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2500万円をダマし取られたOLキャバ嬢の末路――地味な天然娘が堕ちていくまで

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こんにちは、内野彩華(うちのあやか)です。

新宿・歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗経営する、年商10億円の歌舞伎町の女社長。そんな私が野心の大切さを説く、この連載。第18回は「虎の威を借る”天然すぎる”キャバ嬢の末路」です。

◆天然すぎるキャバ嬢、昭子が出会った“王子様”

社会経験の浅いキャバ嬢は権力のあるお客様に気に入られると、そのお客様と同等の力を持っていると勘違いすることがあります。また、お客様の取り巻きも「彼女」として祭り上げていくので、キャバ嬢の勘違いはどんどん加速していきます。

今回は虎の威を借るキャバ嬢が過信した結果、騙されてお客様に大損害をこうむらせてしまったお話をします。

安倍さんは歌舞伎町でスターでした。会社を急成長させて羽振りがよく、いつも10人前後取り巻きを連れてキャバクラに行ってはシャンパンをポンポン開けていたので、一回来客すると会計が100万円以上。

どのキャバ嬢も「指名をもらいたい」と目の色を変えていました。でも安倍さんはギラギラしたキャバ嬢はもう見飽きていました。

お客様の紹介で安倍さんがはじめて私のお店アップスに来た時の感想は、「とても地味な店」だったそうです。

でもそれが妙に居心地がよかったのか、それからはアップスに飲みにくるようになりました。そして、なかでももっとも地味な昭子が隣について少ししゃべった後、指名になりました。

◆昭子が腫れ物に触るような存在に

昭子は25歳、特別美人でもなく、水商売特有の華やかさもなく、昼間はOLをしていました。性格はいわゆる“天然ちゃん”でした。

安倍さんは昭子の地味さ、それから物怖じせず取り巻きの前で突然歌い出したり踊り出したり、素っ頓狂なことを言い出したりする奔放さと、そこになんの計算も全く働いてないことに対する驚きで次第に惹かれていきました。

安倍さんが昭子を指名するようになってから、取り巻きの対応はガラリと変わりました。昭子を安倍さんと同等にチヤホヤし、時には安倍さんが不機嫌にならないように昭子に腫れ物に触るような対応をする場面もありました。

昭子は“天然ちゃん”なので悪気があるわけではなく、唐突に思ったことを言ってしまう癖がありました。でもその“天然な発言”に取り巻きがどんどん振り回されるようになっていったのです。

◆昭子のせいでママもとばっちりに…

ある晩、いつものように安倍さんが取り巻きを連れて来店した日のことです。ある取り巻きの男性が安倍さんにわからないよう、別卓でこっそりと指名の女のコを呼んでいたことがありました。

そこをたまたま通りかかった昭子は、2人の前で突然、「ラブラブでいいですね。わたしもお2人みたいに幸せになりたいです!」と言いました。

安倍さんはそちらをじろっと見ました。取り巻きは凍りつきました。トイレに行くふりをして席を外した取り巻きに、私は呼び出されて大変怒られました。

「昭子は俺と指名の子ができてるのを安倍さんに話したのかな。これじゃ俺がキャバ嬢にうつつを抜かして仕事をしていないように思われる。ママ、ちゃんと教育してよ。安倍さんに怒られるから、俺からは昭子になにも言えないけどね……」

そう言いながら、取り巻きはとても悔しそうでした。

◆取り巻きのなかにいた森という男

別の晩のこと。昭子が「隣の席がうるさい」と騒いだことがありました。そうすると即座に、取り巻きが黒服を呼んで「安倍さんが怒っているからもっと静かでゆったりした席を用意しろ! じゃないともう帰る!」と怒鳴られました。

そんな取り巻きのなかに、森さん(仮名)という人がいました。森さんは営業の学校出身で、その学校がアジアの発展途上国に学校を建てるため、そのお手伝いをしていると言っていました。

昭子は森さんとはあまり仲良くありませんでしたが、安倍さんのことを聞きたくて森さんと話をしているうちに、だんだんと距離が近づいていきました。

アジアの発展途上国で満足な教育を受けてこなかった子供たちが学校で学んだ後に日本企業に就職できること、そして母国の親や親族に仕送りをしている話を聞いているうちにだんだんと啓蒙されていったのです。

昭子は昼間の仕事を辞めて、日中は森さんと動くようになっていきました。森さんと一緒にベトナムツアーに参加し、実際に森さんらが作った学校を目の当たりにしてからは、昭子はほかの指名のお客様の席でも「アジア諸国に学校を建てたい」という思いを熱く語るようになっていきました。

◆理想を追いかけた天然キャバ嬢、昭子の末路

いつしか、アップスの指名のお客様からも寄付を募るようになり、昭子はたくさんのお金を集めました。なかには500万円ものお金を出したお客様もいて、その金額は私の知る限り2500万円にもおよびました。

昭子が多額のお金を集めた後、私はお客様からその話を聞くことになり、すぐに昭子を解雇しました。お客様から投資を募ることは内容がなんであれ、私は許すことができませんでした。

アップスから解雇され、行き場のなくなった昭子は安倍さんに泣きつきました。しかし、安倍さんは知らないところで部下と一緒になってお金を集めていたことを許すことができず、あっさりと昭子を切り捨てました。

次に、昭子は森さんを頼りましたが携帯は解約されていて連絡がとれなくなっていました。集めたお金は全て森さんが持って行ってしまいました。

森さんと連絡をとりたくて探していたときに、昭子はテレビで森さんが詐欺で逮捕されたことを知ります。森さんはアジア諸国に学校を建てるプロジェクトに関わっていると嘘をついていろいろな人からお金を搾取していたのです。

◆なぜ昭子は詐欺を信じてしまったのか?

昭子がいままでしていた活動は全部虚構でした。昭子は絶望の淵に立たされました。そして、全てを失ってしまいました。

もともと純粋だったはずの昭子がなぜ、そんな詐欺に騙されてしまったのでしょうか?

もしかしたら、昭子はいつのまにか安倍さんと同等かそれ以上の力があると過信していたのかもしれません。そうして突っ走った結果、詐欺の片棒を担ぐことになってしまったと私は思います。

もし過信する前の昭子だったら、あっさりと安倍さんに相談して詐欺は未然に防げていたと思います。虎の威を借るキツネは、しょせんキツネでしかないのです。<TEXT/内野彩華>

【内野彩華】

新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ

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