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【映画コラム】クルーガーが入魂の演技を見せる『女は二度決断する』と、『卒業』+ウディ・アレンのような『さよなら、僕のマンハッタン』

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 今週は、大作ではないが、印象に残る映画を2本紹介しよう。まずは『女は二度決断する』から。

ドイツ・ハンブルクの外国人街で時限爆弾による爆発が発生。ドイツ人のカティヤ(ダイアン・クルーガー)は、トルコ移民の夫と息子を同時に失う。事件は在住外国人を狙ったドイツ人の右翼によるテロと判明するが、容疑者をめぐる裁判はカティアの思うようには進まない。やがて彼女はある決断を下す。

実際に起きたネオナチによる連続テロ事件に材を取った力作。クルーガーが入魂の演技を見せる。監督のファティ・アキンは、ハンブルグのレストランを舞台にした群像劇『ソウル・キッチン』(09)や、オスマン帝国で起きたアルメニア人の虐殺事件を基に、1人の男が離れ離れになった家族に会うためにたどった旅路を描いた『消えた声が、その名を呼ぶ』(14)などで、移民や民族の問題を描いてきたが、今回は、自身がトルコ移民のドイツ人として抱いた怒りやつらい思いを、主人公カティアのキャラクターに反映させたのだという。

同じく、子どもを殺された母の怒りを描いたアメリカ映画『スリー・ビルボード』と同時期に、ドイツでもこうした映画が作られたのは果たして偶然か、必然か。ただ「やはり、こうなるのか…」という厳しい結末は、正直なところ、われわれ日本人には理解し難いところもある。

『さよなら、僕のマンハッタン』の舞台は、タイトル通りニューヨーク。大学卒業後の人生に迷うトーマス(カラム・ターナー)が、不思議な隣人(ジェフ・ブリッジス)や、父の愛人(ケイト・ベッキンセール)との出会いによって、本当の自分を見付けていく様子を描く。マイク・ニコルズ監督の『卒業』(67)とウディ・アレンの諸作を混ぜ合わせたような、皮肉とほろ苦さを含んだ青春物語。あっと驚く展開を見せながら、最後はホロリとさせる。

原題の「The Only Living Boy in New York=ニューヨークの少年」は、サイモン&ガーファンクルのアルバム『明日に架ける橋』(70)に収録された曲から取られている。これはポール・サイモンが、当時メキシコで『キャッチ22』(70)(これもニコルズ監督作)を撮影中のアート・ガーファンクルに向けて書いた曲で、ニューヨークに一人残ったサイモンの心境が歌詞に反映されている。だから、曲の出だしで呼び掛ける「トム」とはガーファンクルのことなのである。彼らはサイモン&ガーファンクル以前は、トムとジェリーを名乗っていたのだ。

この映画は、主人公をトムと名付けることで曲との関連性を明示し、「なるほど」というシーンでこの曲を流す。というわけで、映画のシニカルな内容もさることながら、同じくサイモン&ガーファンクルの曲を使った点でも『卒業』をほうふつとさせる。それにしてもなぜ邦題を「ニューヨークの少年」にしなかったのだろうか。(田中雄二)

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