ただでさえ多いウィンタースポーツを楽しみたいという観光客に加え、この時期は桜を観たいという観光客まで一気に日本に押し寄せる。さらに日本からは卒業旅行や春休みで需要が大きい。特に東南アジアや中国、台湾、香港からの訪日客の伸びは顕著だ。つまり航空券の価格は常に高い。
こうして3月下旬というハイシーズンに香港に行く羽目になった筆者は、いつものようにスカイスキャナーで航空券を探し始める。そして、「やっぱり」とうなずき、そっとブラウザのタブを閉じて特典航空券を探し始めた。まずはANAマイレージクラブから。往路は羽田発午前便というとても良い時間帯のフライトが取れるものの、復路は経由便でも一つもヒットせず。JALマイレージクラブ、ユナイテッド航空のマイレージプラス、デルタ航空のスカイマイルとそれぞれ検索したものの、どれも一長一短。
できれば上海乗り継ぎは避けたいし、直行便で帰りたい。短距離なのでビジネスクラスにして無駄なマイルは使いたくないし、マカオや深セン、広州まで地上移動してから日本行きに乗るのは嫌だ。高額な航空券を買うなんてもってのほか。「仮病でも使おうか。」と考えたところで、ANAのウェブサイトに、「バニラエア特典航空券」の文字を見つけた。
言い換えると、「シンプルバニラ」運賃に20キロの預け入れ手荷物(4,000円)を購入し、支払手数料(600円)を含んだものが、「バニラエア特典航空券」で受けることができるサービスとなる。
「まあ空席があるはずはないだろう」と空席照会をしてみると、深夜便ではあるが、数席の空席があるではないか。ちなみに25日から31日までの「☓」マークは、有償の航空券でも満席だったので、需要の高さが伺える。3月21日のJW300便では特典航空券枠の残りは1席だった。
ローシーズンであれば必要マイル数は同じで、ANAの国際線特典航空券であれば、国内線の乗り継ぎも可能。地方都市発着であればなるべく避けたい選択ではある。
例えばファーストクラスの特典航空券に交換した場合、1マイルあたりの価値は10円を超えるとも言われている。ANAやJALの航空券ができる電子クーポンに交換した場合は、会員ランクや交換数によって異なるものの1円~1.7円で、できるだけ価値を最大化しつつ、行きたいところに行くのが賢い使い方だ。「バニラエア特典航空券」の場合、ANAの国際線特典航空券と異なり片道で使えるのもポイントで、どうしても繁忙期に移動しなければいけない時には有力な選択肢になることがわかった。
ちなみに、JALマイレージクラブでも「ジェットスター特典航空券」への交換ができるものの、日本~香港線の必要マイル数は片道10,500マイルと「バニラエア特典航空券」より割高だ。さらに、コールセンターのみでしか予約ができないにも関わらず、コールセンターでの予約発券手数料を2,160円徴収するなど、コストパフォーマンスは「バニラエア特典航空券」に大きく劣る。
ANA特典航空券ではハイシーズンとなる時期や、燃油サーチャージが高額の場合、今回のようにそもそも選択肢がない時などには、「バニラエア特典航空券」を使うのもアリ。覚えておきたい”隠れ技”だ。