『あなたには帰る家がある』夫婦で見ると絶対に危険…リアル過ぎて心が苦しい、視聴率予測不能


 今クールの連続テレビドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)第1話が13日、放送された。

専業主婦の佐藤真弓(中谷美紀)は、結婚13年目になる住宅販売会社社員の夫・秀明(玉木宏)と娘・麗奈の3人家族。麗奈が名門私立中学に合格し、真弓は主婦として子育てに一区切りついたことに安堵すると同時、独り自宅のソファーに座り「で?」と口にし、虚無感を覚える。

そんななか真弓は、結婚前に勤めていた旅行代理店時代の同僚で、今ではその会社の課長に昇進していた愛川由紀(苗木優子)とばったり遭遇し、麗奈が受験に成功したのは麗奈の夢が叶ったのであり、「真弓の夢は何か?」と聞かれる。そして、「真弓、幸せ?」と聞かれ言葉に詰まる。

愛川から職場復帰を打診された真弓はその夜、秀明に相談するが、秀明はマイナスのことしか口にせず、それにキレた真弓は職場復帰を宣言する。

一方、秀明はモデルハウスを訪れた夫婦、茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と妻の綾子(木村多江)に出会う。秀明が営業のため茄子田の自宅を訪問すると、性格が悪い茄子田、そして彼の両親と同居して肩身の狭い思いをしている綾子を見て、綾子を不憫に思うと同時に、異性として綾子と意識し合うように。

ある夜、仕事でミスをして落ち込んで帰宅した真弓は、共働きなのにまったく家事を手伝わない秀明を激しく責める。そこで茄子田から電話で呼び出された秀明が急いで向かうと、そこはスナック。真弓とのことで鬱憤がたまっていた秀明は悪酔いして寝てしまい、目が覚めるとそこは茄子田の家。様子を見に来た綾子と見つめ合い、つい抱きついてしまう。お互いにキスをしようと顔を寄せ合っていたところで物音がして、慌てて秀明は茄子田の家を出ていく。

後日、迎えた秀明と真弓の結婚記念日、真弓は急いで自宅に帰り夕食にメンチカツをつくり、秀明も家路につこうと車に乗り込むと、雨が土砂降りのなか傘を差さずに重い荷物を持って歩く綾子を見つけ、車で家まで送ることに。車中、綾子が「私、幸せです。でも、寂しい」とつぶやき、2人はホテルに行く。そして2人が激しく体を絡み合わせている頃、真弓は自宅で揚げたてのメンチカツを頬張る――。ここまでが第1話で放送された。

●相当に危険なドラマ

第1話を見た感想としては、もし夫婦でこのドラマを見てしまったのなら、相当に危険な空気が漂うのではないかと感じた。

まったく家事を手伝わないくせに、いちいち冷蔵庫内の食品の賞味期限をチェックし、1日でも賞味期限の過ぎたハムを食卓に出すと文句を言う夫。にもかかわらず、自分は家事をしていると思い込んでいる夫。家事はするものの、一つひとつの作業が“ガサツ”な妻。自分の妻の気持ちをまったく理解せず、自分の妻は幸せだと思い込んでいる夫。子どもが中学受験にも成功し、子育てもひと段落ついたと安心した途端、自分の人生がこのままでよいのかと不安を抱く妻。つい不倫に走る夫。そして、つい不倫に走る妻――。

こんな同ドラマを夫婦で一緒に見てしまったならば、思い当たる内容のオンパレードで、お互いに普段あえて蓋をして気持ちを押し殺していたことをほじくり返され、相手を責めたくなったり、逆に自分が責められているような気になったりで、家の中に嫌な空気が流れてしまわないかが懸念される。

さらに、夫婦の諍いやすれ違いの描写がリアル過ぎて、それはそれでドラマのクオリティが高い証拠なのだろうが、見ているほうはどんどん心苦しくなってしまう。

たとえば、仕事で落ち込んで帰宅した真弓は、時間がなかったために夕食に買ってきたカレーライス弁当を「いらない」という秀明に向かって、感情を爆発させながら怒るシーンは、既婚者であれば一度は同じような体験をしたことがある、もしくは同じようなことを言いたいと思った経験があるのではないか。

真弓「だったら、なんかつくる?」

秀明「いいよ、そんなに腹減ってないし」

(この一言でキレる真弓)

真弓「だったら、先、言ってよ! わざわざ買ってこなくても、よかったじゃない。私も仕事してクタクタになってるんだから。先に帰ったら洗濯物取り込もうとか、少しもないわけ? 朝だってさー、せめて食器ぐらい下げられないのー?」

(秀明もキレる)

秀明「俺が、なんにもやってないみたいな、言い方するなよ」

真弓「へー、なんかやってくれたっけ? はー、ゴミ出したくらいで家事やってるって、ハムの賞味期限チェックしてる暇があったら、自分で朝ご飯くらい、つくりなさいよ!」

秀明「わかったよ、食べればいいんだろ、カレー」

真弓「食べなくていい、食べたくないんでしょ? 食べなくて結構です! そうやって、いっつも馬鹿にして、文句ばっかり言うんだから。パパは楽だよねー、帰って来たらゴハンはできてるし、掃除も洗濯もされてるし、ただ仕事だけしてれば、いいんだから」

秀明「(首をコクっと横にして、“ポキッ”と音を出す)」

真弓「それ、ムカつくんだけど。何、勝手にスイッチオフってるの? 何、話終わらせてんの? 今話してるんですけど! パパって、いっつも自分のことしか考えてないよね。家族のことなんか、なんにも考えてないんだから!」

このあと、真弓は大粒の涙を流しながら、一人でカレーライス弁当をかきこむのだが、中谷の演技がリアル過ぎて、もうカレーの冷え冷え感がひしひしと伝わってきて、見ている私のほうも体が固まってしまった。

真弓の主張、あまりに正論すぎて、正論だとわかっているゆえに、秀明は何も言い返せない。はたからか見れば、「ちゃんと冷静に話し合えばいいのに」って思うんだけど、そんなことができれば夫婦は苦労なんかしないわけで、そんな簡単なことができないで離婚に至ってしまう夫婦って、私の知る限りでも結構いたりする(ように感じる)。

そう、このドラマ、あまりにリアル過ぎて、逆に見ていてツラくなってしまうという、出来の良いドラマでたまに遭遇する体験なのだが、来週も見るかと聞かれれば、怖いもの見たさもあって、やっぱり見ちゃうんだろうな……(今後の展開も気になるし)。

そんなこんなで、今後視聴率がどうなっていくのか、皆目見当もつきません。
(文=米倉奈津子/ライター)

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