18年ぶりのカムバック!『心と体と』監督が語る復帰までの道のりとは?

ananweb

2018/4/14 08:00


■ 奇妙で刺激的な話題のラブストーリー『心と体と』!

【映画、ときどき私】 vol. 157

ハンガリーのブダペスト郊外にある食肉処理場。マーリアは代理職員として働くことになるものの、コミュニケーションを取るのが苦手なため、周囲となじめずにいた。そんななか、彼女のことを気にかけていたのは、片手が不自由な上司のエンドレ。しかし、2人もまたうまくかみ合わないままだった。

ところがある日、マーリアとエンドレはまったく同じ夢を見ていることを知り、急接近することに。それぞれに孤独を抱える男女が繰り広げる不思議な恋愛模様の結末とは……。

そこで今回は、この一風変わったラブストーリーを生み出したこちらの方に、本作の見どころなどについて聞いてきました。それは……。

■ ハンガリーが誇る女性監督イルディコー・ エニェディ!

監督にとっては、なんと18年ぶりの長編作品となったものの、ブランクを感じさせることなく、世界中の映画祭をにぎわせてきましたが、そのなかで作品に込めた思いや裏側を語ってもらいました。

■ まずは、長編を発表するまでにこれほどの時間がかかった理由は?

監督
 ヨーロッパのテレビシリーズに着手していたり、大学で教えていたりしていたのもあるけれど、実は製作費がなかなか集まらなかったというのもあるの。しかも、ハンガリーの映画の助成金が3年間もストップしてしまったりしていたのよ。

■ その結果18年のブランクとなりましたが、怖さや不安を感じたことはありませんでしたか?

監督
 もちろん、とても不安だったわ。でも、脚本を書いているときからすごく楽しい気分だったし、撮影が始まってからは不安や苦しみとかはまったくない状態だったわね。

本作はベルリン国際映画祭で最高賞となる金熊賞の受賞だけでなく、アカデミー賞外国語映画賞へのノミネートなど、大きな反響を巻き起こしたことでも話題に。

■ ご自身ではこの結果をどのように感じていますか?

監督
 こんなふうになるとはまったく思ってもいなかったわ! というのも、この作品はエンターテインメント性の高い作品ではないので、周りからはメジャーな映画祭に出品するのは不可能じゃないかといわれていたくらいなの。

でも、それが私のやりたいことだったから、大きな映画祭に出してみようと決断したのよ。だから、そこで賞をいただけたことは本当にうれしいことなんだけれど、私にとっては賞をもらったことだけではなくて、たくさんの観客がこの作品を理解してくれたということのほうが幸せなことだったわ。

この作品はすでに92カ国で配給が決まっているんだけれど、たくさんの国の人が私の意図通りに理解してくれたらそんなうれしいことはないわね。

素晴らしい俳優陣のなかでも印象的なのは、マーリアを見事に演じきった新星アレクサンドラ・ボルベーイ。

■ 彼女を見つけるのに5か月かかったそうですが、決め手となったものは何ですか?

監督
 アレクサンドラに決まる前には才能のあるいろいろな俳優たちとも話をしたんだけれど、彼女にしかなかった要素としては、力強さと弱さを同時に持っているということ。というのも、マーリアというのは恥ずかしがり屋ですごく孤独だけれど、同じくらいすごく強い性格でもあるからなの。そんな部分を表現できるのはアレクサンドラしかないと思ったので、彼女をキャスティングしたのよ。

また、マーリアの相手役であるエンドレを演じたゲーザ・モルチャーニは、まるでベテラン俳優のような存在感を放って熱演していますが、なんと彼の本業はベテラン編集者という驚きのエピソードも。

■ 俳優でも難しいと思われる役どころにも関わらず、演技初挑戦の素人である彼をキャスティングした意図は?

監督
 ハンガリーのプロの俳優のなかにこの役にばっちり合っている人がいなかったというのが理由のひとつよ。だから、どうしてもアマチュアのなかから選ばなければいけないというのがあったの。それで、すごく仲が良かったというわけではないけれど、知り合いだったゲーザをキャスティングしたのよ。

彼のパーソナリティにはカリスマ性があるし、ユーモアのあるところも毒舌なところも気に入っていたわ。あとは、「もしかして彼は何か秘密を持っているんじゃないか?」と感じさせる風貌というのも私にとってはすごく大事なことだったわね。

■ では、彼を演出する際に気をつけたことはありましたか?

監督
 アマチュアというのは、撮影に慣れていないので、肉体に大変なのはもちろん、役柄に入り込んでしまうとうまく抜け出せなくなってしまって精神的にもつらくなってしまうことがあるの。だから、私たちはとても注意深く彼を扱うようにしていたわ。

■ 本作では同じ夢を見る2人が描かれていますが、他人と無意識に繋がった経験が監督にもありますか?

監督
 私自身はそういう経験はないけれど、ほかの人から聞いた話によると、同じように潜在意識でつながったことがあるというのは聞いたことがあったわ。ちなみに、今回撮影をしていたときに制作部の男の子が脚本を読みながら顔色が青くなったので聞いてみたら、「僕にもこの経験があるんだ」と言っていたことがあって驚いたわね。

脳が他人とコネクトするということについてはいま研究中のようだけど、人の夢を覗くことはもしかしたらいつか可能になるかもしれないわね。私が脚本にこの要素を入れたのは、この男女が恋に落ちるには何か力強い作用が必要になるだろうと思ったからなのよ。

■ それでは最後に、ananwebを読んでいる女性へ向けて伝えたい思いをメッセージとしてお願いします!

監督
 まずは恐れずに思い切ってやってみるということね。もしかしたら、人にばかにされるかもしれないし、傷つけられるかもしれないけれど、ときには心の殻に閉じこもるよりも苦悩するほうがいい場合もあるのよ。だから、「何があっても、自分の人生を思いっきり生きてください」ということを言いたいわね。

■ 生きるうえでの痛みと人の温もりを感じる!

つい忘れがちな優しさやピュアな気持ちが心にも体にも染み渡る本作。人生では思い通りにいかないことのほうが多いけれど、まっすぐに誰かを思う気持ちを持ち続けていれば、きっと新たな道が開けるのだと感じられるはず。

■ 胸がざわめく予告編はこちら!



■ 作品情報

『心と体と』4月14日(土)より新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開配給:サンリス2017 (C) INFORG - M&M FILM

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