トンチキ世界観に高いスキル……Hey!Say!JUMPとこぶしファクトリーに重なる7つの共通点


 ジャニーズのファンと、ハロー!プロジェクトのファンを兼ねている人は、時々いる。「ファンだったら、○○」「V6ファンなら……」などとハロー!プロジェクトのグループを勧めるブログなどもある。

Hey!Say!JUMPの場合は、「メンバー同士がわちゃわちゃ仲良し+大人数のフォーメー ションダンス」という点から「アンジュルム」を、またエース・宮本佳林のプロ意識の高さが山田涼介と重ね合わせて語られることから「Juice=Juice」を推す意見をよく見かける。

しかし、個人的には、JUMPファンに勧めたいのは断然「こぶしファクトリー」だ。以下に、Hey!Say!JUMPとこぶしファクトリーの共通点を挙げてみたい。

■寄せ集めメンバーのエリートグループで、風当たりが強かった

ジャニーズJr.のトップにいた薮宏太や八乙女光などから、Jr.経験がほとんどなかった岡本圭人まで“寄せ集め”で作られたHey!Say!JUMP。Jr.ユニットが解体され、涙を飲んだJr.やファンもいた。下積みがあまりなく、若くしてデビューしたエリートグループということから、他グループやファンに冷ややかに見られることも多かった。

一方、こぶしファクトリーは“研修生トップ”的な存在だった浜浦彩乃を中心に、つんくが手がける外部プロジェクトの「ナイスガールトレイニー」から、歌唱力の高い広瀬彩海と井上玲音を引き入れて作られた「寄せ集め」グループ。ユニット結成からデビューまでが非常に速いエリートで、しかも、広瀬は外部から来た存在でありながら「リーダー」に就任。グループ内にギクシャクした空気が流れた。

■猛プッシュ&華々しいデビュー

JUMPの場合は、デビューコンサートがいきなり東京ドーム。こぶしファクトリーも早々にツアーが組まれたり、『レコード大賞最優秀新人賞』を受賞したりと、順調すぎる滑り出しを見せる。

■事務所や社長の寵愛を受け、変な曲ばかり歌わされる

「あのファッショングラっと来て もうグラッチェグラッチェちぇけらうよ♪」(「『ありがとう』~世界のどこにいても~」)とか「家族、担任 おざなり Over♪」(「OVER」)とか、とてつもなくヘンテコな曲を歌ってきたJUMP。水太鼓や龍、綱渡りや空中ブランコ、犬と一緒に大縄跳びなどにもチャレンジし、摩訶不思議な世界を数年間にわたって表現してきた。

一方、こぶしはメジャーデビュー曲が「ドスコイ!ケンキョにダイタン」。「相撲」である。3枚目のシングル「サンバ!こぶしジャネイロ」なんかも、ジャニーズ的なおかしなセンスの曲名だ。そして、「忍者」が主人公の舞台と映画に主演し、忍者ファッションで「エエジャナイカ ニンジャナイカ」という妙な歌を歌った。

トークが不得手で、ガツガツしたところがあまりなく、おっとりした雰囲気のJUMPは、彼らの世代に引っ掛けて、他グループのファンから「ゆとり」と揶揄されてきた。

一方、こぶしの現在のメンバーたちは天然度の高いタイプが多く、MCものんびり。「エース」の浜浦はラーメンばかり食べているし、グループのシンボル的存在の井上玲音は、美人なのに「すましていると思われること」に悩み、変顔の練習に余念がない。また、実力・人気ともに上昇中の野村みな美は、パフォーマンスがカッコいいのに、普段は超マイペースで、パンに夢中。

和田桜子は恵まれた声質と、グループの緩衝材的な役割を持ち、しっかり者に見えるリーダー・広瀬は、重い性格ながらどこかヌケている。また、新曲が発表されるたびに毎回「これまでにない大人のJUMPを」「今までと違う大人っぽいこぶしファクトリーを」などと、お約束のフレーズで語るところも似ている。

■悲しい出来事が続き、どん底にあった

JUMPの場合、一部メンバーの喫煙・活動休止(のちに脱退)や、マネジメントの管轄替えによる“干され”の危機、メンバーのスキャンダルなど、「いよいよ売れそう」という予感が漂っては、何度も予感が消えてきた。

こぶしの場合、2016年11月発売のアルバムに収録された名曲「辛夷の花」で「売れそう!」感が漂っていた中、翌年、メンバー3人がスキャンダルなどで次々に脱退・卒業してしまう。

■重い話し合い&ちょっとズレてる工夫

 Sexy Zoneがデビューした後、『カミスン!』(TBS系)に出演したJUMPは、MC・中居正広に「後輩もできたことですし、頑張りましょうね」と真顔で説教されていた。自分たちでも不甲斐なさを感じていた彼らは、グループで何度も重い話し合いをしている。

チケットの売れ行きが芳しくなかった13年の東京ドームコンサートでは、空席を無数の風船で埋めたり、機関車を走らせたりと、手作り感あふれるコンサートを演出。幼い工夫に、ファンは涙した。

また、こぶしの場合、YouTubeチャンネル『ハロ!ステ』で、スタッフからスキャンダルの多さについて「デビューから応援して下さっていた沢山の方々の期待を裏切った」と公開説教されてしまう。「裏切った」のは、この5人じゃないのに。さらに、これからの方向性について、合宿で話し合ってもいる。

ちなみに、レコ大最優秀新人賞を受賞したときの白い衣装は、バラされ、別の衣装にリメイクされてしまった。精一杯の工夫だったのだろう。でも、取っておけばよかったのに……。

■悲しい出来事を乗り越え、気づけばスキル集団になっている

低迷期に、ひたすらダンスを揃えることにこだわり、技術を磨いたJUMP。今では9人が複雑なフォーメーションダンスを一糸乱れぬ美しい動きで見せたり、コンサートでは「無音ダンス」の群舞で圧倒してみせたりする。

こぶしの場合、もともと歌のうまいメンバーが多かったが、3人脱退した今、奇跡的にも「5人全員が歌のうまいグループ」になった。ボイパやラップ、アカペラなどの練習もさせられ、「迷走か」とも思ったが、完成した曲は素晴らしい出来栄えである。実は、現時点で、ハロプロ内だけでなく、業界全体を見回しても「全員歌がうまいアイドルグループ」というのは、こぶしのほかにほとんどいない気がする。

しかも、CD音源よりも生歌の方が断然うまく、テレビよりもコンサートやイベントで直に聞く方がさらにうまい。ちなみに、どん底にいたときのJUMPは、頼りなさの一方で、内に秘めた闘志と努力が少しずつ実を結び始め、今にもあふれ出しそうなエネルギーに満ちていた。そして、今ではジャニーズ事務所の稼ぎ頭の一角を担っている。

同様に、いま苦境にあるこぶしは、当時の彼らを思い出させるような熱さ、キラキラ感を身にまとってきている。3月28日に発売された、こぶしの新曲「これからだ!/明日テンキになあれ」は、そんな彼女たちの物語にピタリと重なる曲。そう、まさしく「これからだ!」。
(田幸和歌子)

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