”が非常にうまいのです。 その方がこんな素晴らしい秘訣を教えてくれました。 営業「トークは常に考えていますが、知らず知らずのうちに“自分の成績”を優先して考えてしまうことがあるんです」 私「確かにそういうときもありますね」 営業「そんなときは“このトークを兄弟にするか?”と問います」 私「兄弟ですか?」 営業「とくに兄は厳しい人ですから、ちょっとでも自分都合で話をすれば怒られます」 (68ページより)

まずは「お客様にこの順番でこのトークをすればいいぞ」というトーク設計図を考え、その後「これを親や兄弟にするだろうか?」と問いかけてみる。親兄弟、親友に対してであれば、「自分の成績のための売り込み」はせず、「その人にとって有益なのか?という考え方をするはず。だからこそ、他のお客様にも響くトークになるというわけです。(68ページより)

商品の「デメリット」も語れる営業になる


どれだけ優れた側面があったとしても、デメリットのない商品はありません。だからこそ、デメリットをまったく話さないまま、メリットばかりを羅列するとうさんくさく感じさせてしまうものです。著者も、そんな失敗をし続けてきたのだそうです。

そしてそんな経験があるからこそ、メリットだけではなく、「当社は○○ができないという欠点もあります」とデメリットも正直に口にするようにしたというのです。

ただしデメリット後のフォローも忘れないようにしましょう。「○○はできませんが、○○することで補うことができます」など、欠点を補えるようなフォローの準備をしておきましょう。(72ページより)

デメリットを話し、そのフォローも欠かさない。そうすることで信頼度が増し、メリットがさらに引き立つというわけです。(72ページより)


この春に社会人となって営業に配属されたものの、「どうしたらいいのかわからない」「うまくいかない」と悩んでいる人は少なくないはず。本書は、そんな人の強い味方になってくれるかもしれません。ぜひ、手にとってみてください。

Photo: 印南敦史

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