「ミスミソウ」山田杏奈がとにかく凄い。壮絶復讐譚の果てに誕生した新たなる返り血の女王

エキレビ!

2018/4/14 09:45

断言したい。山田杏奈様こそが、次世代の返り血の女王である。『ミスミソウ』での山田杏奈様は、そのくらいすごかった。


ホラー漫画家押切蓮介の代表作、マジで完全映像化!
『ハイスコアガール』のヒットで、今でこそギャグとラブコメの人として認識されることも多い押切蓮介。しかし元々はホラーコミックを得意とする作家であり、血みどろのバイオレンスと荒涼としたストーリーが混じり合う作品を数多く生み出している。『ミスミソウ』は、そっち方面の押切蓮介の代表作。なんといっても連載時の掲載誌が『ホラーM』である。

雪深い田舎。来年で廃校になる学校に通う、卒業を控えた中学生たち。鬱屈した空気と行き場のない衝動が最悪の形で噴出し、中学生たちが殺しあう復讐劇が展開される。そんな原作を映像化した監督が内藤瑛亮。『先生を流産させる会』や『ライチ☆光クラブ』を撮った人だ。『ミスミソウ』の監督と原作の組み合わせは、ビールと餃子、シドとナンシー、富士山と月見草並みの組み合わせと言えるだろう。

舞台は冬、卒業式を間近に控えた田舎の中学校。生徒は少なく、来年で廃校になる予定だ。この学校に通う転入生の野咲春花は、同じクラスの生徒たちから壮絶なイジメに遭っていた。靴をゴミ捨て場に放り込まれ、拾いに行っては泥まみれになるような日々。しかし、同級生の相場だけは春花を支える。

担任の南はいじめを主導しているリーダー格の妙子の言いなりであり、クラスの誰もがいじめに加担している。両親にも勧められて半ば登校拒否状態になった春花。以前いじめの標的となっていた流美が周囲からけしかけられて春花の家を訪れ、「教室に来てくれないと、自分がまたいじめられる」と訴えるも、登校はできないでいた。

ある日、相場とともに出かけた春花は、2人で帰宅する途中で自らの家が炎上している現場に出くわす。燃える家に飛び込んだ相場は春花の妹である祥子を助け出すが、春花の両親は焼死。祥子も全身火傷で危篤状態となる。実行犯は流美を中心とする同級生。そのことに気が付いた春花は学校に姿を表し、周囲の様子を探る。やり返される前に春花を自殺に見せかけて殺そうとする同級生たち。家族の仇を取ることを決意した春花。降り止まない雪の中、血みどろの復讐劇が始まる。

こういうストーリーなので、正直見る人を選ぶ作品だ。いじめのシーンだけでも心臓がキュッとなる。加えて「絶対に原作通りに登場人物を殺す」ということに全力を傾けている映画なので、暴力シーンも容赦がない。しかしそれだけに、暴力と流血の連打にはドライブ感が感じられる。いじめからの復讐の物語なので陰惨なのに爽快感があり、見ている方としては「ドンドンやったらんか~い!」という感じになった。

「中学生のいじめで家に火はつけないでしょ~」という部分に、「逃げ場がない田舎の学校で、元々いじめられていた奴が再度いじめられる恐怖から行動をエスカレートさせた結果」というエクスキューズを用意しているのも賢い。加えて事件の背景には少女たちの「あんな子よりもっと私の方を見て欲しかった」という感情のもつれがあり、それが連鎖した結果ドミノ倒しのように中学生たちが死にまくる話になっている。ストーリーの根幹に関わる理屈に破綻がないので、現実離れした暴力シーンが続いても「それはありえないでしょ」という気分になりにくい。

そして、この中学生たちの屍の上で光り輝くのが、主演の山田杏奈様なのである。

返り血まみれの山田杏奈様の前に、おれはひれ伏すしかない……
正直、おれは『ミスミソウ』を見るまで山田杏奈様のことを存じ上げなかった。2011年に「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリを受賞したとか、2015年には『12歳。』の実写ドラマ版で初主演を果たしたとか、全部後から知った。調べたのである。ネットは便利だ。

いちいち経歴を後から調べてしまうほど、『ミスミソウ』の山田杏奈様は素晴らしい。演じているのは寡黙ながら復讐に燃える主人公、野咲春花。山田杏奈様の目は顔の面積のおよそ1/4を占めるのではないかというほど大きく、黒目がでかい。そして肌はできたての豆腐のように白く、髪はどこまでも黒い。そんなハイコントラストな見た目の上に、劇中の服装は「赤いPコート」や「紺色のセーラー服の上に重そうな黒いコート」みたいなはっきりした色使いのものばかり。そして体型はどこまでも華奢。背景は真っ白な雪景色だ。単純に風景の中に佇んでる絵面だけでシビれる。

春花は基本的にメインアームが刃物類、それも田舎の中学生が用意できる包丁とかなので、人を殺害した瞬間には激しく血しぶきが飛ぶ。飛んだ血しぶきが山田杏奈様の顔や服にバンバン降りかかる。その状況でも顔色を変えず、憎き同級生たちに復讐の刃を向ける山田杏奈様……。純白の雪の中で白い肌が鮮血にまみれ、その奥から黒目がちな瞳が覗く。本当に血まみれの姿がお似合いになる……。

特にグッときたのが、ある場面で春花が相手を机の上に押し倒しつつ首を絞めた時だ。春花は全体重をかけて相手にのしかかる。その際に、右足を机の上に持ち上げ、靴底で机の天板をドカンと踏みしめるのである。山田杏奈様が人間の首を絞めているだけでもすごいのに、さらに全力を出すべく机の上に足を動かして体重を乗せる。細かい演出だけど、「オッ!」と声が出そうになる。後から原作の該当シーンを読み直したけど、そういう動きの描写はなかった。あれを付け加えた人は天才である。

そもそも、映画の『ミスミソウ』を作るにあたって「原作がこういう話なんで、今回は山田杏奈様に血まみれになってもらいましょう」と決定した人がいたはずだ。おれはその人に文化勲章とかを授与してほしいと半ば本気で思っている。それぐらい山田杏奈様には血しぶきがお似合いになっていた。ゆくゆくはバイオレンス映画に出まくってほしい。村とかを焼いてほしい。切なる願いである。

そういうわけなので、とりあえずおれは山田杏奈様が出演している6月公開の『わたしに××しなさい!』も見に行くべきかと迷っている。少女マンガ原作の映画とはいえ、なにかの間違いで山田杏奈様が血まみれにならないとも限らないではないか。30歳を回ったオタクのおっさんが見に行くには、いささかハードルが高そうだけど……。
(しげる)

【作品データ】
「ミスミソウ」公式サイト
監督 内藤瑛亮
出演 山田杏奈 清水尋也 大谷凛香 森田亜紀 大塚れな 中田青渚 紺野彩夏 寺田農 ほか
4月7日より上映中

STORY
田舎の中学校に通う少女、野咲春花は、過剰ないじめの果てに自宅を燃やされる。両親を殺され妹を危篤状態にされた春花は復讐を決意。実行犯である同級生たちを次々に手にかけていくが……。

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